広島かわ知り①太田川
- 2022年05月17日
太田川は廿日市市の冠山を源流に広島市中心部の人口密集地を流れ、流域の人口は102万人にのぼります。平成17年の台風14号では流域の広い範囲で氾濫が発生し、およそ130ヘクタールが浸水しました。平成30年の西日本豪雨でも、広島市安佐北区などでおよそ500戸の住宅が浸水しました。水害から命を守る3つのポイントを順に紹介していきます。
(広島放送局 渡邊貴大)
Point①「3つの川の合流地点」に注意!
広島市安佐北区の可部地区周辺では、本流の太田川に、支流の根谷川と三篠川が合流。この付近で急激に水位が上がる危険があります。2つの支流は山間部の急な勾配を流れ下ってきますが、合流地点で勾配が平たんになるため、水が流れにくくなって氾濫する危険が高まるのです。
こうした合流地点の近くに住む人たちにチェックして欲しいのが、上流にある水位観測所です。太田川の水位は中野の観測所、根谷川は新川橋の観測所、三篠川は中深川の観測所の水位。こうした観測所では西日本豪雨の際、合流地点の下流にある観測所より、最大で2時間ほど早く水位の危険な上昇を捉えました。国土交通省の「川の防災情報」というサイトでも、3つ観測地点の最新の水位や画像などが確認できるのでチェックして下さい。
太田川河川事務所 杉村貴志副所長
「お住まいの地区の上流にある観測所を見ていただくと、今後、水位が上がって危険になるのかなどの状況が把握できます」
Point②「水門の操作」が増水のサイン!
安佐南区にある祇園水門では、太田川放水路に流れる水の量を調整しているため、川の水位が上昇したことを知る、早めのサインにもなります。水位が増した際、ふだん閉まっている水門が全開になり、太田川放水路に水を流します。
川幅が広い太田川放水路は、旧太田川より放流できる水の量が多く、氾濫のリスクを抑えられるのです。水門を開ける際は、河川敷などにいる人に向けてサイレンで退避するよう呼びかけます。住民への避難を呼びかけるものではありませんが、サイレンの音が聞こえたら、水位が上がり始めた最初のシグナルとして注意してください。
Point③「海抜0m地帯での浸水」に注意!
この地図は氾濫が起きた場合に想定される広島市の浸水の深さを表したものです。赤い色が濃いほど浸水が深くなることを示していて、最大規模の大雨が降ると74平方キロメートルもの面積が浸水する危険があります。西区にある海抜0メートル地帯では、川が氾濫すると浸水の深さが8メートルを超えるところがあると想定されています。
また、浸水が続く時間の長さも深刻です。太田川放水路の西側にある地区では、4週間以上も浸水が続く危険があります。もともと海抜2メートル以下と土地が低い上、排水設備も浸水するため、水がひくまでに長い時間がかかる見込みです。氾濫による被害の長期化への備えが必要です。
太田川では、下流の地域に住宅が密集しているので、氾濫すると大きな影響が予想されます。この記事で紹介した3つのポイントに注意して、早い段階での避難を意識してください。
▼「NHKニュース・防災アプリ」 https://www3.nhk.or.jp/news/news_bousai_app/index.html
▼国土交通省 「川の防災情報」 https://www.river.go.jp/index