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2020年11月27日

#性被害者のその後 がドキュメンタリー番組になります 【vol.105】

「警察や司法の扱いが軽く、加害者に罪の意識がない理由は“その後”の苦しみが知られていないことにあるのではないかと思いました。よければこのタグで語ってください。#性被害者のその後」―――。

2019年7月、ある性被害者の女性がツイッターで作った、このハッシュタグ。性暴力の被害そのものについてだけでなく、その後の日々で 次々に押し寄せるつらさや苦しみを“なかったこと”にせず 言葉にしよう、というものです。“性暴力を考える”取材班は、ハッシュタグを作った女性・エミリさん(30代・仮名)と出会い、性暴力がもたらす痛みの深さや人生に及ぼす影響について 去年から 話を聞かせてもらってきました。

このたび、エミリさんの歩みやハッシュタグに寄せられている声を、ドキュメンタリー番組・目撃!にっぽん「“その後“を生きる〜性暴力被害者の日々〜」として放送します。

(NHKグローバルメディアサービス ディレクター 飛田陽子)


“その後”を生きる ~性暴力被害者の日々~


<再放送予定>2020年12月20日(日)
NHK総合 午後3:05~3:39 
※日時は急きょ変更になることがあります
<放送予定> 2020年11月29日(日)
NHK総合 朝6:10~6:44 目撃!にっぽん
「“その後“を生きる〜性暴力被害者の日々〜」
★放送後、NHKプラスの「見逃し番組配信」でも見ることができます(1週間限定で、視聴にはID登録が必要です。)
★番組ホームページはこちら

※番組では、広く社会に性暴力の実態を伝えるため 被害やその後の苦しみについて具体的な表現を伴います。フラッシュバック等症状のある方は あらかじめご留意ください。気持ちが苦しくなってしまった場合は、どうか少し休む時間をお取りください。あるいは、安心・信頼できる人と一緒に過ごすのもよいと思います。ご自身の被害について相談したいことが湧きおこってきた場合は、電話で#8891におかけください。あなたがいる場所から、最寄りの「性暴力ワンストップ支援センター」につながります。

番組には、エミリさんのほか、vol.5でお伝えした写真家の にのみや さをりさんと、vol.36でお伝えした かや子さん(21歳・仮名)も“その後”を生きている人たちとして出演します。ぜひご覧ください。

“性暴力被害の深刻さを知ってほしい” エミリさんの思い


放送に先立って、エミリさんに改めてハッシュタグに込めた思いや 今回の番組の取材に最後までご協力いただいた動機についてお話を聞いたところ、メッセージが届きました。


エミリさん(30代・仮名)


実は、去年 #性被害者のその後 をつぶやき始めたとき、こんなに長い間使ってもらえるとは思っていませんでした。たった140字でも、被害経験を思い出し、理不尽な現実と向き合って言葉にすることは、大変つらい作業です。このタグが消えずに残り続けているのは、勇気を出して言葉にしてくださった方々のおかげです。皆さん、本当にありがとうございます。

「性暴力はどこか遠いところで起きている、自分には関係のないこと」と感じている人が多いかもしれません。実際は、誰にでも起こり得る身近な問題です。

言えないだけで、友達や同僚、家族など、身近な人達も何らかの性被害に遭ったことがあり、人知れず苦しんでいるかもしれません。多くの人が無関心であったり、被害者の落ち度を責める、いわゆる「セカンドレイプ」と呼ばれる発言をしたりすることは、被害者が被害を言い出しにくくなり、加害者が責任から逃れやすい空気を作り出しています。

どうか、性暴力において責めるべきなのは「同意を取らずに性的な行為に及んだ加害者」であることを知ってもらえたら幸いです。

そして、被害に遭った人が被害を打ち明けやすい世の中になっていってほしい、と願っています。

性暴力被害の特徴は、被害に遭った時だけで苦しみが終わらず、その後様々な後遺症が現れ、長期に渡って苦しめられるというところにあると 私は身をもって感じています。

現在、警察や司法関係者にさえそのことがほとんど知られていないために、被害届が受理されなかったり、不起訴や無罪になったりするということが起きているのだと思います。この番組を通して、性暴力が被害者に与える苦しみの重さが伝わり、性暴力被害を軽視する風潮が改善されていくことを願っています。


“痛みの声”が社会に受けとめられるまで 番組ディレクター・飛田より

(左・エミリさん(30代・仮名) 右・飛田ディレクター)

2020年のいまなお、性暴力を取りまく現状は 理不尽なことばかりです。私は昨年から“みんなでプラス 性暴力を考える”を立ち上げ、このテーマに関する取材と発信を続けています。取材をすればするほど、性暴力は 人が もともと持っていた能力や可能性を奪い、人生の質を大幅に低下させる、深刻な人権侵害だと捉え、だからこそ無くしていかなければならないという決意を持つようになりました。それと同時に、被害に遭った側が引き受けなければいけない痛みや苦しみの深さと 社会の中での受け止められ方のギャップにがく然とし、いつも無力感に苛まれてきました。

被害の多くは、日常生活の延長線上で起きています。性暴力は、年齢や性別にかかわらず、“わたしたちのすぐそばにある暴力”のひとつです。しかし、多くの人がその痛みを直視しようとせず、自分や自分の周りにいる人は無関係なものだと思っている。時には、被害者をより追いつめる言動をとってしまう…。一体どうすれば“痛みの声”が社会に届くだろうか――。そんな思いで、この番組の制作を始めました。

この番組は 取材者である私の思いだけではなく、ご自身の体験を通じて社会に性暴力の実相を届け、未来を変える力にしたいと願ってくださった方々のおかげで 生まれたものです。 被害の痛みを抱えているかたにとって、私たちのような取材者と対峙することは、それ自体、心の傷が刺激される体験に相違ありません。取材への協力を決意することは 身を切るような苦しさや 葛藤を伴うことだったと思います。インタビューに答えることも、ご自身が体験してきたことを見つめ直すことも、すべて とても勇気がいることで、ご負担が大きいものだったはずです。

それでもなお、ご自身の体験や思いを語ることで、性暴力が起こらない未来の社会をつくる一助となれば…と取材に応えてくださったエミリさん、かや子さん、にのみやさん。そしてご協力くださったすべての皆様に、心から感謝申し上げます。この番組の放送を通じて、苦しみを抱えて生きる人たちの 言葉に、耳を傾ける人がひとりでも増えるようにと願いながら 皆さんと一緒に、性暴力をなくすために何ができるのか、これからもずっと考え続けていきたいと思っています。

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