福島 ふるさと矢吹町 「押し花アート」で表現
- 2024年04月08日
押し花を使って絵画のように表現する「押し花アート」。そんな押し花の技法を用いて、ふるさとの町の風景を描く人に出会いました。(キャスター・渡邉由紀子)
※2024年4月5日に「はまなかあいづTODAY」で放送
押し花って変幻自在!
キャンバスに大きく花を広げたハス。
こちらは、大地に根を張り、花をつけて春を謳歌する桜。一見すると絵画のようですが、実は「押し花」でできているんです。花はサクラタデの花びら、木の幹はゴボウの葉を使っています。
矢吹町に住む、奥屋かね子さん。押し花や押し草を使って絵画のように表現する「押し花アート」を20年以上続け、これまでに全国規模のコンテストで数々の入賞を果たしています。
奥屋さんは、身近にある草花を材料に使っています。四季を彩る自宅の庭の花々が押し花の材料になるそうで、押し花アートのために育てているといいます。
どんな作品をつくりたいか考えながら、花の向きや形を変えて押していきます。植物のさまざまな表情を作品に生かすため、茎や葉も含め1年を通して集めます。
(奥屋かね子さん)
花は毎年同じ時期には咲くんですけれど、咲き方がその年によって色が濃かったり薄かったりします。どこで使うかは分からないけれど、出会ったのがチャンスだから何でも集めてきます。
材料は花や草だけじゃないんです。メロンの皮にイチゴ、シメジやエノキといった変わり種の作品は、奥屋さんが約20年前に制作したもので、しっかり乾燥させることで色や形をそのまま閉じ込めたような鮮やかさを保っています。果物や野菜などの、身近な材料も作品にするのが奥屋さんの持ち味。このように、ちょっと変わった押し花アートにも取り組んでいます。
(奥屋かね子さん)
ほかの人がつくっているようなのはやりたくない。ちょっと変わったことをしてみたいとか、何か挑戦してみたいっていう欲はあります。
押し花教室で魅力を発信
奥屋さんは、押し花アートの魅力を広めようと、自宅などで教室を開いています。教室には、町の外からも生徒が通います。押し花体験で訪れてから数年習い続けているという人や、友人から譲り受けた花を長く楽しむために作品にしたいという人など、それぞれが押し花を楽しんでいます。
私も春らしい作品をつくってみたいと、色紙で押し花アートに挑戦。使うのは桜と、矢吹町の花「シュンラン」です。
何をつくりたいか、どんなデザインにしたいかは作る人次第。作品の仕上がりを自由に想像しながら進めてもらうのが、この教室の方針です。奥屋さんにたくさんアドバイスをもらいながら作業を進めること、約30分。
春を感じさせる作品に仕上がりました。多彩な花の表情を楽しめる押し花で、さまざまな表現ができるのです。
ふるさとの風景を押し花アートで描く
そんな奥屋さんがここ数年チャレンジしてきたのは、地元である矢吹町の風景を題材にした作品です。大切なふるさとの風景を、自分ならではの押し花という手法で残したいと考えました。
この作品は、奥屋さんが幼いころから親しんできた幸福寺の観音像と桜を、額縁に閉じ込めたものです。
こちらは、地元の人たちの憩いの場、大池公園です。奥屋さんは、風景を題材にした押し花アートを通して、見慣れた場所に魅力が隠れていることに気づいたといいます。
(奥屋かね子さん)
絵筆が持てたら絵に描いたかもしれませんけれど、わたしは絵を描くことはあまり得意じゃないので、それらしく見せるっていうのかな。矢吹町はいいところなので作品を通して知っていただきたいし、矢吹においでいただければ町もにぎわうと思います。
あとがき
押し花を用いて風景などをすてきに表現できることに感動しました。奥屋さんのユニークなアイデアや目を見張る技法の数々が作品に凝縮されていて、取材中も驚きの連続でした。奥屋さんたち押し花教室のみなさんの作品は、今後町外でも展示される機会があるとのことです。(キャスター・渡邉由紀子)