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福島県議会議員選挙2023 福島の課題 ①復興・廃炉

  • 2023年11月09日

復興・廃炉に県議はどう向き合うか

芳賀アナ

まず伺いますが、ふだん県政の取材をしていて、この選挙戦をどのように見ていますか?

高野記者

県議会の取材をする中で、私たちの暮らしに関わる数億円単位の事業の議案などを議員たちが審議するようすを見て、県民から非常に重い役目を託されていると感じます。ただ、議員のそうした仕事が有権者に伝わっているかというと必ずしもそうとはいえません。今回の選挙ではきちんと有権者の声に耳を傾けられる人、そして福島が抱える課題の解決に力を発揮できる人が選ばれるかどうか注目しています。

福島が抱える課題のひとつとして挙げたのが「復興と廃炉」というわけですね。

福島県議会議員選挙2023 復興の現状

私はこの夏まで南相馬支局に2年間勤務し、帰還困難区域を含めて浜通り一帯を取材していました。原発事故で避難した人が帰還したくても帰還できない実情を目の当たりにしてきたからです。

こちらの地図、青い部分が、先行して除染やインフラ整備が行われた「特定復興再生拠点区域」です。ことし5月までに一部を除いて避難指示が解除されました。こうした地域では住民の帰還が始まり、復興は少しずつ進んでいると感じました。しかし、医療の体制や買い物できる環境が整っているとは言いがたい状況で、帰還が始まっているとはいえ住民の数はわずかです。また、まだ避難指示が解除されていない地域は赤い部分です。

まだまだ広く残されていますね。

こちらは浪江町の帰還困難区域から本宮市に避難している70代の男性の声です。

こういった切実な願いを口にしていました。
こうした課題は浜通りの一部の地域だけのものではありません。
県内の各地で避難生活を続けている人がいますし、一部の農林水産物は出荷制限が続いています。震災と原発事故からの「復興」は全県的な課題だと感じます。

福島県議会議員選挙2023 安全な廃炉

復興には福島第一原発の「廃炉」を抜きには考えられませんが、処理水の放出という大きな動きもありましたね。

ことし8月に始まった処理水の放出はいま、3回目の途中です。市場関係者によると放出後に福島産の海産物の風評被害は起きていませんが、今後、数十年にわたる放出を安全に続けられるのか、漁業者を中心にその懸念はぬぐえていません。放出の主体はあくまでも国・東京電力ですが、県民の代表でつくる県議会がどのように監視していくのかも問われています。

10月は汚染水の処理設備の作業員に放射性物質を含む液体がかかるトラブルもありましたね。

作業員2人が一時入院する事態になりましたが、これをめぐっては現場の作業上のルールやトラブルが起きたあとの東京電力の情報公開のあり方を問題視する声が原子力規制委員会からも挙がり、福島県などでつくる協議会が東京電力に安全確保の徹底などを申し入れました。廃炉を安全に進めるよう行政を通じて働きかけるのも、県議会の重要な役割だと私は考えています。
震災と原発事故から来年3月で13年ですが、被災者や農林水産業、それに廃炉の状況は常に変わって行きます。そうした「声」や「変化」にしっかり反応して政治に反映できるかどうかが福島県議会議員一人ひとりに問われていると思います。

  • 髙野茜

    NHK福島放送局 記者

    髙野茜

    2019年入局。
    警察担当→南相馬市局→
    県政担当。福島勤務も5年目になりました。

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