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けん玉のスゴ腕少年 福島県いわき市から全国へ

全国大会出場をかけた最後の戦い
  • 2023年06月23日

文化や芸術、スポーツなどの分野でずば抜けた実力をもつ、ダイヤの原石のようなジュニアを紹介する「うわさのミラクルジュニア」のコーナー。今回はスゴ腕のけん玉少年にスポットを当てます。先日、3度目の全国大会出場をかけた地区大会に臨みました。果たして結果は?

けん玉道五段の実力者

その少年はいわき市にいると聞き、訪ねたけん玉クラブ。すると、いました。

彼の手元でけん玉が生き物のように宙を舞っています。

けんを2回転させ、玉の上に乗せる「二回転灯台」。
玉を手前に引き寄せ剣先に入れたあと、3か所の皿やけんに玉を乗せる「うらふりけん~宇宙一周」。
こんな大技を軽々と決めているのは、いわき市の小学6年生の関隼人くん。

けん玉を愛する関さん一家

実は、父・母・姉・兄を含めた家族全員がけん玉競技に取り組んでいる“けん玉一家”。
隼人くんは、両親やきょうだいに連れられ、5歳のころからけん玉クラブに通い、1日3時間の練習を続けてきました。
隼人くんは、けん玉道五段を保持者する実力者。五段は20歳までの人が取得できる最高位で、これを弱冠11歳ですでに保持しているのだから、いかにスゴいかが分かります。
さらに、日本けん玉協会主催の全国大会、「全日本少年少女けん玉道選手権大会」に、東東北ブロックの代表として2年連続で出場。ことしの目標はずばり3度目となる全国大会出場で、先日、福島、宮城、岩手、青森の4県の小学生男子の代表を決める地区大会に臨みました。6年生の隼人くんにとって、最後の挑戦です。大会を前に隼人くんは次のように意気込んでいました。

関隼人くん
緊張もあるんですけど、楽しみの方がちょっと上回っています。ちゃんと一つ一つの技をしっかりやると自分に言い聞かせてきました。勝って全国大会で1回戦、2回戦突破していい成績を残したいです。

最後の挑戦 手に汗握る展開に

6月10日。東北各地から腕に覚えのある15人の強豪が集まりました。この中で全国大会に出場できるのは、1人のみ。予選は20種類の技に3回ずつ挑み、成功した回数が多い上位8人が決勝トーナメントに進めます。

ことしも優勝候補と目され、自信を持って臨んだはずの予選。プレッシャーから調子を崩し、ミスが続きます。予選をミスなく1位で通過することを予想していましたが、4回ミスの3位。
決勝トーナメントに駒を進めることはできましたが、悔しさや焦りから目には涙があふれます。

ピンチを支えてくれた家族

この時、隼人くんを励ましに駆け寄ってきたのは家族。
予選で失敗した技について失敗の原因を一緒に考えたり、「大丈夫、できるよ」などと励ましの声をかけたり。

いったん気持ちを立て直したものの、不安を抱えたまま迎えた決勝トーナメント。ここからは1対1の勝負です。

運命の決勝 勝負のゆくえは!?

直前にくじを引いて決められる技に交互に挑み、多く成功させたほうが勝ち。
1回のミスが勝敗に大きく影響します。落ち着きを取り戻した隼人くん。順調に技を決め、決勝戦に駒を進めます。

いよいよ決勝戦!難易度の高い技を3つ先に成功させほうが勝ちです。

1つ目の技「灯台とんぼ返り」。隼人くんが得意とする回転技です。玉にけんを乗せるバランスや1回転させたけんを、玉の上に乗せるタイミングがポイントの大技を成功させます。2つ目の技も決めました。

最後の技は「灯台~けん」。玉の上にけんを乗せたあと、剣先に玉を刺す技です。これを成功させれば、全国大会出場が決まります。
会場が静寂に包まれ、緊張感が漂います。隼人くんはここでも落ち着いて技を成功させ、見事、全国大会出場を決めました。

隼人くんの最後の挑戦はこれからも続きます。

関隼人くん
去年とおととしも優勝しているのでそこのプレッシャーが激しくて、予選の時はちょっと不安でしたが、決勝トーナメントのときは自分を信じて楽しくやることができました。すごいほっとしています。全国大会では兄や姉を超えられるよう頑張ります。

取材後記
大会前に練習を取材した日、雨が降る肌寒い日でしたが、隼人くんは半袖を着ているのに汗をかくほど真剣に練習に取り組んでいました。そのようすはまるでスポーツ。けん玉といえば子どもの「おもちゃ」だという私のイメージが大きく変わりました。
大会当日、隼人くんが思わぬミスに涙する場面では、間近で見ているこちらまでハラハラしましたが、最後にはこれまで見なかったクールな隼人くんの笑顔を見ることができました。
涙も笑顔も一生懸命何かに打ち込んだ先にある。11歳の隼人くんから大切なことを学ばせてもらいました。

  • 髙野茜

    NHK福島放送局 記者

    髙野茜

    2019年入局。
    入局直後にけん玉東東北地区大会を取材。その時に優勝したのは隼人くんの兄、一峰さんでした。

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