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一筆入魂!福島県川俣町の書道ガールズ

うわさのミラクルジュニア
  • 2023年05月22日

スポーツや芸術・文化などさまざまな分野で驚くような才能や技術を持つ福島県の若い世代を紹介していく「うわさのミラクルジュニア」。今回のテーマは、サムネイルの画像のとおり、書道です。このタイトルの文字を書いてもらったのは、全国トップレベルの実力をもつ川俣町の女子高校生。力強さと繊細さをあわせ持つこうした書は、どのように生まれるのか。彼女の「スゴさ」に迫ります。

全国トップレベルの腕前

今回の主人公は、高校2年生の齋藤きありさん。16歳。福島市にある県立橘高校に通っています。

齋藤さんは、中学2年生の時に伊勢神宮に奉納する由緒ある書道展で最高賞に選ばれるなど、全国でその腕が認められるほどの実力者です。

書道展で最高賞の文部科学大臣賞に選ばれた
齋藤きありさん

やればやるほど書道は奥深く、幅が広くて魅力的だと思っています。中学生の頃は、綺麗に書いたりお手本に忠実に書いたり、字形に気をつけて書いていた感じでした。高校生になってからは、字形に加えて線質だったりそういうところでも大きく作品の味が違ってくるので、その時その時で、筆の動き方とかも変わるので、そこを探求するのが楽しいです。高校生ならではの、かすれだったり、小中学生では書けなかったような、かすれやにじみ、書道のかっこよさなどを高校で学ぶことができています。もっとうまくなりたい、もっと素敵な作品が描けるようになりたいと思いながら練習してます。

手本はあの空海!?

そんな齋藤さんが、いま、取り組んでいるのはお手本を忠実に書き写す「臨書」。

お手本は、中国や日本の古典の優れた書。「書の神様」として名高い、あの弘法大師・空海が1200年以上前に残した灌頂歴名という作品の文字を臨書していました。

お手本は1200年前の空海の書

やっぱり、練習量が線質にも出てくると思います。すごく貪欲で、賞に入りたいという意欲が人一倍あります。最初に提出した作品と仕上がった作品と、全然違うくらい上手になるので、練習の大事さとかを、すごく作品を見ていると改めて思います。

あくなき書への探究心

母親の勧めで、地元・川俣町の書道教室に小学3年生の時、通い始めた齋藤さん。最初は遊び感覚で筆をとっていましたが、およそ1年後、県の書きぞめ展の入賞作品を見て、そのすごさに衝撃を受け、意識が変わっていきました。主に川俣町の自宅を中心に練習に取り組んでいます。 

美しい文字へのあこがれは、やがて書への探究心へと変わりました。現代、あるいは古い時代の書家に、時空を超えてお手本を求め、その技を自らのものに取り込んでいきました。

最初は遊び半分のような感覚で書いていました。書道を始めておよそ1年後に、家族で県の書きぞめ展の受賞作品を見に行ったときに「すごい」と、作品に圧倒され、自分もこういう風に展示していただきたいなという思いから、だんだん熱が入っていきました。県内の書道展で賞が取れるようになり、全国展に出品し始めると、下の賞ではあるんですが、自分たちの力でも受賞することができて、全国展でも結果が残せるかもしれないということに気付いたんです。そこから、全国展の受賞者の作品をたくさん研究して見て、県内では見られないような力強い作品や独特な作品もあり、視野が広がっていきました。自分が書く作品も幅が広がって行くのが楽しかったです。

いにしえの書で感性はぐくむ

今回、齋藤さんをスタジオに招いて話しを聞きました。

さまざまな作品に出会って、いろいろな特徴をつかんで、それを習得することで、視野が広がって、作品の幅も広がるので臨書をしています。

古典作品は、時代を超えて受け継がれてきた普遍的な美であるので、それを臨書することは、書に対する感性だったり、技能を高める上で、必要不可欠なことだと思います。

音楽聴いてテンションアップ

中学生の頃は、練習中にテンションを上げていくために、好きな自分のお気に入りの曲をかけていました。あまり書道がうまく書けないときには、音楽を聴くことで、曲の歌詞に励ましを受けていました。高校生になってからは、書を仕上げる時には音楽を断って集中するようにしていますが、休憩中は気分転換するために音楽を聴くことが多いです。

3姉妹で高め合う

妹の2人も書道で全国1位の賞を取る程に腕前がすごい

書道をするときは、1人で黙々とやることが多いんですが、その中で妹たちは、正直に意見を言い合って、アドバイスできる貴重な存在で、競い合えるライバルでもあります。

同じ目標に向かって頑張れたり、改善点を見つけたりしてくれるので、3人で高め合えることはよかったなと思います。(二女 齋藤ゆうあさん)

私は習字教室に行っていないので、お姉ちゃんたちから、家で教えてもらえるのがよかったなって思います。(三女 齋藤まえむさん)

書道の魅力は、白と黒だけの世界ではあるんですが、使う道具だったり、書き方で表現の幅がどんどん広がって行くので、それを探求し続けることと、これから自分の納得できる字を書いて、多くの人に心に留めてもらえるような作品を書いて、3人で切磋琢磨しながら、周りの人に感謝して頑張って行きたいと思います。


今回のミラクルジュニアは、書道を探求し切磋琢磨している、川俣町の書道ガール“ズ”、齋藤きあり、ゆうあさん、まえむさんを紹介しました。

出演を終えて、緊張が解けたところで記念の1枚
  • 添田拓郎

    NHK福島放送局 郡山支局

    添田拓郎

    2021年入局。須賀川市出身。県職員を経て、現在、郡山支局で県中地方や農業分野を中心にニュース取材を担当。

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