ページの本文へ

読むNHK福岡

  1. NHK福岡
  2. 読むNHK福岡
  3. 交通安全のニューヒーロー誕生!|NHK福岡

交通安全のニューヒーロー誕生!|NHK福岡

通学路戦士パトーラと交通ルールやマナーについて調べてみました
  • 2024年05月16日
福岡に交通問題に立ち向かうニューヒーロー誕生!?

今回の「追跡!バリサーチ」は交通ルールやマナーについて。
▼車が一時停止で止まらない
▼車や自転車のスマホみながら運転 など
危ないのでなんとかしてほしいという投稿が番組に多数寄せられています。どうお伝えしようか考えていたところ、最近県内に、交通問題に立ち向かう新たなヒーローが現れたといううわさをキャッチしました。実際に存在するのか、どんなヒーローなのか、できればその力を借りられないか…バリサーチしてきました。
(福岡放送局 記者・猿渡友希、ディレクター・仁部隆弘)

新ヒーローに接触!

ヒーローが現れると聞いて向かったのは、春日市の交差点。新学期が始まり、子どもたちが元気に登校するのを、大人たちが見守っていました。

子どもたちが駆け寄っていく先には…

近づいてみると、たしかに・・・ヒーロー!?

子どもたちにも人気があるよう

思い切って声をかけてみました。

ヒーローに接触!
パトーラ

私の名前は『通学路戦士パトーラ』
きょうは子どもたちの安全を守るために旗を持って立っています。

聞くと、交通量が多く事故も多いというこの交差点で、警察官とともに、子どもたちが信号を守って横断歩道を渡るよう見守ったということでした。

警察官

パトーラさんと見守ると、注目度が違いますね。これからも力を合わせて交通安全を守っていきたいと思います。

活動は見守りだけではありません。春休み中の小学校で行われた、交通安全教室にも登場!横断歩道の渡り方など交通ルールについて、子どもたちにも分かりやすいよう、実演を交えて教えました。

優しく楽しく教えるのがモットー

パトーラの秘密に迫る!

ボランティアで活動を続けているというパトーラ。いったい何者なのか?
自宅を直撃しました。チャイムを押すと・・・

迎えてくれたのは、パトーラ!
取材班

ご自宅でもパトーラの格好ですか・・・?

いえいえ…(※手振りで)

その場でマスクを外してくれました!

村岡麗菜さん

パトーラこと、村岡麗菜さん(30歳)です。去年、パトーラとしての活動を始めました。
 

村岡さん

子どもたちのためにも「パトーラが交通安全のための活動をしてパトロールしていくからね」と伝えていけたらいいなと思って。頼もしいヒーローになれるように変身しました。

無免許運転の事故で大切な人を亡くして・・・

村岡さんの活動の原点は、12年前の事故です。
2012年4月、京都府亀岡市で集団登校中の小学生の列に車が突っ込み、小学生2人と付き添いの女性のあわせて3人が亡くなり、7人が重軽傷を負いました。逮捕されたドライバーの少年(当時18歳)は、無免許で居眠り運転でした。

事故現場

亡くなった女性は松村幸姫さん。当時妊娠7ヶ月で、おなかの中の赤ちゃんも亡くなりました。
松村さんは村岡さんの8歳上のいとこで、仲が良かったといいます。

亡くなった松村幸姫さん(当時26歳)
村岡さん

最初はビューラーでまつ毛をあげる化粧をしてもらって。本当に憧れの“おしゃれなお姉ちゃん”というイメージが今でも残っています。

子どもの頃は毎日のように一緒に過ごした
村岡さん

事故のあとは、通学路を歩く子どもたちを見るだけで涙が出てしまって…日常の光景が一瞬で悲惨な事故現場に変わってしまったんだな、と思うと直視できなかったです。

交通安全のための活動をスタート

事故後、無免許運転の厳罰化を求めて活動し、法改正の大きな力になりました。2年前には交通事故ゼロを目指すNPO法人を立ち上げ、各地で交通安全について講演会を開いています。

交通安全を訴える講演会に登壇

2人の子どもの母親でもある村岡さん。子育てをする中、子どもにも楽しく交通安全について学んでほしいと、「通学路戦士パトーラ」に変身しました。

衣装は福岡のヒーロー仲間がデザインから作ってくれました
村岡さん

いかに多くの人に関心を持ってもらえるかが重要だと考えています。
あまり交通ルールや交通マナーを意識していない人にもどうすればアピールしていけるか、悩んだ末に、パトーラというヒーローの力を借りようかなと思いました。

「事故をなくすためには、ドライバー側の意識を高める必要がある」。村岡さんは、今後より幅広い活動をしたいといいます。

村岡さん

ドライバーに交通安全意識がないと事故はなくならないので、安全運転が出来ていない方などにも訴えていけたらいいなと思っています。

寄せられた投稿について相談してみました

交通安全のために活動を続ける村岡さんに、番組に届いた投稿を見てもらいました。

運転に慣れてくると、ついつい…
取材班

視聴者から交通違反やマナーについてなんとかしてほしいという声がたくさん寄せられていて、いい解決方法がないか探しているんです。

村岡さん

力になってくれそうな先輩がいるので紹介します!パトーラにお任せください!

先輩ヒーロー登場!質問してみました。

パトーラと向かったのは、先輩ヒーローのもと。
出会ったのは、自動車学校を拠点に活動し、大人も学べる交通安全教室を行っている「かめライダー」です。

「私の大先輩 かめライダーさんです!」ちなみに5色で5人います。

番組に寄せられた投稿について、パトーラと一緒にかめライダーに相談してみました。

車の交通違反・マナーについて質問
パトーラ

まずは、『ウインカーを出さない・遅い』について、どうしたら解決できそうですか?

かめライダー

何のためにウインカーを出すのかというと、周りに「自分が次どうするよ」というのを知らせるためなんですね。行動が終わるまで出しておかないといけないルールがあります。

パトーラ

誰のためにウインカーを出すのかをしっかり頭に入れておきたいですね。

次に『一時停止で止まらない』についてはいかがですか?

かめライダー

明確にルールので中で「何秒止まる」とは書いてはいないのですが、秒数というよりは自分がしっかり確認できたかというところを考えていただきたいので、確認に何秒かかってもいいです。

パトーラ

左を見て右を見ている間に、左から車が来ることもありますよね。安全が確認できるまで、きちんと止まることが大切ですね。

『ハイビーム走行』についてはいかがですか?

かめライダー

実は、暗いときはハイビームにしておくのが基本です。しかし、対向車がいる場合や他の車両等の直後を走る場合には、目がくらみ危険なため、ロービームにしなければ違反となります。また、歩行者への配慮も必要です。

自転車の交通違反・マナーについても、かめライダーに聞いてみました。

自転車でも、法律違反になります
かめライダー

特に、ながら運転は悪質な違反として取締りが強化されています。
最悪の場合相手の方が亡くなる可能性もありますので、自転車も車もながら運転は絶対しないでください!

自転車のヘルメット着用は努力義務ですが、ヘルメットをしていないと、死亡事故の割合が2倍以上になるというデータもあります。

パトーラ

“ヘルメットを着用することで助かる命がある”ということをもっと伝えていきたいですね。

かめライダー

どれも、命を守るために大切なことです。ルールは事故を未然に防ぐためにあるということを認識しましょう。

村岡さんは、「パトーラのように、大事な人を亡くしてから気づくのでなく、大切な人を失う前に一度、交通安全について考えてもらいたいです」と話していました。

 

取材を終えて

「これ以上、事故で大切な人を失い悲しむ人を増やしたくない」と交通安全のために懸命に活動する村岡さんの姿に頭が下がる思いでした。昨年度の交通事故の死者数は全国で2678人。亡くなった一人ひとりの周りには悲しんでいる家族や友人がいて、その悲しみが癒えることはない。交通ルールを守ることの大切さを、少しでも多くの人に意識してほしいと改めて強く思った取材でした。

疑問・お悩みなど投稿はこちらから👇

  • 猿渡友希

    NHK福岡放送局 記者

    猿渡友希

    2023年入局。福岡県出身。人々の暮らしや地域の取り組みの取材をしています。

ページトップに戻る