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"移住者が増える街" 日置市 秘けつは「機動力+冷静さ×温かさ」

2023年08月21日 (月)

いま、じわりと移り住む人が増えている自治体があります。

鹿児島県日置市。
人口約4万7000。鹿児島市のお隣です。
昨年度は2028人が転入し、転出者を143人上回りました。
周辺の自治体で人口減少が続く中、驚きの数字です。

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私も何度か訪ねたことがあるこの街は、
空港があるわけでも、大きな産業があるわけでもなく・・豊かな自然と温かい人がいます。

ウェルビーイングな感じ!とはいえ、住むかどうかは別問題。

なぜ移り住む人が増えているのか。

永山由高市長(40)にインタビューをすると、その理由がわかりました。
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日本政策投資銀行に入行後、帰郷し、NPO活動や民間企業で都市開発や地域作りに携わり、ビジネスの経験を重ねてきた永山市長。“成功”の秘けつは、その経験に基づいた「誘致の戦略」でした。

■ターゲット、ニーズを冷静に分析

喜んでほしい人は誰か。
移り住んでくれる人を分析すると、子育て世帯の中でもお子さんが小さい人たちという具体的な像が見えてきたといいます。
真っ先に作ったのが「子ども未来課」。
いわゆる保活の柔軟性を上げ、待機児童が多い鹿児島市からも受け入れるなど日置市以外の自治体へのアプローチを強めていきました。

それだけではありません。“仕事のニーズ”も冷静に分析しました。 

永山市長
日置市で唯一不足しているのが事務系職種です。
今までの工場誘致を前提にした企業誘致ではなく、会社の本社に移ってきていただけるような営業活動に切りかえて、
この2年間で本社を移していただいた企業が9
社あります

財政措置を伴う企業への優遇ができない中小規模の自治体にとって、
本社の誘致はなかなか難しそうですが、それを実現したのは“誘致の発想の転換”でした。

■企業誘致ではなく個人誘致

実は日置市は、企業の本社だけでなく、エアギターの全国大会、プロバレーボールチームの本拠地など、多くの誘致に成功しています。
そこには共通のキーワードがありました。

「個人誘致」です。

市長自ら経営者個人との関係を強め、時には日置市での営業活動も一緒に行います。
ラブレターを書き、機動力をもって企業のニーズに応える。
こうして個人のつながりを強めていくそうです。
決め台詞は「この夕日を一緒に見たい!」・・そう思ってもらえたらと、市長は話します。

永山市長
今の時代に拠点を移す経営者の方々は、働き方だけじゃなくて暮らし方や生き方にも問題意識や強い興味関心をもっている。
五感で街の魅力を感じてもらえるプレゼンテーションに取り組んでいます

 

街の魅力はどこにあるのか。
冷静さと温かさを兼ね備えながら機動力で実行し続ける。

多くの市町村で人口が減少する中、プラスに転じるヒントがここにあるのではないかと感じました。
今後も注目していきます!
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