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福井 復活を遂げた越前和紙の伝統技法 金型落水に加藤諒が挑戦

2023年10月20日放送 福井ザクザク!掘らナイト「加藤諒さんが行く 体感!福井の魅力再発見の旅」②
  • 2023年11月08日

    福井県越前市の特産で伝統工芸である越前和紙は、古くから最高級の和紙として国内外で重宝され、ベルサイユ条約の調印でも使われたと言われています。俳優の加藤諒さんが福井の魅力を再発見する旅。後半は、“越前和紙”の手すきを体験、40年ぶりに復活した伝統の技法で「金型落水紙(かながたらくすいし)」作りにも挑戦しました。

    1500年の歴史を持つ“越前和紙”

     

    続いて加藤さんと訪れたのは、福井県越前市の「岡太神社・大瀧神社」です。こちらの神社、ある珍しい特徴があることで知られています。

    大谷舞風
    アナウンサー

    急ですがクイズです!こちらの神社はある珍しい神様が祀られているところなんですが、何の神様だと思いますか?

    加藤諒さん

    え、クイズ⁉う~ん・・・境内に立派な木があったので、木ですか?

    ブッブー!正解はこれなんです!

    祀られているのは、1500 年前、越前に紙すきを伝えたと言われる「紙の神様」こと、川上御前(かわかみごぜん)です。

    越前市の特産で伝統工芸である越前和紙。越前の職人の技術は高く、古くから最高級の和紙として国内外で重宝されてきました。優れた耐久性から、天皇の即位の儀やベルサイユ条約の調印で使われたとも言われています。

    人気は“金型落水紙”  和紙工房

    和紙職人が軒を並べる5つの集落(不老・大滝・岩本・新在家・定友)には、現在40軒ほどの工房があります。その1軒を訪ねると、店主で紙すき職人の栁瀨(やなせ)京子さんが迎えてくれました。

    店先にはおしゃれな和紙の雑貨がずらり。周辺の7つの工房の製品を取り揃えています。

    加藤諒さん

    おすすめの商品とかあります?

    紙すき職人
    栁瀨さん

    こちらのうちわです。

    金型落水紙を使ったうちわ

    栁瀨さんのイチ押しはこちらのうちわ。金型落水紙(かながたらくすいし)という紙を使って、1つ1つ手作りでつくられています。

    金型落水紙は、金型を使って和紙に模様付けをする技法でレース生地のような風合いが特徴です。このまま部屋に飾るだけでも華やかになると人気なんだそうです。

    紙すき職人
    栁瀨さん

    金型落水紙をつくる体験もできるんですよ。

    加藤諒さん

    え!僕たちとかやったことがない人でも、こんなきれいに模様が作れるんですか?

    私が手ほどきさせて頂きますので、できますよ!

    加藤諒さん 和紙づくりに挑戦!

    栁瀨さんの工房の本業は、お菓子の包装紙に使う和紙の製造です。和紙を身近に感じてほしいという思いから、3年前に体験工房もスタートしました。

    加藤さん、さっそく紙すきに挑戦です。専用の木枠を使って、紙の原料をすくい均一に行きわたるように揺らして、水分を落としていきます。

    紙すきが終わったら、次は肝心の模様付けです。まずは栁瀨さんが金型落水の技を見せてくれました。まず、すいた後の和紙の上に、うずまき模様の金型をのせます。

    そして、その上からシャワーで水をまんべんなくかけていきます。

    シャワーをかけることで、水が当たった部分の紙の繊維が薄くなり、繊維が厚い金型の部分が模様になります。ムラができないよう、シャワーヘッドの高さを一定に保ちながらシェイクするように小刻みに揺らすのが、均等に水をかけるのがコツなんだとか。

    シャワーのイメージトレーニングをする加藤さん

    加藤さんも、シャワーのかけ方をしっかり練習して・・・。

    いざ本番!均一に水がかかるよう、小刻みに揺らしながら、端から端へと移動していきます。果たしてその出来栄えは・・・?

    うずまき模様がくっきり!加藤さん、初挑戦できれいに模様付けができました。

    途絶えた伝統技法 40年ぶりの復活

    金型落水紙は越前の伝統的な技法ですが、実は40年前に需要が落ち込んだことから作られなくなっていました。

    それを復活させたのが栁瀨さんです。きっかけは7年前、大学生と一緒に行った製品開発での出来事でした。

    紙すき職人 栁瀨京子さん
    学生たちから「この紙自体が商品なんじゃないですか?」と言ってもらって「紙って品物なんや!」って。日々のなりわいとしてやっていたのですが、紙として「商品ですよ」って伝えてもらったので、そこからまた復活して。

    学生のアイデアを聞いた栁瀨さんは、お菓子の包装紙以外に和紙そのものが主役になる新たな製品の開発に取り組みました。

    そこで祖父が昔使っていた金型が、倉庫に眠っていることを思い出したのです。その後、柳瀬さんはキレイに模様が出る技術を1年間研究し、金型落水紙を復活させました。

    加藤諒さん

    紙すき体験でこの手法を伝えることによって、金型落水紙はもうなくならないかもしれないですね。

    紙すき職人
    栁瀨さん

    そうかもしれないです。子どもさんとか、いろんな方に体験していただいてるので、「ここにこんな紙あったわ」って思い出していただけたら、ずっと続けていけるのかなって。

    偽札防止の技術を応用した新製品も

    和紙だけで主役になれると実感した栁瀨さん、今年さらに新しい製品を開発しました。

    それがこの紋つなぎという製品。雪の結晶の模様がうっすらと繋がって、1 枚の紙になっています。

    この紋つなぎには紙の薄い部分と厚い部分で絵柄を生み出す技術が使われています。タペストリーとして戸口にかけたり、ちぎって窓に貼ったりと、主に室内の装飾品として作っています。

    実はこれ、お札の「透かし」を作る技術を応用した製法です。偽札防止のために取り入れられた「透かし」は、越前の職人が開発したものなんです。

    伝統技術をいま そして未来へ

    栁瀨さんの目標は、古くから続く伝統の技術をいまの価値観と融合して未来につなげることです。

    俳優 加藤諒さん
    すごく楽しい体験をさせていただきました。あんな楽しみながら体験できるとは思っていなかったので、伝統工芸の印象がだいぶ変わりました。

    紙すき職人  栁瀨京子さん
    技術を使いながら、新しい方にも知っていただくためにはどうしたらいいのかを試行錯誤しながら、いろんな方との繋がりによって、新しいものを作らせていただいています。加藤さんが感じた楽しさをぜひいろいろな方に伝えていただけたらありがたいです。

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