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福井 ふるさとを知りたい! 住民たちが独自調査 字(あざ)でみる東郷地区

2023年9月11日放送 ほやほやみつけ隊
  • 2023年10月06日

福井市の中心部から南東に位置する東郷地区は、水田に囲まれた農村地域です。地区の北側を足羽川が流れるこの土地は、おいしい米が自慢です。9 月11日放送のほやほやみつけ隊では、そんなふるさとへの愛を育む人たちのもとを太田実穂キャスターが訪ねました。

独自で深掘り!ふるさとセミナー

20年以上前から東郷地区にまつわる歴史や文化について勉強会を行っているふるさとセミナーのみなさんです。地域の歴史を後世の人に伝えていきたいと、あるものを制作してきました。

ふるさとセミナーが制作した冊子

それがこちらの冊子です。東郷地区に残る神社や寺、昭和時代の地区の街並みについて独自で地道な調査を行い、まとめてきました。

参加者

東郷地区に残された昔からのものをいろいろと調べ上げて、後世の人に伝えていく。ただ口伝えだけでは忘れ去られていきますので、やっぱり字に書いたものを本を作って残していったほうがいいかなと。メンバーの努力の結晶です。

丸4年の大調査「字(あざ)」とは

こちらはことし3月に新たに完成した冊子です。土地の名称「字(あざ)」についてまとめています。

ふるさとセミナー 参加者
「字」の名前は聞いたことあるけれど、今それ使わないね、という話から調べることにしました。その場所がなぜその字になっているのかを調べると昔の歴史がわかりますが、とても大変な作業で、丸4年はかかりました。

調査では、字の読み方やその由来について昔の資料で調べたり、福井市郷土歴史博物館の学芸員に聞き込みを行いました。その結果、東郷に残る「字」は400を超えることがわかりました。

「字」を調査 言い伝えなどをまとめた

東郷の「字」を調べると、大森神社が鎮座した地には「大森」という字がついていたり、「蔵屋敷」という地には、かつて蔵がある屋敷が残っていたことがわかりました。

「字」からわかる東郷の歴史

また、「山竹」という字は地区の宝である郷土の偉人とゆかりがあることも明らかになりました。

槇山城跡にある長谷川秀一公石碑

その人物は織田信長や豊臣秀吉にも仕えた武将・長谷川秀一です。東郷地区には、およそ400年前、槇山城という城があり、最後の城主は長谷川秀一でした。「山竹」という字は、幼いころ「竹」と呼ばれていた秀一が住んでいたことから、名付けられたということです。

ふるさとセミナーの参加者に話を聞くと、丸4年におよぶ調査は、当たり前に暮らしていた土地を再発見するきっかけになったといいます。

参加者

(歴史ある土地として)一乗谷が脚光を浴びていますが、旧城下町であり、農村部である東郷も、一乗谷と同じくらい歴史的地名が残っているということです。

調査は大変というより、新しいことを知ることができるのでワクワクのほうが大きかったです。私は嫁いで来ましたが、みんなが田んぼの名前を字で呼んでいるときがあったので、その理由がわかったのがよかったです。

外から来た人にもわかりやすく一覧になっているのがありがたい。自分が行ったり関わったところを調べてみようという気持ちになると思いました。

学芸員も驚く ふるさとへの探究心

調査に協力した福井市の学芸員、白嶋祐司さんも、今回の取り組みは歴史上価値のあるものだと評価しています。

福井市 学芸員  白嶋祐司さん
非常に熱心に調べられていると思います。やはり地元にしか伝わらない、文字になっていない言い伝えもかなりあって、それを知っていらっしゃる方も結構おられますので、それを冊子にまとめるというのは歴史上も価値があることだと思いました。

ふるさとセミナーには、小学校から東郷の歴史を教えてほしいと相談も寄せられていて、アドバイザーとしても活躍しています。今後もふるさとを知る努力を惜しまず、後世に伝え続けていきたいと語ります。

ふるさとセミナー 参加者
せっかくご縁があって東郷に生まれたり、引っ越してきてここで育っているんだから。その土地がどんなやったんかなと、まず知ってもらってふるさとを大事にしてほしいです。

店員は小学生 東郷の駄菓子屋

ふるさとへの愛は、あるユニークな取り組みを通じて子どもたちの間でも育まれています。

それがこちらの駄菓子屋、店頭に立つのは、東郷小学校の児童たちです。
「商品を売る」「客とコミュニケーションをはかる」など様々な経験を積むことができる子どもたちのキャリア教育の場をつくりたいと、地域の団体がクラウドファンディングを募り、2021年に開店しました。少子高齢化や家庭環境の変化によって子どもたちと地域の関わりが減るなかで、新たな交流の場にもなっています。

小学生

レジとかくじとかお金の勉強にもなるし楽しい。

明るい気持ちでありがとうとか言われたらうれしい。自分もうれしい、お客さんもうれしい。

企画した東郷ふるさとおこし協議会の藤井紀光さんは、こうした経験を通じて、子どもたちにふるさと東郷地区での楽しい記憶をたくさん残してほしいと語ります。

東郷ふるさとおこし協議会 会長 藤井紀光さん
この駄菓子屋を通じて、友達と一緒にいろんな思い出をつくり、その経験から育まれる郷土愛を持って、このあとも成長していってほしいです。進学などで県外に出たあとも、また東郷に帰ってきて一緒にまちづくりをしてくれたり、幸せに生活してくれたらいいなと思っています。


★ほやほやみつけ隊とは★
「ニュースザウルスふくい」の名物コーナー。福井放送局のキャスターが、緑のはっぴを着た「みつけ隊員」として県内を地区ごとに訪ね、地元の味覚やすてきな活動、そして元気な皆さんを「みつけ」ます。

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