山案内人・降旗義道です。
いよいよ次回は最終回です。
長かったか短かったか、現地視察やロケハン、登山ルート選びなど
約半年に及ぶドラマ作りに参加させてもらいました。
そんな中、特に最終回の一部で舞台となる白馬大雪渓の現状には大変驚きました。
今までは、この写真のように白馬大雪渓は全長3・5キロ、標高差600メートルで
針ノ木岳、剱(つるぎ)岳の雪渓と合わせ日本3大雪渓といわれました。
しかし、白馬大雪渓は大きな穴と空洞ができていました。
9月の始め、このドラマの第5回・第6回のロケハンで監督・カメラマン・助監督をお連れしたのですが
白馬岳から白馬大雪渓を下り、猿倉までのルートで帰る途中の大雪渓は、
雪が溶けてアーチ状に崩落している様子には驚きました。
この辺では、昨年の冬以来の雪が少なくて堆積しなかったんです。
地元の山仲間でも何年も前から雪が少なくなったと、誰もが感じていたことは事実です。
温暖化の影響ではないかという見方も出ています。
北アルプス周辺の自然が気象の変化に敏感に反応し始めたようです。
クレバス(雪の割れ目)の拡大や雪渓の崩落で登山ルートが危険になったため、
9月1日から通行止めになりました。
大雪渓の通行止めは前例がありません。
山案内人としては、こうした白馬大雪渓の現実をドラマの中で取り入れてもらえればと、
監督や脚本家と相談して大雪渓調査隊が登場する場面を作ってもらいました。
とはいっても今までとはとは違う姿になった大雪渓のルートは危険が多く、その為の準備も考えました。
私の爺さん達が昔使った安全なルートをたどって雪渓に入ることとし、
遭難対策協議会のメンバーも多数参加してもらって、万全な体制で撮影にのぞみました。
その結果、大雪渓の現状がよく伝わる場面ができました。
今年は春から涸沢(からさわ)や上高地など北アルプスの各所でも雪が少ないといわれ、
このまま雪不足や気温の上昇が続くと、雪渓のルートに限らず春先の雪道の確保などに影響も予想され、
来シーズンに向け山岳関係者や登山者の懸念も生じそうです。
プレミアムドラマ「山女日記」
最終回『頂を越えて~上高地・涸沢(からさわ)』
12月18日(日) 夜10時からBSプレミアムで放送
再放送は土曜 夜11時45分から!
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投稿者:スタッフ | 投稿時間:18:00 | カテゴリ:山女日記~女たちは頂きを目指して~