山案内人・降旗義道です。
最終回(第7回)の撮影は美しい上高地・河童橋からスタートです。
ここから徒歩で6時間。
中間地点の横尾までは、梓川に沿って平坦な道ですが、
そのあとは涸沢(からさわ)まで一気に急な登りが続きます。
平らな道は急ぎ足になりがち。
横尾までは足に極力負荷をかけさせないよう、ゆっくりのペースで進みました。
↑河童橋
メイン・ステージは穂高岳・涸沢。
9月中旬から始まったこの撮影は、天気との闘いでした。
山登りはすべて自己責任の世界です。天気予報も然りです。
私はニュースの天気予報などはあてにせず、自分の携帯電話の天気図で判断しています。
今回の涸沢撮影で、私を悩ませたのは雪でした。
いつ山に雪が来てもいい季節に入っていました。
例年だと3000m級の山が雪に覆われるのは10月10日前後。
撮影スケジュールの都合で涸沢撮影は10月末でした。
すでに何回か降雪がありましたが、幸い少なくすぐに溶け、日影にわずかに残る程度でした。
毎日天気図と「にらめっこ」です。
幸運にも3日前の天気図の予報で、涸沢の撮影当日は高気圧のど真ん中。
その日の夜半から前線が通過するので、下山は雪の中と予想できたのです。
キャスト・スタッフ全員にアイゼン(雪爪)を持たせて、登山口、上高地へと向かいました。
↑涸沢への登山
総勢50余名、個人装備の他に撮影機材も加わった大変な荷物です。
幸い、一人の脱落者もなく、山小屋・涸沢ヒュッテに着くことができました。
明日は早朝からの撮影です。
撮影当日の朝5時、満天の星空の下ヘッドライトを付けて撮影開始です。
やがて空が明るくなり始めると、奥穂高岳や涸沢岳が太陽の光で赤く染まり始めました。
荘厳なモルゲンロート(朝焼け)です。
キャスト・スタッフ全員が、その神秘的な美しさを見入る中その瞬間を逃さずワンシーンに取り込みました。
↑モルゲンロート
いつもの涸沢は、色とりどりのテントがいっぱい張られているのですが、シーズン終わりのためテントはほとんどありません。
早朝の撮影に備えて、持参した小道具のテント張りが日暮れまで続きました。
↑涸沢の登り ↑涸沢テント場
↑すでに冬支度が完了した、涸沢ヒュッテのテラス。
バックの景色は見事でした。
快晴に恵まれ撮影は順調に進みましたが、終了は夜の9時。
16時間に及ぶ撮影でしたが、無事に終わった安堵感で、
夜の涸沢ヒュッテは笑い声が遅くまで続きました。
↑一夜明けた朝
翌朝は予想通りの吹雪、積雪10cm。アイゼンを付けての下山です。
慣れない雪道を慎重に下って行くことになりましたが、撮影が成功した満足感に包まれての下山でした。
↑涸沢 雪のテラス ↑慣れない雪の下山
とにかく、無事に撮影が終了して良かったです。
出演者・スタッフの思いが詰まった最終回、ぜひご覧下さい。
プレミアムドラマ「山女日記」
最終回『頂を越えて~上高地・涸沢(柄沢)』
18日(日)夜10時からBSプレミアム
再放送は毎週土曜夜11時45分から
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投稿者:スタッフ | 投稿時間:17:00 | カテゴリ:山女日記~女たちは頂きを目指して~