未来に向けて進化を遂げる AIによるアナウンス

未来に向けて進化を遂げる AIによるアナウンス

最近、ニュース番組や気象情報のコーナーで、「ここからは、AI自動音声でお伝えします」というコメントを耳にしている方は多いと思います。

202312_01_002.pngAIアナウンスの仕組み

AI自動音声とは、文章に対応する音声を自動生成する技術で、NHK放送技術研究所が開発を進め、ラジオ放送などに取り入れられてきました。原稿を専用のシステムに入力すると、カタカナの文字とアクセントなどを示す記号に変換され、アナウンサーの読み方を学習したAIが読み上げるという仕組みです。現在は「おはよう日本」などのニュース番組のほか、全国27の放送局のラジオの気象情報で、導入しています。

しかし、AIによるアナウンスの導入直後から、さまざまなご意見やご指摘を頂いてきました。

【視聴者から寄せられた声】

  • AIの音声でニュースを伝える時間がある。語尾がおかしくて、違和感がある。(60代男性)
     ※同様意見 複数

  • AIによるアナウンスで、微妙に音声のつながりが不自然に聞こえることがある。音声の意味がなかなか頭に入ってこない。(60代女性)

 ●改良進む AIのアナウンス

ご指摘にある違和感の要因の一つは、アクセントです。日本語は、複数のことばがつながるとアクセントが変化することがありますが、その変化に対応できず、聞き慣れないアクセントになることがありました。
そこで、NHKでは2016年以降、さまざまな改良を加えてきました。2023年6月からは、AIそのものが「日本語発音アクセント新辞典」で調べる機能を導入しました。新機能により、アクセントの精度が上がり、アナウンサーが読むような自然な日本語に近づけられるようになりました。

例)新型コロナウイルスに伴うことば  「集団免疫ができる」

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視聴者から寄せられた声です。

  • AIのアナウンスが初期のころから発達し、自然な感じになって驚いた。(50代女性)
  • AIのアナウンスは、とても高度な技術だ。向いていない番組もあるが、ニュースで使われるのはよいと思う。(60代男性)
  • とても聞きやすくて読み違いもなく、自然でいいと思う。(60代)

●災害時での活用

こうしたAIアナウンスの技術は、社会のさまざまな場面で活用され始めています。その一つが、災害時に命を守る“防災の呼びかけ"を公開する取り組みです。大雨や熱中症などによる被害を防ぐため、AIを活用して作成した音声データを2022年9月から専用サイトで公開し、誰でも自由に活用できるようにしました。NHKアナウンサーが改善を重ねてきた呼びかけ文と合わせて、地域の防災減災に役立ててもらうのがねらいです。

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これまでに76の呼びかけ文を公開し、2023年4月から10月末までに、音声データと合わせて6,000件近くがダウンロードされました。
東京・新宿区にある大規模バスターミナルでは、熱中症対策としてNHKが公開したAIアナウンスの音声データを活用。熱中症警戒アラートが出た時に「暑さから命を守る行動をとってください」「こまめな休憩、水分や塩分の補給など暑さ対策をしてください」などの呼びかけを、館内放送で繰り返し放送。ターミナルの利用者や従業員の安全確保に役立てたということです。

202312_01_005.jpgバスターミナルでの活用事例の紹介

 そして令和6年能登半島地震では、金沢放送局や新潟放送局で、り災証明書の発行など繰り返し伝えるべきライフライン情報についてAIアナウンスを活用しました。「アナウンサーが中継や取材など現場に出ている時にも、必要な情報を確実に届ける」。人とAIアナウンスの両方で対応しています。AIによるアナウンスの活用については、自治体や企業などほかにもさまざまな試みが進んでいます。NHKでは今後も、新たな技術をいかして、さらなる放送・サービスの充実につなげられるよう取り組んで参ります。

NHKアナウンサー 命を守る“防災の呼びかけ"
https://www3.nhk.or.jp/news/special/suigai/yobikake/

※内容は、掲載当時のものです。