災害のニュースをリアルタイムに、英語で提供

災害のニュースをリアルタイムに、英語で提供

災害時の、外国人に向けた情報発信について、視聴者のみなさまから寄せられた声です。

【視聴者から寄せられた声】

  • 記録的な大雨が続いているが、これらの情報を外国から来られた方に向けても広く伝えるべきと感じる。(不明)
  • 災害時の放送が、被災者が欲しい情報にはなっていなかった。各地の被害の状況、避難のしかた、困られている方への支援、外国人への支援なども伝えてほしい。(60代男性)

NHKでは、日本語以外の言語による災害情報の発信の強化に取り組んでいます。

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NHKワールドJAPANのウェブサイトとアプリでは、19の言語でNHKのニュースやテレビ・ラジオの番組を配信しています。さらに、今年5月からは、国内向けの災害時特設ニュースで、英語の字幕をAIが音声で読み上げるサービスを始めました。

202307_01_003.png総合テレビのニュースを、放送技術研究所が開発したAI翻訳で英語の字幕に変換、さらにその英語をAIで音声化しています。このサービスは、原則として震度5弱以上の地震が発生した時や、津波・大津波警報、大雨特別警報などが発表された時に行うことにしています。7月末までに、能登地方で震度6強を観測した地震などで6回、Jアラートで1回、福岡・大分に大雨特別警報が出された際に1回、あわせて8回、配信しました。

●自治体や大学などと連携し、地域で多言語対応の防災を

岩手県では、留学生や地域の住民を対象に、防災力向上の取り組みをおこなった事例もあります。きっかけは、盛岡放送局の近くにある、上田公民館の館長の一言でした。

  • 東日本大震災の時、公民館が外国人の指定避難所になっていたが、態勢が整っておらず、受け入れられなかった。今でも公民館だけでは解決が難しい

そこで盛岡放送局では、盛岡市や公民館、岩手大学などと連携して、1年をかけて外国人や受け入れる地域の住民の防災力向上のプロジェクトに取り組みました。その結果、盛岡市内の防災・国際関係機関への聞き取り調査などを通して、課題が浮き彫りになりました。

  1. 外国人を受け入れるための態勢が整っていない(言葉の壁など)
  2. 留学生の半数以上が、避難場所を知らない
  3. 留学生の多くは災害や防災についての知識がない

中国やアイスランド、バングラデシュ、タイなど、出身や母国語も様々な留学生を地域で運営する避難所でどう受け入れていくのか。中には、地震を一度も経験したことがなく、避難訓練をしたこともない人もいました。

そこで、プロジェクトでは、こうした課題の解決を目指した「多文化防災フォーラム」を今年3月に開催。災害時に外国人の避難所となる公民館で避難訓練を行いました。簡単でわかりやすい日本語と3か国語(英語・中国語・ハングル)で、受付への誘導や避難所名簿への記入を説明するシートや翻訳アプリを使って、避難してきた留学生を受け入れる態勢づくりを確認。一方、留学生たちは、自宅からの避難経路を確認したり、地震体験車で震度7の揺れを体験したりしました。

202307_01_004.jpg【フォーラムに参加した留学生の声】

  • 日本語は難しいので、やさしい日本語と英語の説明で簡単に理解できた。(オマーン出身30代女性)
  • 地震がどんなものか初めて知った。(中国出身30代女性)
  • 本当の地震だったら絶対何倍も怖い。(中国出身 20 代女性)

202307_01_005.jpg(フォーラムの参加者)

その後もプロジェクトでは、新たに盛岡市にやってきた留学生を対象に、多言語で呼びかけるシートを配るなど活動を続けています。

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2つの取り組みを紹介しましたが、日本を訪れている外国人や留学生のみなさまに、さまざまなチャンネルを通じて災害・防災情報を届けることは、公共メディアの「あまねく伝える」使命のひとつです。これからも放送・サービスの改善・向上に努めていきます。

NHKワールドJAPAN
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/

NHKワールドJAPAN 多言語サービス
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/ja/internet/

NHKワールドJAPAN アプリ
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/ja/app/

盛岡放送局
https://www.nhk.or.jp/morioka/

※内容は、掲載当時のものです。