“夜警”は、アムステルダムの市警団から発注された肖像画だった。実は、殺人事件はこの市警団に関連していたという。名画がどのように描かれ、作者レンブラントがどんな思いを絵に託したのかを、さまざまな角度から紐解き、絵画に描かれた34人を監督が直接尋問しながら真相に迫っていく。“夜警”に描かれた画家レンブラントの告発とはどのようなものだったのか？この作品は、名画にかかわる事実と犯人捜しのフィクションが、ピーター・グリーナウェー監督ならではの独特の映像で描かれる斬新なスタイルのドキュ・ドラマである。

奇才ピーター・グリーナウェー監督の挑戦

奇才ピーター・グリーナウェー監督（「プロスペローの本」「コックと泥棒、その妻と愛人」「枕草子」）は、独特の映像美で世界中にファンも多い。監督は最近、“夜警”がテーマの映画を撮り終えた。この作品は、その映像を使用しながら制作した。監督は、30代で大成功を収めたレンブラントが、何故1642年を境に転落の一途をたどり、破産宣告を受けるまでに至ったのか疑問に思い、美術学校の学生時代から研究を続けてきた。そして、絵の中に、謎を解く鍵があると確信したのである。

レンブラントの告発

36歳のレンブラントは人生の絶頂期。一流の肖像画家としての名声がヨーロッパ中にとどろき、莫大な富を築いていた。その栄華には一片のかげりもなかった。アムステルダム市警団の肖像画“夜警”を描くまでは…。レンブラントはモデルの実像に迫るべく彼らに近づいた。しかし、そこにあったのは市民を守る英雄の姿ではなく、金銭的不正、スキャンダル、そして殺人だった。レンブラントは、絵画による告発を決意する。しかし、その後、彼には市警団による恐ろしい復讐が待っていた……。

名画に隠された31の秘密

名画“夜警”には、当時起きた殺人事件の証拠が散りばめられているとグリーナウェー監督は言う。31項目に渡り、監督は事実にもとづいて推理を行う。中心に立つ男性が持っている手袋、周囲の男たちが持っている武器、スポットライトがあたる女性、重要人物が形作る三角形の構図など、絵画の要素に注目、その背後にある秘密をひもといていく。

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