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2017年08月04日 (金)

番組担当ディレクター・取材見てある記 vol.6:お宝は隠れた場所にある

7月16日(日)に放送された地域魅力化ドキュメント ふるさとグングン!』。今回は北海道・白老(しらおい)町から、「おいしい・楽しい・かっこいい ~アイヌ文化で地域おこし~」をテーマに語り合いました。番組制作を担当した後藤秀典ディレクターに、番組制作のこぼれ話を紹介してもらいました。

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30分でこれだけのイワナが!

 

 

魅力的なものが何もない・・・と若者の流出が続く北海道白老町。しかし、たった4回、のべ1カ月弱の取材で、番組で紹介しきれないほどの魅力を見つけた。そんな宝物のほんの一部を紹介します。

ロケ中、大雨が降った。白老の若者たちとともに山奥で山菜採りの取材をする予定だったが、雨が収まるのを待つこととなった。ここでも行動を起こすのが、地元学の達人、吉本哲郎さん。原木シイタケ農家の桔梗原(ききょうはら)光男さんを訪ねることにした。桔梗原さんの庭からは、清水がこんこんと湧いている。その水のおいしいこと・・・これも白老町の宝物の一つだ。

しかし、今回の目的は、それではない。桔梗原さんが、前日の取材でポロっと漏らした一言だった。「家の前の川で、岩魚(イワナ)が釣れますよ。」

釣り好きの吉本さん、そして吉本さんの百科事典の役割を果たしている澤治彦さんは、この一言を聞き逃さなかった。大きなカメラを回すのも困難な大雨の中、桔梗原さんのお宅から、わずか15歩離れた小川に澤さんが竿を出す。

すると、一投目から、20センチ余りの岩魚が食い付いてきた。それから、30分余り、バケツの底が見えなくなるほどの岩魚が釣れた。本州では、簡単にはお目にかかれない岩魚。それが家の目のまえで簡単に釣れてしまう。アイヌの人々は、森羅万象をカムイ(神)として、自然に敬意を払い大切にしてきた。その結果、残された雄大な自然こそ白老の大きな宝だと思った。

 iwana2.jpg

さっそくイワナを吊り上げた吉本さん。

 

もう一つの宝は、白老町社台地区にある、今年オープンしたばかりのコミュニティカフェ、「ミナパチセ」。アイヌ語で「大勢で笑う家」という意味だ。ここで、アイヌ刺繍専門家の岡田育子さん、アイヌ語の先生でもある大須賀るえ子さんと、埼玉からやってきたネット販売会社を経営している林啓介さん、その奥さんでデザイナーのロシア人、オルガさんらが、アイヌ刺繍のシャツなどの商品化に向けた相談を行った。静かな明るい空間で、落ち着いて人々が集える場所だ。

何よりも心動かされたのは、エゾシカのカレー。肉と野菜がゴロゴロとたくさん入っていて、とてもやさしい味だった。エゾシカの肉が手に入った時の限定メニューということで、運がよければ食べられるのだという。私は幸運だった。ただ、ミナパチセまで、上手く行き着ければの話だが・・・。こんな良いお店なのに、地元の人も迷うほど、わかりにくい場所にある。お宝は、探しにくい場所にあるらしい。

 そして最後は、番組の最後に出てきた山菜おやじこと河崎光典さんがマスターを務める居酒屋。近所の商店街の皆さんから役場の職員、さらにアイヌ民族博物館の学芸員まで、町のあらゆる人々が集まる。名物は、数十種類のキノコを使ったキノコ鍋と、岩魚、やまべ(本土で言う山女(ヤマメ))、オショロコマの唐揚げや塩焼き。これらはすべてマスターが自分で獲ってきたもの。まさに白老の宝物が凝縮された店だ。今回の番組で活躍した役場の安藤さんたち若者は、放送後、マスターに連れられて、秘密の釣り場に連れて行ってもらったらしい。私は、東京で疲れきったまま布団の中で、彼らの写真を彼らのフェイスブックで眺めるだけだった。あ~うらやましい。

 他にも浜から竿を投げると、40センチ級のアブラコ(アイナメ)やマツカワガレイなどが釣れる。海のお宝も豊富だ。かつてのこのあたりのアイヌの人々は、「海のアイヌ」と呼ばれていたという。アイヌの人々は、海山問わず、この豊かな自然を満喫して暮らしていたのだろう。

結局、釣りと食べ物の話で終わってしまった・・・。オソマツでした。

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