NHK放送文化研究所

2021年メディア調査

あなたは寝る前に、テレビを見る?スマホを使う?

一日の終わり、就寝前の時間帯に、皆さんはどんなことをして過ごしていますか。
夕食や家事のあとでお風呂に入ったり、好きなテレビを見たり、スマートフォンを片手に自分だけの時間を過ごしている人もいるかもしれませんね。
ここでは、テレビ画面やスマートフォンなどのメディアに焦点を当てて、就寝前の利用の様子をみていきます。

まず、その時間に睡眠をとっている人の割合(行為者率)を30分ごとに分けて、平日(月曜)一日の推移をみます。(図1)

図1 時刻別の「睡眠」 行為者率(月曜)

朝をみると、5時から5時30分までの時間帯では8割以上が眠っており、時間を追うごとに行為者率は減少していきますが、8時台になると就寝中の人の割合は1割を切ります。
いっぽう夜の時間帯をみると、20時から20時30分の時間帯ではほとんどの人が起きています。これが21時を過ぎると就寝する人が徐々に増えていき、グラフの右側、23時から23時30分の時間帯になると、就寝している人は56%と、半数を超えます。
調査では0時から24時までで区切って聞いていますので、日付が変わった0時以降の動きはグラフの左側に注目します。これをみると0時から0時30分では84%と、8割以上が就寝しています。

ということで、ここでは就寝直前の時間帯として、21時から24時にかけて「テレビ画面」「スマホ・携帯」、「PC・タブレット」といったデバイスが、それぞれどのように利用されているかを確認してみます。(図2)

図2 時刻別の「テレビ画面」「スマホ・携帯」「PC・タブレット」行為者率(全体・月曜)

テレビ画面は21時台で40%前後と、ほかのデバイスと比較してもよく利用されていますが、時間が遅くなるにつれて行為者率は減少していきます。
いっぽうスマホ・携帯は21時から22時30分にかけて15%前後で、そのあと緩やかに下がっていきますが、23時ごろにはテレビ画面の利用とほぼ同じになります。
先ほど、23時には半数以上の人が眠っているとご紹介しましたが、就寝直前にはテレビを消す人が多くなります。スマホの利用はテレビほど急に減少するわけではないこともみてとれます。

ではスマートフォンを日常的によく利用している若年層では、どうでしょうか。
ここからは、スマホの利用時間が他の年代と比較しても突出して長い20代に注目してみます。(図3)

図3 時刻別の「テレビ画面」「スマホ・携帯」「PC・タブレット」行為者率(20代・月曜)

20代のグラフをみると、テレビがよく利用されていた全体とは傾向が異なり、夜の時間を通してスマホがよく利用されていることが分かります。
テレビ画面の利用のピークは21時台で2割弱が利用していますが、時間が深くなるにつれて利用は減っていき、23時を過ぎると1割を切ります。一方でスマホ・携帯はピークが22時から22時30分の43%で、テレビよりも遅い時間帯で利用されています。その後減少するものの、23時30分から0時の時間帯でも29%と、就寝する直前まで利用している人が多い結果になりました。
では20代は就寝前、スマホでどのようなことをして過ごしているのでしょうか。

図4 時刻別の「スマホ・携帯」項目別の行為者率(20代・月曜)

図4はスマホでの平日夜間の行動を、利用項目別に積み上げたものです。
「SNS」や「動画」の視聴に加えて「ゲーム」も利用されているようです。いずれも時間が遅くなるにつれて利用は減りますが、深夜の23時30分から0時にかけてもSNSは14%、動画は13%が利用しています。寝る間際までSNSをチェックしたり動画をみたりしている人も、ある程度いることがうかがえます。

このように平日の夜、就寝前の時間帯では全体ではテレビ画面がよくみられていましたが、若年層ではテレビ画面とスマホ・携帯の利用が逆転していました。また項目別ではSNSや動画、ゲームが利用されています。自分の好きなことをして楽しむなかで、生活のパーソナルな部分にスマートフォンが深く浸透しているのかもしれません。
このコラムでは夜の時間帯に注目しましたが、別のコラムでは朝の若年層の様子にもスポットを当ててみています。朝起きた後にどんなメディアを利用しているのか、ぜひそちらもご参照ください!

(舟越 雅 研究員)