放送に関する世論調査

テレビ番組に対する意識・評価の現況

~2009年6月「番組総合調査」の結果から~

視聴者の意識的な側面から,番組の「質的なもの」に対する評価を客観的にとらえる試みの一つとして,編成局で実施をしている「番組総合調査」の2009年度最新の結果を紹介し,この調査の利点や課題を検証しながら,視聴者の番組に対する意識・評価の現況を報告します。

この調査は,テレビの個別番組に対する視聴者の満足度などをはかるため,関東地区の夜間に放送されているNHK総合と地上波民放5局の主な定時番組を対象に,番組の認知,満足度などをたずねるものです。

今回,最も認知率が高かった番組は「NHKニュース7」で86.0%でした。このほか「開運!なんでも鑑定団」(83.2%),「行列のできる法律相談所」(82.8%)など,19~21時台といったゴールデンタイムに長年続いているニュースやバラエティー番組の認知率が高くなっており,この傾向は例年同様です。また,番組の満足率が最も高かったのは日本テレビのドラマ「アイシテル~海容~」(76.8%),次いで高かったのは,「世界遺産への招待状」(74.2%),フジテレビのドラマ「BOSS」(73.4%)などでした。上位10番組のうち7番組をNHK総合の番組が占め,NHK総合の番組の満足率が高いのは,毎年共通した傾向となっています。

視聴率のような「量的」評価と満足率のような「質的」評価は,必ずしも連動する構造にはなっていないことや,同じジャンルで,満足率も同じくらい高い番組でも,その視聴理由の特徴が異なる場合があることなど,「番組総合調査」で得られる多くの知見は番組を多面的に評価しようとする試みに一定の役割を果たしつつあると考えています。一方で,質問の選択肢のワーディングの問題など検討・改善の余地はまだ残されており,編成センターでは昨年度から実験的に「番組の質的実験ウェブ調査」を実施しています。「視聴継続意向率」といった新たな指標の開発や,選択肢のワーディングを変えてみるなど,さまざまな試みを続けることで,視聴者のテレビ番組に対するニーズの把握により迫ることができる評価指標を探索しようとしています。

(編成局編成センター)白石信子・中野佐知子