放送現場の疑問・視聴者の疑問

「地熱」の読みは[チネツ]?[ジネツ]?

福島第一原発事故以来、太陽光や風力、地熱など再生可能エネルギーによる発電が改めて注目されています。このうち「地熱」については[チネツ]と[ジネツ]の2とおりの読み方を耳にしますが、放送ではどう読んでいるのでしょうか。

原則として[チネツ]と読んでいます。ただし、場合によっては[ジネツ]と読んでもよいことにしています。①チネツ②ジネツ

解説

この「地熱」の読みについて、放送では戦前から一貫して[チネツ]と読むことにしてきました。ところが、昭和40年代中頃以降に石油などの代替エネルギーの一つとして地熱開発が進み、放送でもニュースや番組で取り上げられることが多くなった中で、一部電気関係者や地域によっては[ジネツ]と読む慣用も強いことがわかりました。このため、「地熱」「地熱発電」などの読みについて放送用語委員会<第802回-昭和49(1974)年2月14日と第805回-同年3月28日>で審議した結果、次のように決めました。

[チネツ(~)]と発音するのを原則とする。ただし、場合によっては[ジネツ(~)]と発音してもよい。

「地熱」の読みについての上記の決定及び理由や背景については、当放送文化研究所の月報『放送研究と調査』の昭和49(1974)年6月号のほか、昭和59(1984)年5月号の「連載 ことばをえらぶ―(24)地熱の読みはチ・ジに乱れて…」(浅井真慧)に記載されています。

また、この「地熱」の読み方の最近の傾向などについては、当研究所がウェブ上で行ったアンケート調査結果を含めて塩田雄大専任研究員が文研公開ホームページの「最近気になる放送用語」(2010年7月)で取り上げています。

//www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/136.html

(『NHK日本語アクセント辞典 新版』p.557参照)

(メディア研究部・放送用語 豊島秀雄)