放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米,政治ニュースの信頼度でソーシャルメディアが既存メディアと並ぶ

アメリカの有権者は政治ニュースの情報源としてフェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアを信頼しているとの調査結果が発表された。これはジョージ・ワシントン大学と調査会社ORIとの共同調査で明らかになったもので,政治ニュースサイトのポリティコが1月17日に報じたところによると,有権者の3分の2がソーシャルメディアを放送や新聞などの従来型メディアと同等かそれ以上に信頼している。ポリティコはその理由のひとつとして,実際の知人や友人のネットワークで情報が伝わることを挙げている。

米タイムワーナー・ケーブル(TWC)
銃の広告を拒否

アメリカのケーブルテレビ大手TWCは,2012年12月に児童など26人が犠牲となった銃乱射事件を受けて,銃を使用した映像を含む一部の広告放送を拒否することを,1月18日付の業界誌マルチチャンネルが伝えた。TWCは自動小銃や拳銃を人に向けるシーンは放送しないとしているが,ビデオゲームなどの“バーチャルな銃”については言及していない。同社は1,000以上の専門チャンネルを全米28州で放送しているが,実際に銃を使った広告がどのくらいあるかなどは分かっていない。

M.ジャクソン関連本,アマゾンのレビューで集中砲火

故マイケル・ジャクソンの生涯について書かれた本『Untouchable』が,米ネット通販最大手アマゾンのブックレビューでファンから大量の批判コメントを集め,一時販売中止を余儀なくされた,と1月20日付のNYタイムズが伝えた。ファンの団体は「本の内容は歪曲されており,皆で星1つ(最低)をつけよう」と主張し,レビュー欄は否定的な内容で埋め尽くされた。これに対し出版社は「言論の自由に名を借りた言論の封殺だ」と反論したが,アマゾンは混乱を収めるため一時販売を中止した。同社はこの本を「今月の本」の1冊にも選んでいたが,大量の批判レビューはガイドラインには反していないとしている。関係者が高評価を意図的に投票する“サクラ”を防ぐ方策は検討されてきたが,新たな形の批判の集中砲火に,読者からは本は内容そのもので判断するべきだという声が上がっている。

米オバマ大統領2期目の就任式,SNSで人気

1月21日に行われたオバマ大統領の2 期目の就任式は18のネットワークで中継され,ニールセンによると全米で2,060万人が視聴した。2期目の通例で,視聴者数は1期目より減り,オバマ氏の場合は2009年の3,780万人から46%ダウンとなった。一方で,4年間で爆発的に普及したSNSのやりとりは活発で,ツイッター社によると式典の最中に発信された就任式関連のツイートは110万に上り,2009年の8万2,000を大幅に上回った。

米,新たなスペイン語ケーブルテレビネットワーク誕生へ

ヒスパニックの人口急増と購買力の上昇に注目が集まるアメリカで,メディア企業Intermedia Partnersと投資会社のAztecaが1月23日,新たなスペイン語ケーブルテレビネットワークHemisphereの設立で合意したと発表した。Hemisphereには,契約者数が約1,200万に上るスペイン語映画専門チャンネルのCinelatinoと,契約者数500万のケーブルテレビネットワークWAPA America,さらにプエルトリコ最大のネットワークWAPA TVなどの事業が統合される。

ブラジル,有料テレビ法の施行で増える国産番組

ブラジルでは2012年5月から有料テレビ法が施行されたが,同法では毎日午後6時から12時までのゴールデンタイムに2時間20分以上の国内制作番組を放送することが義務づけられている。有力紙フォーリャ・デ・サンパウロは1月8日,同法の施行により国内の番組制作会社が2012年末には前年比で5割以上増え,制作数も急増していると報じた。中産階級が拡大するブラジルでは有料テレビの契約世帯数が2012年11月で1,590万と前年同月比で28%増えている。