放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBC労組,年金改革反対でスト決行

イギリスの公共放送BBCに勤務するジャーナリストが加盟する労働組合(NUJ: National Union of Journalists)は,11月5日の深夜から48時間のストライキを決行した。これは,BBC執行部が提案した年金支給額の大幅削減計画に反対する実力行使で,BBCの主要なニュース番組であるラジオ4の“Today”やBBC ONEの“10 O'clock News”とBBC TWOの“Newsnight”の著名プレゼンターらも参加し,生番組の一部が中止されるなど影響が出た。

英BBC,米ジョイントベンチャーチャンネルを売却

イギリスの公共放送BBCの商業活動部門であるBBC Worldwideは11月15日, アメリカのDiscovery Communicationsとのジョイントベンチャーによるテレビチャンネルの株式を1億5,600万米ドルでDiscoveryに売却すると発表した。BBCは1998年にDiscoveryと提携し,自然番組チャンネルのAnimal Planetのグローバル展開を行ってきた。ジョイントベンチャー解消後,BBCは同社と新たなパートナーシップ契約を結び,2014年まで北米向けに番組共同制作などを行う。

英BBC,テレビや関連サービスの好調さをアピール

イギリスの公共放送BBCは11月25日,2010年の年間を通じてBBC ONEなど全テレビチャンネルと双方向サービスを合計した占有率が昨年よりも0.5ポイント上回る33.1%を獲得し,週間接触者率も84.7%から 85.5%に増加したと発表した。BBCは視聴者の番組評価に関する新しい測定方法の「Live Plus 7」を導入し,毎月公表する計画であることも合わせて発表した。なお,この数字にはオンデマンドサービスのiPlayerは含まれていない。

仏France Te'le'visions,ニューメディアに積極挑戦

広告放送の廃止など改革のさなかにある公共放送France Te'le'visionsのレミー・フリムラン会長は11月21日,AFP通信のインタビューに対して,ニューメディアへの放送コンテンツの展開に積極的な姿勢を示した。2010年8月,新会長に就任したフリムラン氏は,「公共放送の使命は,全ての公衆に番組を届けることであり,現在の平均視聴年齢,55歳は高すぎる」と述べた。そのうえでフリムラン会長は「iPhoneやiPad, それにTwitter やFacebookなど新たな媒体に適合したコンテンツを開発し,若者にも情報を届けたい」と抱負を語った。

伊RAI受信料,電気代と一括徴集を検討

放送を所管するイタリア経済開発省のロマーニ大臣は,25日,新聞大手「Corriere della Sera」紙を通じて,受信料を電気代と一括徴集する案を,年内にも予算関連法案に盛り込む考えを明らかにした。当該法案が可決されれば,2011年1月から適用される見通し。同大臣は,「テレビを所有していないと証明できる人以外,電気契約を結んでいる人の全員が払うべきもの」という考えを示し,30%にも達する受信料の不払いをなくし,2012年から額を値下げすることが目的だと述べた。しかし,この案には連立与党内でも北部同盟などが反対しており,通過するかどうかは不透明。RAIの2010年末の赤字額は約1億2,000万ユーロ(約132億円)程度と見込まれている。

北欧諸国,共同の文化チャンネルを計画

デンマーク,フィンランド,アイスランド,ノルウェー,スウェーデンの政策協調機関である北欧理事会の文化・教育委員会は11月2日,北欧諸国向けの文化チャンネル「Arte Norden」を5か国共同で設立する提言を採択した。独仏による欧州文化チャンネルARTEを模範としたもので,財源は各国の政府および公共放送が拠出する計画。

欧州議会,「公共放送は独立と財源の危機」

欧州議会は11月25日,「いくつかのEU加盟国の公共放送は,政治的独立と財源基盤の確保の危機に瀕している」とする決議を,賛成多数で可決した。個別の国名は述べていない。決議では,放送内容に対する政治的干渉を排除するとともに,表現の自由とメディアの独立についてのEUの規範を尊重し,公共サービスメディアの財源を確保するよう加盟国に呼びかけている。欧州議会はこれについて今後,欧州視聴覚研究所が加盟国の現状を分析するとしている。