放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBC Global News,記録的なアクセス

イギリスの公共放送BBCによる国際ニュースサービスの週間接触者数が2 億4,100万人を記録した。BBC が5月24日に発表した調査結果によると,ラジオを主体としたBBC World ServiceとテレビチャンネルのBBC World Newsの利用を合わせたもので,昨年より300万人増加した。一方,短波放送の聴取者は2,000万人減少しており,ラジオ・テレビ・インターネットによるマルチメディア化など技術の変化に即応した発信の必要性を改めて示した。

英BBC,次世代iPlayerの試作版を発表

イギリスの公共放送BBCは5月26日,オンデマンドサービスのiPlayerを改良した試作版を発表し,ウェブ上で公開している。改良のポイントは,操作の簡素化,パーソナル化,外部SNSへの接続の3点で,夏以降に同業他社のオンデマンドサービスのITV Playerや4oDなどの番組にリンクもはる予定である。この発表にさきがけ25日には,監督機関のBBCトラストがiPlayerを含めたオンデマンドサービスに関する検証結果を発表し,iPlayer が期待に沿った成果を上げ,対象である若い視聴者に十分アピールしているなど評価した。

仏CSA,携帯テレビ16チャンネルに免許付与

フランスの独立規制機関CSA(視聴覚高等評議会)は,16のチャンネルに対して4月8日に携帯端末向け放送の免許を付与したことを明らかにした。この中には,France2,France3,ARTEの3 つの公共放送チャンネルと,TF1,Canal Plus 等の商業放送13チャンネルが含まれている。携帯端末向け放送については,CSAが2007年11月にDVB-H 方式による免許公募を開始し審査していた。

独公共放送,受信料制度改革について鑑定書公表

ドイツの公共放送ARDとZDFは5月6日, 公法・租税法の専門家で元連邦憲法裁判所裁判官のパウル・キルヒホフ氏による受信料制度改革についての鑑定書を公表した。同氏は,ドイツの受信料はこれまで放送受信機を所有する世帯から徴収されてきたが,今後は受信機の所有に関わらず,すべての世帯に一律の負担金の支払い義務を課すことが望ましい,とした。鑑定書は,今後の州政府・議会での法改正手続きの土台となるもの。州政府は,2013年からの新制度導入を目標にしている。ドイツでは2006年以来,公平負担の観点から,融合時代にふさわしい受信料のあり方が議論されてきた。

独規制機関,ニュース番組比率改善を提言

ドイツの商業放送の規制監督機関連合ALMは5月18日,「番組分析報告書2009 年版」を公表し,商業放送におけるニュース番組および政治報道比率の低下傾向について批判した。ALMによれば,2007年以来,最も視聴されている2つの総合編成チャンネルのうち,RTL のニュース番組の放送時間は1日平均60分,Sat.1は30分であった。さらに政治関連の報道は,両者ともニュース番組時間の3分の1 以下だった。こうした傾向に対して,ALM は,ニュース番組比率に関する法的な義務付けの導入の可能性について今後積極的に検討していく,とした。

伊地上アナログ放送,北部ミラノなどで一部終了

デジタル放送への移行を段階的に進めるイタリアでは,2010年分計画の第一弾として,5月18日,イタリア第2の都市ミラノがあるロンバルディア州の大部分と,ピエモンテ州東部,エミリア・ロマーニャ州の一部などで,公共放送のRai Due,大手民放MediasetグループのRete 4の2チャンネルがアナログ放送を終了した。今年の9月中旬~ 10月下旬には,上記地域で残りのすべてのチャンネルがアナログ放送を終了する予定である。

西政府,携帯テレビ導入凍結

スペイン政府は,DVB-H 方式による携帯端末向け放送の導入を当面凍結する方針を決めた。これはスペイン産業省のベルナルド・ロレンツォ放送通信局長が5月18日明らかにしたもので,その理由について局長は「我が国の産業界がこのサービスについての適切なビジネスモデルを未だ提案しておらず,失敗に終わる可能性がある」と説明している。