放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBC iPlayerに解説放送サービスを付加

イギリスの公共放送BBCは8月26日,パソコンやケーブルテレビで利用できるオンデマンド・サービスのBBC iPlayerで,解説放送を1週間に約25時間利用できるようになったと発表した。視覚障害者向けのサービスである解説放送の提供量は,各チャンネルの放送時間の10%と法律によって義務づけられ,人気ドラマの“Doctor Who”や“EastEnders”のほかコメディーや子ども番組など幅広い番組をカバーしている。

英デジタルテレビ,89.8%に普及

イギリスの放送と通信分野を規制監督するOfcom(Office of Communications)は9月29日,2009年6月末のデジタルテレビ普及状況を発表した。それによると,全世帯の89.8%がデジタルテレビを利用し,11月にデジタル移行作業が開始するイングランドのグラナダ地域でもメインテレビの90%がすでにデジタル化している。また,デジタルチューナー内蔵の統合型デジタルテレビの販売台数は2,200万台に達し,年内にはチューナー単体販売を追い抜くと見られている。

仏,2010年の公共放送税を初めて自動的に値上げ

仏政府は9月30日,2010年予算法案を発表した。これに付された経済社会財政報告書によると,2010年のたばこを除く消費者物価指数は+1.2%で,この結果受信料にあたる公共放送税の2010年の税額は121ユーロに決定した。これは今年3月の放送部門を改革する法律により,従来の視聴覚受信料(redevance audiovisuel)という税金は公共放送税(contribution a` l'audiovisuel public)に改称されるとともに,その税額は2010年1月1日時点で年額120ユーロとされ,さらに2010年以降,物価指数に連動すると規定されたことによる。公共放送税は今後も毎年,物価指数に連動して値上げされる。

独,デジタルテレビ視聴世帯半数超える

ドイツ各州メディア監督機関の連合体ALMは9月8日,「2009年デジタル化報告書」を発表した。報告書によれば,ドイツのデジタル放送視聴世帯は,今年6月末で全テレビ視聴世帯の55%となり,前年より8.5% 伸びた。主要伝送路のデジタル化率は,地上波は100%,衛星波74.1%,ケーブルテレビ30.6%となった。またインターネットによる動画視聴動向では,YouTubeなどのユーザー作成コンテンツの利用経験があると答えた世帯は28.5%,放送局による無料の見逃し番組サービスは14.4%,動画のライブ配信サービスは5.5%,有料のビデオオンデマンドは2.1%となった。

独,IPTV事業者にもマストキャリー規則を適用

各州メディア監督機関の連合体ALMは9月17日,14の事業者を,チャンネルパッケージングや課金管理などを行うプラットフォーム事業者として認定し,そのうち大手ケーブルテレビ7社とIPTV事業者のドイツテレコム(DTAG)とHanseNetの2社,合計9社にマストキャリー規則を課した。これらのプラットフォームは,送信容量の3分の1を,公共放送21チャンネル,商業放送2チャンネル,ローカル放送およびオープンチャンネルの送信に割り当てることが義務づけられる。ドイツでは,2008年9月の放送法改正で,従来ケーブルテレビのみを対象としていたマストキャリー規則を,他の主要なプラットフォームにも適用することが決まっていた。

伊,ヴァッレ・ダオスタ州,ピエモンテ州がデジタル移行

9月23日,イタリア北西部でフランス,スイスと国境を接する,ヴァッレ・ダオスタ州が地上アナログ放送を終了した。同州では2007年にすでにRai DueとRete 4がアナログ放送を終了し,一部デジタル移行が始まっていたが,今年9月14日からエリア毎に完全にアナログ放送を終了した。同州の住民は約12万人で,州レベルでは2008年10月末に完全にデジタル放送へ移行したサルデーニャ州に次いで2番目となる。翌9月24日からは,隣接するピエモンテ州西部が最終移行を開始し,10月9日には完全にアナログ放送が終了する予定である。今回の対象地域にはイタリア第4の都市である州都トリノも含まれ,約300万人が対象となる。