放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

中国CCTV,ロシア語チャンネルを開始

中国中央テレビ(CCTV)は9月10日,ニュースや娯楽などの番組を毎日24時間放送するロシア語チャンネルをスタートさせた。CCTVによるとロシア語チャンネルの放送対象地域は,旧ソビエトの各国や東欧などで,推定ロシア語人口は約3億人にのぼる。放送内容はニュース,娯楽,それに中国や中国文化を紹介する番組などで,CCTVのウェブサイトでも視聴できる。これでCCTVが放送する外国語チャンネルは,英語・フランス語・スペイン語・アラビア語・ロシア語の5つとなった。

台湾,来年に地上デジタル免許付与へ

台湾の交通部は9月12日,地上デジタルテレビ放送について,来年7つの免許を事業者に付与する方針を明らかにした。1つの免許につき放送可能なチャンネル数は,HDTVなら1チャンネル,標準画質なら3~4チャンネルとなり,地上デジタル放送は現在の16チャンネルに加えて最多で28チャンネルの新規チャンネルができることになる。免許付与の業務を担当する国家通信放送委員会(NCC)では,少なくとも7つのうちの1つは非営利チャンネル用とし,さらに少なくとも1つは新規参入の事業者に割り当てて市場の多様性を確保する方針である。また,免許を付与する方法については,審査と競売を組み合わせて行う方式などが検討されているが,競売に関しては中国を含む外資や台湾の主要財閥に買われる恐れを指摘する声も出ている。

香港,新疆での取材者への暴行に反発

新疆ウイグル自治区で9月4日,民族紛争を取材していた香港のジャーナリスト3人が警察当局から暴行される事件があり,香港では政界まで巻き込んで強い反発が起きている。この事件はウルムチで漢民族によるデモなどを取材していたTVBとNow TVの記者とカメラマン合わせて3人が,警察当局から手錠をかけられたうえ殴られたもので,新疆ウイグル自治区政府の広報担当者が「記者がデモを扇動した」などと暴力行為を正当化したため,香港で激しい反発が起きた。13日には香港記者協会が主催する数百人規模の抗議デモが行われたほか,親中派政党の民建聨も9日,中国の習近平国家副主席に書簡を送り事件の調査を要求した。

韓国,放送コンテンツの輸出が好調

韓国コンテンツ振興院が8月22日付で発表した「2009年上半期韓流コンテンツ現況報告書」によると,ドラマを中心とした韓国の放送コンテンツの輸出が大きく伸びていることが明らかになった。報告書によると,輸出額は7,924万5,000ドルで,これは2007年の同時期と比べて58.1%の増加となっている。また,主な輸出先は日本で,全体の63%を占めており,以下台湾(12%),中国(5%)と続いている。日本向けの輸出は「韓流ブーム」の一段落によって2006年にいったん停滞したが,日本人が全般的に韓国に関心を持つようになったことで,2007年以降は再び輸出が伸びている。

ベトナム,国営通信社にTV局開局を認可

ベトナムのグエン・タン・ズン首相は9月10日,国営通信社VNA(ベトナム通信社)の独自TV局開設計画を認可する決定を下した。VNAの計画によると,新設のTVチャンネルはニュース専門で,開局は来年初めの予定。最初の年は1日12時間ベトナム語のニュースを放送し,その後はアジア・太平洋地区の衛星と接続し,英語を含む数か国語でも放送する,としている。

インド,Sun Directの加入件数400万突破

5つあるインドの有料衛星放送プラットフォームの1つ,Sun Directの加入件数が400万を超えたことが9月7日に分かり,本サービス開始から2年足らずと,これまでで最も速い加入件数400万超え達成となった。Sun Directよりも早くサービスを開始したTata Skyは,前月の8月に400万超えを発表していた。Sun Directは,インド南部のタミル語やテルグ語,カンナダ語,マラヤーラム語などドラヴィダ系諸語のチャンネルを多数持つSun Network系のDTH衛星放送で,採算を度外視した料金体系と南部の視聴者を惹きつけるドラヴィダ系諸語の多彩なコンテンツを武器に加入世帯の獲得を進めている。