放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英デジタルテレビ,80%以上に普及

イギリスの放送と通信を規制監督するOfcom(Office of Communications)は6月20日, デジタルテレビが2007年3月末で全世帯の80.5%に普及したことを発表した。地上デジタルテレビ放送のFreeviewは930万,衛星放送Sky Digitalは800万,デジタルケーブルは310万となり,Freeviewが初めてSky Digitalを抜き,最大のプラットフォームとなった。

仏地上デジタル放送でHDTVの免許公募開始

フランスの規制機関CSA は6月12日, 地上デジタルにおけるHDTV 放送の免許公募を開始した。公共放送用の1チャンネルを除き,2チャンネル分を公募する。応募締め切りは8月20日で,12月初めに免許が交付される予定。これで,2004年にTF1がHDTV 導入を提起して以来の紆余曲折を経て,DTV 放送開始に向け具体的に動き出した。使用されるマルチプレックスは現在使用されていないR5で,他の5つのマルチプレックスでは公募は延期された。さらに,携帯向け放送に関しても,CSA は6月14日,条件が整えば10月末までに免許公募を開始すると発表した。

独ProSieben,SBS Broadcastingを吸収合併

ドイツの大手商業放送グループProSiebenSat.1は6月27日,欧州第2位のSBS Broadcastingを約33億ユーロ(約5,500億円)で買収し,これを吸収合併した。SBSとProSiebenはそれぞれ大手投資ファンド KKRとPermiraの共同所有となっており,KKR/Permiraは両者を合併させ欧州1位の商業放送グループRTLに対抗させる方針を以前から発表していた。現在SBSは北・中欧を中心に19の無料テレビチャンネル,1つの有料テレビプラットフォーム,22のラジオチャンネルを展開,ProSiebenはドイツ国内で5つの無料テレビチャンネルと4つのデジタル有料チャンネルを提供している。

独公共放送,サッカー欧州選手権大会の放送権獲得

ドイツ公共放送のARDとZDFは6月18日,欧州サッカー連盟(UEFA)主催の欧州選手権大会「EURO 2008」について,ドイツ国内向け放送権を共同で獲得したと発表した。ARDとZDFは,全31試合中の27試合をテレビで生放送し,4試合を録画放送する。ラジオでは全試合を生放送する。全試合のハイライト映像を含め,地上テレビではアナログとデジタルの両方で,また,衛星で無料放送するほか,インターネットでも試合映像を扱うことができる。放送権料は,総額約1億1,500万ユーロ(190億5,000万円)と伝えられている。

欧州委,イタリア政府のデジタルTV助成を承認

欧州委員会は6月28日,イタリア政府が2007年予算法に盛り込んだ「2007年デジタルテレビ助成策」はEU条約の国家補助規定に抵触しないとして承認する決定を下した。同助成策は,チューナー内蔵型デジタルテレビ購入額の20%相当額を200ユーロを限度に所得税から控除するというもので,RAIの 2007年受信料支払い者が対象となる。

伊サッカー・セリエA,B放送権,包括契約制へ戻る

6月20日,サッカー放送権関連の新法案がイタリア国会で可決され,プロリーグセリエA,Bの放送権が7月1日から個別契約制から包括契約制へ戻ることが決まった。イタリアでは1993年以降,衛星有料放送の発展に伴い,各クラブと放送事業者が直接交渉する個別契約制が人気クラブの放送権の高騰と大小クラブ間の極端な財政格差を招いてきたが,新規則のもとでは,放送権収入の半分が全クラブへ均等配分,残り半分が各クラブの視聴者数や成績に応じて分配されることになる。

スイスのフランス語圏で地上アナログ放送が終了

地上放送のデジタル移行を進めるスイスでは,国土の西部を占めるフランス語地域(ロマンディー地方,スイス・ロマンドとも)で6月25日,地上アナログテレビ放送を終了した。同地域にはジュネーブ,ローザンヌなどの都市が含まれ,スイスの人口の約20%にあたる150万人が居住している。スイスのイタリア語地域(人口の約6.5%)では,すでに2006年7月に地上アナログ放送を終了した。ドイツ語地域については,山岳地帯を除いて,2007年11月26 日に地上アナログ放送を終了する。