放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

中国,突発事件に関する報道規制案削除へ

中国の国会にあたる全人代の常務委員会に6 月24 日提出された「突発事件応対法」草案から,メディアが政府部門の了解なく事件について報道することを禁止した条項が削除されたことが分かった。「突発事件」とはSARS や鳥インフルエンザなどの事案を指すが,2006 年6 月に同常務委員会に提出された原案には,「ニュースメディアが規定に違反し勝手に突発事件について報道したり,虚偽の報道をしたりした場合は罰金に処す」との条項が盛り込まれていた。これに対し各界から「突発事件の処理に関しては透明性のある情報の流通が鍵であり,メディアの積極的な役割を肯定すべき」との批判が出されていた。

香港返還10年で報道の自由後退か

香港の中国返還から10 周年を迎えたのを機に6 月23 日,台湾大学や台湾新聞記者協会が主催する座談会が開かれた。この中で香港記者協会の胡麗雲主席は,「国境なき記者団」などの調査結果は香港の報道の自由が全般的に後退していることを示しているとして,国際的な支援を要請した。

台湾のケーブル最大手,背信容疑で捜査

台湾のケーブルテレビ最大手の東森グループが6 月14 日,背信などの容疑で捜査当局の捜索を受け,王令麟総裁は証拠隠滅を図った疑いも出てきたことから勾こう留された。東森グループはケーブルテレビのインフラ事業者としては加入世帯が100 万戸以上にのぼる最大手で,ケーブル向け衛星放送事業も手がけるメディアグループだが,1 月に王令麟総裁の父親が創業した,東森と同じ系列の企業グループ「力覇」が破綻し,この父親が架空株取引などの刑事責任を問われていたことから,東森への影響も懸念されていた。

パキスタン,世論に屈したメディア規制強化策

パキスタンのムシャラフ大統領は,6 月4 日,メディア規制の強化を柱とするPEMRA(パキスタン電子メディア委員会)令改正を発表したが国内外からの厳しい批判に直面し,6 月9 日,急遽撤回を指示した。改正令では,不法な放送を行ったと見なされるテレビ局の放送機材は没収,局舎は封鎖,放送免許は奪されることになっていた。

同国では,3月9日,軍最高司令官を兼務したままムシャラフ大統領が再選されることに憲法上の疑義を持つとされるチョウドリ最高裁長官が罷免されたのをきっかけに,各地で抗議集会やデモが頻発し多数の死傷者が出ており,政府は集会やデモの模様を映像取材し報道しているGeo TV やARY,Aaj TV など商業衛星テレビ局に対し映像放映の自粛を強く求めていた。これらの衛星テレビ局は,ケーブルテレビでの番組伝送の停止や局舎への襲撃などの圧力にも直面していた。

インド,マラーティー語の新ニュースch開設

ムンバイ(旧ボンベイ)を州都とするマハラシュトラ州の公用語マラーティー語による新たな24時間ニュース専門チャンネルSTAR Majhaが,6月22日, 放送を開始した。STAR とインドの大手メディアグループABP(Ananda Bazar Patrika)の合弁MCCS 社が運営している。STARの資本所有比率は外資直接投資上限の26% 。STAR は新チャンネルの開設によりインドで連邦公用語ヒンディー語のStar News,西ベンガル州の公用語ベンガル語によるStar Anandaに加え3つの24時間ニュース専門TV チャンネルを持つことになった。

インド放送市場におけるSTAR のライバルZeeもヒンディー語ニュースチャンネルZee News に加え,今年2月,マラーティー語のニュース専門チャンネルZee 24 Taasの放送を開始している。

韓国,地上DMB端末が500万台を突破

情報通信部は6月14 日,2005年12月に首都圏での放送が始まった地上DMB の端末普及台数が,5月末現在で532万余りとなったことを発表した。端末の種類については,車両搭載用でナビゲーション機能を備えた端末が全体の 44.2%,携帯電話兼用端末が38.5%を占めている。