放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

アメリカでインターネットのワイヤレス接続が急増

アメリカ人のインターネット利用状況を継続的に調査しているピュー・インターネット&アメリカンライフ・プロジェクトがこのほど発表した調査によると,インターネットユーザーのうち34%がワイヤレス接続による利用で,2年前と比べて14%増となっている。また自宅でワイヤレス接続環境がある人は,インターネットユーザーの19%で,過去1年間で9% 増えている。ワイヤレス接続利用者の72%は,1日に1回は電子メールのチェックを,また46%はオンラインニュースを見ると回答,利用者の多くは,若年層で高学歴層だという。

米ABCニュース,10年ぶりの視聴率トップ

米ABCネットワークのメインニュース『ABC World News』は2月の世帯視聴率と25~54歳層の両方でニュースの視聴率トップとなった。同ニュースが両カテゴリーでトップになったのは1996年10月以来11年ぶりである。ABCの2月の平均視聴者数は967万7,000人で(NBCは同956万6,000人,CBSは758万6,000 人),25~54歳層の視聴率は2.6%(NBCは同2.4%,CBSは2.1%)だった。CBSはNBCの情報番組の人気キャスターだったケイティー・クーリック氏を起用して首位奪還をねらい,話題を呼んだが,視聴率は伸び悩んでいる。

米商務省,デジタル移行補助の最終規則発表

アメリカでは2009年2月17日までに地上テレビのアナログ放送を終了する予定だが,商務省は3月12日,アナログテレビ所有者がその後も地上テレビを見られるようにするため,専用コンバータ購入補助の最終規則を発表した。これは,すべてのアナログテレビ所有者に40ドル(約4,800円)相当のクーポン2枚までを提供するという内容で,クーポンは08年1月から09年の3月までの期間,申請が可能である。アメリカでは多くの世帯がケーブルテレビか衛星放送などに加入しているが,約15%程度の世帯は地上テレビを直接受信している。商務省は今回の補助に総額で15億ドル(約1,800億円)を見込んでいる。

アメリカの06年広告費,前年比4.1%の伸び

米調査会社TNSメディア・インテリジェンスは3月13 日,2006年の広告費は前年比4.1%増の1,496億ドル(約17兆9,000億円)で堅調だったと発表した。媒体別ではテレビが5.3%増,インターネットが17.3%増だったのに対し,新聞が2.4%減と苦戦を強いられている。テレビでは,地上ネットワークは2.5%増の228億ドル(2 兆7,000億円)で,このうち4~5億ドルはトリノ五輪によるものだった。一方,ケーブルテレビは3.4%増と,成長率で地上ネットワークを上回っている。

米NBC,プライムタイム人気番組を携帯向け配信

米NBC は3月14日,『Heroes』や『The Offi ce』などの人気番組を携帯電話でダウンロードして視聴できる有料配信サービスを始めると発表した。サービスは,携帯電話向けテレビサービスを行っている MobiTVとの契約によるもので,ダウンロード料金は1本1.99ドル。番組放送後24時間のあいだ視聴が可能になる。サービス開始は今年の第2四半期の予定である。MobiTVは2003年に携帯電話向けテレビサービスを開始,南北アメリカとイギリスで約200万人の加入者がいる。

クアルコム社,日本の携帯向けTV市場を有望視

クアルコム社の子会社MediaFLO は,2007年から米国内で携帯向けテレビサービスを開始したが,次の有力な市場として日本を視野に入れている。クアルコム社は,日本のKDDI と共同で日本で実施した調査結果を3月27日に発表,これによると調査対象3,000人の40%が,通勤通学途中にテレビを見たいと回答,また45%が 31チャンネル以上のサービスを希望すると回答した。ジャンル別では「ニュース」と「ドラマ・映画・アニメ」が最も要望が強かった。そして日本の市場規模は,サービス開始当初5年間で4,500億円になるとしている。同社は05年12月,日本進出の可能性を模索する子会社をKDDI と共同で設立している。