放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英HomeChoice,イタリア通信事業者Tiscaliに吸収合併

イタリアのインターネット・プロバイダーのTiscaliは8月12日,イギリスのビデオ・オン・デマンド・サービスの先駆者であるHomeChoice の親会社Video Network Internationalとの間で,Tiscali UK の下で,両社によるイギリス国内のブロードバンド・サービスの統合に合意したことを明らかにした。HomeChoiceは1990年代半ばからロンドンを中心にBT の電話回線を利用して,テレビやビデオを提供するブロードバンド・サービスを実施してきたが,加入件数は4万5,000にとどまっている。Tiscali UKはこの事業を引き継ぎ,英国内および欧州各地で,固定電話・インターネット・テレビのトリプルプレー・サービスの展開を目指している。

フランス版CNNのFrance 24,12月から放送へ

フランスで具体化が進んでいる新しい国際ニュースチャンネルは,Eutelsatの衛星で12月から放送されることになった。新チャンネルは6月に正式名称を「France 24(F24)」と決定し,7月には放送開始に必要な協約も規制機関のCSAと締結していた。HOT BIRD 衛星などを運用するEutelsatは8月31 日,France 24はHOT BIRD 7A,ATLANTIC BIRD 2,EUROBIRD 1の3衛星で12月から放送されることに決定したと発表した。これら3機の衛星により,ヨーロッパ,中近東,北アフリカをカバーする。また,France 24は米東海岸のワシントン,ニューヨークでも,国連本部やホテルなどに向けて放送される。その後,北米・アジア・南米にも放送範囲が拡大される予定。当初はフランス語のチャンネルと英語主体のチャンネルで開始されるが,3番目のアラビア語主体のチャンネルも,2007年7月以降に放送が開始されることになっている。

独公共放送に「社会統合チャンネル」設置案

ドイツ各州の放送政策の相互調整事務を担当するラインラント・プファルツ州が,公共放送ARD とZDFに対し,ドイツ国内の社会統合に寄与する専門チャンネルの設置案について意見を提出するよう求めていたことが,8月12日明らかになった。この案は,ブレーメン州首相が6月に開かれた州首相会議に提出したもので,人口の約9%を占める外国人や移民的背景をもつ人々と社会全体のコミュニケーションを深めるような番組をARD とZDF が共同で制作することが提案されている。これは,すでに成功している独仏共同チャンネルArteなどを模範としているもの。当面はPhoenixなど既存の専門チャンネルの放送枠に番組を提供し,中期的に独立したデジタルチャンネルとすることが提案されている。年内には公共放送側から回答が出るものと見られている

オーストリア放送協会ORF,次期会長選出

公共放送ORFの次期会長に,1998年から経理担当役員を務めていたアレクザンダー・ヴラーベッツ氏(46)が,2001年から現職にあるモニカ・リントナー氏(61)を破って8月17日選出された。選挙はORF財団評議会メンバー35人による投票で行われ,ヴラーベッツ氏は過半数の20票を獲得した。政権与党オーストリア国民党寄りのリントナー氏に対しては,政府によるORFの番組編成への影響力行使を容認しているとして,今年5月以来ORF内外から強い批判の声が上がっていた。次期会長の任期は2007年1月から5年間。

伊通信省,デジタル移行実行委員会を設立

イタリアの放送と通信を所管する通信省は,8月4日付省令で地上デジタル放送移行のための実行委員会「Italia Digitale」を設立した。同委員会は通信省主導で,2012年の完全移行の確実な実行と移行過程の監督・調整業務を任務とし,規制監督機関 AGCOM,地上デジタル推進協会DGTVi,全国と地方の事業者や消費者団体の代表などが参加する。従来のDGTViと異なり,衛星有料放送Sky Italiaなど地上放送以外のデジタル事業者も新たに参加する。これまで全国レベルの完全移行期限については,当初2001年第66号法で2006年末と定めていたが,ベルルスコーニ前政権下では昨年末に政令を出して2008年末へ延期,今年7月には通信省が「欧州レベルの2012年頃に合わせるのが現実的」として大幅に延期する考えを示していた。