日経平均株価が先週(2月22日)に続き、きのう(2月26日)も史上最高値を更新。
そうした中、「貯蓄から投資へ」と始まったNISAが、ことしから新しい制度になりましたが、お金に関する意識はみなさん変わったのでしょうか?
東京・新宿駅前でさまざまな世代の人たち30人に話を聞きました。
インタビュアーを務めたのは4人の新人記者と私(13年目)です。ちなみに5人の中で新NISAを始めているのは3人です。
まずは、「やっている」と答えた人たちです。
50代の人材系の会社勤務の男性は、「やらない選択肢はないですよね」と語りました。
税金の20パーセントが非課税になるというのがとても大きいです。利用しない手は当然ない。
毎月5万円の投資をしているという30代建設業の男性は、その理由をこう話してくれました。
3人の子どもがいて、将来のためにやっています。新NISAになって限度額が増えたけど、そんな余剰のお金はないですよね。
さらに、40代の男性は、今の時代、貯金よりはましと思って始めたそうです。
もうかった分で何かを買う予定もいまのところありません。とりあえず小さな額から始めました。
一方で、投資歴50年だというベテランにも出会いました。新NISAには月30万入れているといいます。つまり新NISAの年間上限額(360万円)ということになります。投資した商品はオルカンと呼ばれている世界株ということでした。
男性は投資する理由をこう語りました。
会社に勤め始めたとき、友人たちがみんな役所や一流企業に勤めてて、自分は中小企業に勤めていたので、何もやらなかったらまずいと思って投資を始めたのがきっかけ。
これまでの貯蓄は?
(貯蓄は)1本(1億円)オーバーしてますよ。家を買うと決めて株を売って家を買ってるから。ちょうどね、株が伸びる時代で本当ラッキーでした。
ことし(2024年)1月からの始まった新NISA。
従来のNISAと違い無期限で非課税。さらに最大の利用額も1800万円に拡大されました。
話を聞いているとまだ制度が理解できていないという人も少なくありませんでした。
その学び方もさまざまです。動画投稿サイトや参考書などで情報を得る中、次のような方法で情報収集する人もいました。
SNSとかの情報はわかりやすいけど、正しい情報か正しくない情報か把握できないので、ランニング仲間と投資の話をしています。ジョギングしながら情報交換したり、本を紹介してもらったりしています。
一方、今回の取材では20代、30代の若い世代を中心に、新NISAに踏み出せないという声も聞かれました。
どのように入金して、どのように買ってというのがまだ分からなくて…。
ちょっとずつ調べてからじゃないとできなくて、まだ一歩踏み出せていません。
興味はありますが、給料が今後どうなるかもわからないし、賃料もあがってしまうのでは…。
友人が株をやっていて、それもあんまりお金が増えないよみたいなことは聞いてます。あまりよくわからないから足を突っ込みたくないなって思ってます。
いまの日本経済を心配して新NISAに手が出せないという男性も。
いま電気代、ガス代とかインフラ周りがすごいあがっていたり、物価が常に上がってても収入は上がらないので、将来の日本の経済っていうのはあんまりいいイメージではないです。自分で銘柄を選ばないといけなかったりするのが、ちょっとしんどくて、自信がなくて旧NISAをやめちゃいました。
「新NISA」の30人インタビューですが、その結果はこのようになりました。みなさんご協力ありがとうございました!
▼「やっている」 7人
▼「やってない」 23人
こちらはあくまで30人に聞いた結果に過ぎません。それでも若い人は、やっている人が少なかった一方で、中高年の世代は比較的やっていると答えた人が多く見られました。ちなみに、新制度前のNISAでは、金融庁のデータによると20代は7人に1人がやっているということでした。
これらの結果について、経済学を専門とする龍谷大学の竹中教授に聞いてみました。
龍谷大学 竹中正治 教授
「日本での金融教育は遅れていると感じる。それぞれの企業で確定拠出年金など、投資について学ぶ機会を大切にしてほしい。また、高校生などから投資やそのリスクについて学ぶことも必要だと思います。今回の結果だけを見ると、若い人に新NISAをやっている人が少ないのは、元手が少なく、給料も上がっていないため、リスクをとることに慎重になっているからではないか」
また、新NISA制度に詳しいファイナンシャルプラナーの風呂内亜矢さんにも伺いました。
ファイナンシャルプランナー 風呂内亜矢さん
「今回の結果は、ある程度の資産を持っている高い年齢層が取り組んでいるという印象を受けました。投資で足りない分を補てんするつもりで取り組むのではなく、ある程度の期間、放っておけるような投資運用スタイルもひとつの手段だと思います」
新NISAはまだ1月に始まったばかりです。
貯蓄から投資という呼びかけがどのくらい浸透するのか、しないのか、今後も取材を続けます。
ぜひみなさんの体験や意見をこちらまでお寄せください。