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震度5強 千葉県南部の地震のメカニズムは?想定の首都直下地震とは?

  • 2023年5月11日

「久しぶりの緊急地震速報で飛び起きた」
「震度5強はかなり怖い」

このところ、能登半島でも地震が相次ぎ「地震が多いな・・・」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の千葉県南部の地震のメカニズムと今後の注意点について詳しくお伝えします。

想定される首都直下地震とは大きく異なる

今回の地震はいわゆる「首都直下地震」とは違います。
「首都直下地震」というのは一つの明確な震源があるわけではなく首都の真下で起きる、マグニチュード7クラスの地震を指しています。

今回のマグニチュードは5.2ですが、マグニチュードが1違うとエネルギーはおよそ32倍となり、2違うとおよそ1000倍になります。大きな差があることがわかると思います。

どこで起きたの?

ただ、残念ながら、今回のような規模の地震が起きやすいのが、この関東です。
地下構造が複雑なのがその理由です。

東からは太平洋プレート、南からはフィリピン海プレートがそれぞれ沈み込んでいて、「ひずみ」がたまりやすいのです。

地震が起きるパターンはあわせて6つ。

(1)浅い場所で起きる地震
(2)フィリピン海プレートと陸のプレートの境界の地震
(3)フィリピン海プレート内の地震
(4)フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界の地震
(5)太平洋プレート内の地震
(6)フィリピン海プレート・陸のプレートと太平洋プレートの境界の地震 です。

今回の地震のタイプは(3)フィリピン海プレート内部の地震です。

東京大学地震研究所の佐竹健治教授によりますと、関東では比較的よく起きるタイプの地震だということです。100年前の関東大震災を引き起こしたマグニチュード7.9の大地震は(2)「プレート境界」にあたります。

東京大学地震研究所 佐竹健治教授
「関東地方は首都の真下に2枚のプレートがある世界でもないような場所で、そのために地震が多くなっている。常日ごろから今回のような地震が関東で起きるということを頭に置いて生活するとともに、さらに大きな揺れがきても大丈夫なように備えを進めてほしい」

付近では地震活動活発

千葉県は、地震活動が活発な地域です。今回の震源の北側では4年前(2019年)の5月25日にマグニチュード5.1の地震、2016年の7月19日にはマグニチュード5.2の地震が起きています。

また、千葉県北西部では、2年前(2021年)の10月にマグニチュード6.1の地震があり、震度5強の揺れを東京・足立区と埼玉県川口市などで観測しました。
夜間の発生だったことから、都内などで大きな混乱が起きたことを覚えている方も多いと思います。

首都直下地震 今後30年以内に70% なぜ?

「次は首都直下地震か…」と感じた方がいるかもしれません。
国は今後30年以内に首都直下地震が、70%という高い確率で発生するとしています。

根拠としているのは過去の地震です。首都圏ではマグニチュード7クラスの地震が相次いで起きています。

原典:内閣府

1782年の「天明小田原地震」から1922年の「浦賀水道付近の地震」まで8回。
さらに8つの大地震は1703年に起きたマグニチュード8.2の「元禄関東地震」とその220年後、「関東大震災」を引き起こしたマグニチュード7.9の大地震という、いっそう規模の大きな地震の間に起きています。

国は、220年間を一つのサイクルとして発生確率を予測しているのです。

さらに、専門家の中にはこのサイクルの後半のほうが、活動が活発になっているという指摘をする人もいます。
関東大震災からことしで100年。今後、活動期に入るおそれもあるのです。

自宅の内外の危険は?改めて備える機会に

「今回大丈夫だったから・・・」と考えるのは禁物です。
想定される首都直下地震では電気や上下水道の被害が広域、長期化し被災後の生活には深刻な影響があるとされています。具体的に被害をイメージし、備蓄などが重要です。

また、今回は屋根の瓦が落ちたり、建物のガラスが割れたりしました。寝ている時間帯に大地震が起きることもあります。建物自体が壊れなくても、室内やすぐ外の被害でけがをしたり、最悪、命を落としたりするおそれもあります。

自宅の中や周辺で危険性のある場所をチェックすることも有効です。それ以外にも火災対策や帰宅困難対策など、改めて備えを確認する機会につなげてください。

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