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首都直下地震 まさかの備蓄がない!子どもどう守る?

#防災やってみた
  • 2023年7月19日

子育て中のみなさん、毎日お疲れ様です!慌ただしい毎日だと思いますが、子どものための防災対策、どんなことを実践していますか?私も2歳の子どもがいます。「備蓄さえしていれば、ひとまず安心」と思っていましたが、それは甘かった!ということを、今回の取材で痛感しました。避難生活の長期化、備蓄がなくなる…そんな事態に備えて、日頃からできることがあります。「家にもストック、知識もストック」。ぜひ一緒に体験しているつもりで読んでみてください。

(アナウンサー 合原明子)

家にあるもので オムツの代用品を作ってください

アナウンサーがみずから防災体験をする「#防災やってみた」。体験者は何も知らされずに集合場所に向かうという、何ともドキドキするコーナーです。案内されたのは、都内の建物の一室。迎えてくださったのは、日本災害医学会の小児科医・岬美穂さんと…

床に横たわる赤ちゃんの人形。

そして早速指示が…

岬美穂さん

ここは合原さんの家で、大地震発生後に在宅避難となった想定です。備蓄があまりない場合にどう対応できるのか、考えてください。

合原

が、頑張ります…!

赤ちゃんは、生後6か月という設定のしゅと太郎君。私の子どもだそうです。設定に戸惑う私をよそに、突然泣き出すしゅと太郎君。

おしっこをしたんですね~。オムツ替えをしたいのですが、ストックがありません。
家の中にあるものでオムツの代用品を作ってください。

えー!

「オムツを作る」という言葉に、頭が真っ白になる私。
というのも、オムツの備蓄はふだんからしていたので、「オムツがない」事態を考えたことがなかったんです。

日本災害医学会 小児科医・岬美穂さん
「いざという時にタイミング悪くストックを切らしてしまった、というのはよく聞く話です。また、過去の災害でも、支援物資の中に欲しいサイズのオムツがなかったということがありました。平時から考えておくことが、非常に重要な備えになります」

用意されていたのは、以下のアイテム。

・紙コップ ・紙皿 ・ラップ ・ゴミ袋 ・ポリエチレン袋 ・食品保存用袋 ・新聞紙 ・ガーゼ ・タオル ・ストッキング ・スポンジ ・キッチンペーパー ・ティッシュペーパー ・ウエットティッシュ ・水(2L)

あなただったら、何を選びますか?
私が手にとったのは、ラップ、ポリエチレン袋、キッチンペーパー、ストッキング、新聞紙、スポンジ。吸水性・防水性・機動性をカバーしてくれそうなものを選びました。

早速、制作を始めます。
切り開いたポリエチレン袋をベースに、吸水性のあるタオル、防水性のあるラップを重ねてみました。おしっこの出るあたりには、さらに吸水性を期待してキッチンペーパーを巻いたスポンジを。デリケートな赤ちゃんの肌を守るため、ガーゼで包みました。
最後に、しっかり装着したいとストッキングで縛ってみた結果…

しゅと太郎くんは悲しそうな目で私を見つめています。

相当窮屈かもしれませんね…

そうですよね…

災害時は、いかに少ないもので簡便にできるかが非常に重要。実は、タオルとポリエチレン袋、この2つだけで簡単にできるんですよ。

確かに、一日に何回も行うオムツ換え。簡単に作れないと大変な手間ですよね。

代用オムツの作り方

1)袋の持ち手の端と両脇部分をハサミで切る。
2)袋を縦長の状態に開き、タオルをはみ出さないようにたたんで置く。
3)タオルの上端が赤ちゃんの腰のあたりにくるようにセットする。
4)上側の持ち手部分を、赤ちゃんのおなかの前で結ぶ。
5)下側の持ち手部分を、お腹の結び目の下に通せば完成!

私も実際に作ってみましたが、ものの1、2分で簡単にできました。これならば、オムツ作りがストレスにならず素早くオムツ換えもできそうです。
しゅと太郎君も快適そう。材料が少ないのでかさばらず、動きやすそうです。

岬さん
「しっかりした袋であれば、中のタオルだけを替えることもできるので、より簡単です。ただ、普通のオムツと比べて多少漏れたり、蒸れて肌トラブルにつながったりすることも考えられます。あくまでも応急処置の方法と捉えてください。オムツの備蓄は1週間分は確保してほしいです」

ミルクがない!代用ドリンクを!

さて、ホッとしたのもつかの間。
「おぎゃー、おぎゃー」泣き出すしゅと太郎君。

今度はお腹がすいちゃったみたいですね。でも、ミルクを切らしていて…。代わりのドリンクを作ってください。

用意されていた食材は…

・牛乳 ・豆乳 ・ウーロン茶 ・無糖コーヒー ・水 ・塩 ・砂糖 ・蜂蜜 ・酢

この中から私が選んだのは、水と砂糖と塩。

他の飲み物はアレルギーのおそれがあったり、カフェインが含まれたりしていたので選びませんでした。また、汗をかくこの時期、糖分のほかに塩分も必要かと思い、この2つの調味料にしました。コップ半分の水に、砂糖を少しと、塩をその1/3くらい加えました。
さて、岬先生の今回の評価は…?

岬さん
「すばらしい判断ですね。ただ塩分ももちろん大事ですが、最低限必要、という観点からいえば、まずはブドウ糖・糖分と水分を考えてもらえればと思います。もし余裕があるようなら、ほんの少しの塩(一つまみ)を入れて、赤ちゃんの好みに合わせて飲ませてもらえればと思う」

代用ドリンクの作り方

水の量に対して5%の砂糖(大体コップ1杯の水にスプーン1杯)を加えるだけで完成。
もし砂糖が溶けにくい場合は、カセットコンロなどで水を少し温めて溶かすなどして、人肌に冷ましてください。

岬さん
「あくまでも一時的な脱水・低血糖予防のためのものです。慣れていない飲み物の場合嫌がることも考えられます。その場合は、ジュースを薄めてあげるなども1つの方法です」

ほ乳瓶がない!どうやって飲ませる?

ただ、仮に飲み物が用意できたとしても、災害時はほ乳瓶を洗ったり除菌したりすることができない可能性もあります。そこで、ほ乳瓶がなくてもできるオススメの飲ませ方を教えてもらいました。

しゅと太郎くんはお腹いっぱいで寝てしまったので、代わりに、生後6か月の茉穂ちゃんに助っ人に入ってもらいました。

使うのは…何と紙コップだけ。シンプルです。

紙コップでの飲ませ方
1)砂糖水をコップに半分程度入れる。
2)赤ちゃんを縦だっこする。(誤えんを防ぐため)
3)紙コップを赤ちゃんの下唇に当てる。

岬さん
「ポイントは、下唇に当てる程度にすること。気管支に入るおそれがあるので、コップを傾けて口に流し込まないように。赤ちゃんは自分で舌を出してペロペロとなめながら飲むので、少しずつあげることが大事です。新生児でも大丈夫ですが、生後3か月くらいまでは首がすわっていないので、首を支えてあげてください。嫌がった場合は、スプーンでも代用可能です。方法を変えながら、様子を見てください」

茉穂ちゃん、最初こそ嫌がるそぶりがありましたが、すぐに慣れたのか、舌を出してご機嫌で飲んでくれました。

離乳食がない!オススメ代用食

さらに、離乳食がない場合の代用食の作り方も教えてもらいました。
代用できるのは、缶詰のフルーツやビスケット、ご飯など。食材は加熱殺菌がされているものをつかってください。

フルーツ缶の場合
1)糖分の高いシロップは捨てる。
2)果物をポリエチレン袋やラップで使ってもみ込み、月齢にあったサイズに細かくする。

この方法は、そのままスプーンですくって食べさせられるので、お皿なども必要なく洗い物も少なくできます。

風呂に入れない!体のお手入れ方法

断水などでお風呂に入れない場合の体のお手入れ方法です。

体のお手入れ方法
ティッシュを水でしめらせ
・汚れやすい口まわり・汗をかく脇・腕や足などのしわの間・かぶれやすいお尻
を中心に優しくぬぐえばOKです。

岬さん
「あくまで最低限のケアということになりますが、基本的には、シンプルに水で汚れが激しい部分を重点的に拭ければ良いです。災害時に皮膚のケアは優先順位が低いイメージがあるかもしれませんが、過去の災害の例でも、皮膚トラブルで受診する人は多いんです。この方法を覚えておいてほしいです。」

最後に、災害時に子どもを守るために大切なことを聞きました。

岬さん
「きょうお伝えした方法は、あくまでも本当に何もない時にどうしたらよいのかという代替方法です。一番大事なのは、少しでも多くの備蓄を増やすこと。心の余裕ということも考えると、一週間分くらいは備えておいた方が安心に繋がると思います。ぜひ、今一度見直してもらえたらと思います」

家にもストック 知識もストック

今回の体験を通して、備蓄はもちろんのこと、知識を蓄えておく大切さを痛感しました。
私も含めて、日々の生活に追われ、なかなか非常時のことを考える余裕がない方も少なくないと思います。でも、いざという時、知識が少しあると対応できる心の余裕につながります。
私自身もモノのストックはもちろん、知識のストックも増やしていきたいと思いました。

  • 合原明子

    アナウンサー

    合原明子

    2009年入局。福島局在籍時に東日本大震災が発生。仙台局勤務を経て、アナウンス室所属。被災地の取材を続ける。現在、「首都圏情報 ネタドリ!」キャスターを担当。

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