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災害時に温かい食を 今泉マユ子さんに教わる湯煎調理法

シュトボーミーティング 杉並区和泉方南地区
  • 2023年02月22日

首都直下地震に備える防災力を高めるため、住民の皆さんと一緒に防災について考える取り組み「シュトボーミーティング」。
管理栄養士・防災士の今泉マユ子さんを講師に招き、1月末、東京・杉並区の方南和泉地区で実施。
地域にお住まいのおよそ40名が参加しました。

(首都圏局/渡邉真奈香・牧野智也)

テーマは「災害時の食事」

今回の「シュトボーミーティング」では、自宅で避難生活を送る「在宅避難」を前提に「災害時の食事」について考えました。

講師・今泉マユ子さん 司会・浅野里香アナウンサー

まず今泉さんが話したのが、「味にこだわって備蓄してほしい」ということでした。

今泉さん

ふだん食べて嫌なものは、災害時はもっと嫌。ふだん食べてよかったと思うものが災害時もあってよかったと思うもの。自分の好きなもの、食べたくなるものを置いておくことが大事。

また、避難生活では野菜不足から体調を崩しがちなため、日持ちするトマトジュースや野菜ジュースを備えておいてほしいと話しました。
そして今泉さんが強調していたのが、「ローリングストック」の大切さ。ローリングストックとは、備蓄している食料をふだんの食事で消費していき、使った分をまた買い足していく備蓄の方法です。

今泉さんによる「ローリングストック」のポイント
①自分好みの備蓄に!
「⾃分の好きなもの」「ふだんから⾷べたくなるもの」を選んで家に置いておくこと。
災害が起きたあとの⾷事は、決して我慢して⾷べるものではない!

②「⾷べること、消費すること」を意識
ローリングストックでは「備える」ことに⽬が⾏きがちだが、大切なのは「消費」すること。消費しながら買い足していくことを意識。

③カセットコンロとボンベは必須!
⾷材だけでなく調理アイテムもローリングストックしながら備えること。カセットボンベの使⽤期限は7年が目安とも⾔われているので、⽉に1度は使い、使った分を買い足す。

湯煎調理に挑戦!オムライス編

ミーティングでは、在宅避難時に役立つ湯煎調理も実践しました!
以前ご紹介した記事はこちら!
https://www.nhk.or.jp/shutoken/shutobo/20220921a.html
ここでは、すき焼きやハンバーグの湯煎レシピが見られます。

さて、今回のイベントで作ったのはオムライス。

湯煎調理 オムライスのレシピ

(材料1人分)
<ケチャップライス>
米...70g
ひき肉(豚、鶏などお好みで)...40g
水...1/2カップ(100ml)
ケチャップ...大さじ2

<オムレツ>
卵...1個
ピザ用チーズ...15g
塩...ひとつまみ

(手順)
① ポリ袋に⽶と⽔とひき⾁、ケチャップを入れてもみ込む。
② 別のポリ袋に卵とピザ⽤チーズを入れて、よくもみ込む。
③ それぞれの袋をねじり上げるようにして空気を抜いて、上部を縛る。
④ 袋が高熱で破れないようにするため鍋底に皿を敷き、火にかける。
  沸騰したら①の袋を鍋に⼊れる。
⑤ ①の袋を10分間加熱したところで、②の袋を⼊れる。
⑥ ⑤からさらに10分たったら火を止める。そのまま余熱で蒸らし。
⑦ 火を止めて5分たったら②の袋を取り出す→オムレツの完成。
⑧ さらに5分たったら①の袋を取り出す→ケチャップライスの完成。
⑨ オムレツとケチャップライスを盛りつけて、オムライスの完成。

※ポイント
 ・ポリ袋は、必ず熱に強い「高密度ポリエチレン製」、「湯煎調理用」と表示がある
  ものを使ってください。 
 ・鍋の⽔はもう⼀度湯煎調理したり、洗い物で使ったりすることができるので水の
  節約になります。
 ・ケチャップライスのケチャップをコンソメにすると、ピラフができます。

参加者からはこんな質問も!

Q ⾼密度ポリエチレン製ポリ袋のおすすめの厚さはありますか?

今泉さん

私はいつも0.025mmの厚さを使っていますが、手に入りやすいものを使うことが大事。厚めだと結ぶときに非常に結びにくい一方、薄いものはパスタなどが突き破ることがあるので、その時は二重にして対応しています。

Q 家族がいて複数人分作る場合はどうすればいいですか?

今泉さん

ポリ袋の中に食材を大量に入れると、ムラが出来ておいしくなくなってしまう。おいしく作るなら、一つの袋で多くても2人前。たくさんの袋をまとめて湯煎することもできるので、袋の数を増やして対応してみてください。

実際に自宅でやってみた!

後日、参加者の小澤さんが自宅で子どもと一緒に湯煎調理に挑戦するというので、うかがいました! 

災害時、停電になったことを想定し冷蔵庫の中の食材で作ることにしました。
小澤さんがメインの食材として選んだのは、傷みやすい肉。そのほか、にんじん、たまねぎ、じゃがいもを選びました。
また食材とともに、水、お鍋、ガスコンロ、そして高密度ポリエチレン製ポリ袋を用意。
これらの食材を使って作るのは、小澤家の人気メニュー「肉じゃが」です。

早速、湯煎調理開始!
今泉さんは調理の様子を離れたところからリモートで見守り、手助けはしません。

まずは食材をカットしますが、小澤さんはここで一工夫。にんじんなど火がとおりにくい食材があったことから、いつもより小さく切ることにしました。

大正解!食材を小さめに切って火の通りをよくすれば、カセットボンベの節約にもつながります!

切った食材としょうゆ、砂糖などの調味料をポリ袋にいれてもみ込みます。
袋をねじ上げるようにして空気を抜き、縛ります。

そして鍋底に皿を置いたら、鍋に袋を入れて点火。

しかししばらくすると、袋が膨らんで浮いてきてしまいました。小澤さん、皿を袋の上にのせ、重しにしました。
この対応、今泉さんの反応は・・・。

今泉さん

大丈夫!災害時は臨機応変が大事!

20分湯煎し、肉じゃがが完成。
炊飯も湯煎で行い、初めての「防災料理」となりました。

挑戦した小澤さんに感想を聞いてみると…

料理でこんなにも頭を使ったのは初めて。1回経験したので、次は他のメニューにも挑戦できると思いました。

小澤さんの挑戦を見守っていた今泉さんからは…

お子さんたちと一緒にやったのは本当によかったと思います。「できる」という自信や安心感が災害時にはすごく生きてくると思う。

また、最後にアドバイスも。

今回の肉じゃが調理と同じ食材で、しょうゆや砂糖などの代わりにルーを入れることで、カレーやクリームシチューも作れます。さまざまな応用ができるので、ぜひ皆さんも一度試してみてください!

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