シュトボー
  1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. シュトボー
  4. 大地震でも安全なキッチンとは? 井田香菜子アナが体験

大地震でも安全なキッチンとは? 井田香菜子アナが体験

#防災やってみた
  • 2023年6月28日

家族の誰もが出入りし、なおかつ危険な物が多い場所。それがキッチンです。
「安全な寝室づくり」に続いて今回は、「地震が来ても安全なキッチンづくり」に挑戦しました。
キッチンの防災では「しまった!」という落とし穴がたくさん。その失敗をここで共有しますので、みなさんには私のしくじりを生かしていただければと思います。
(アナウンサー 井田香菜子・小西政親)

しまった!(1)「防災器具の長さが足りない!」

案内されたキッチンを眺めると、狭いスペースに食器棚や冷蔵庫が並んでいます。見るからに危険がいっぱい。

どこから始めようかと考えた私の頭には、東日本大震災発生直後の実家の台所の姿がよみがえりました。
埼玉県の実家マンションは大きな揺れに見舞われ、食器棚から食器がなだれ落ち、半分ほどが割れて使えなくなったのです。

そこでまず考えたのが、食器棚の扉を固定すること。
早速、ホームセンターで扉を固定することができる器具を購入!
…したものの、いざ取り付けてみると、接着面が扉の凹凸部分に重なってしまい、全ての面を接着することができませんでした。

お店で見て「いい!」と思っても、いざ取り付けてみると上手くいかないことがあります。
当たり前のことではありますが、お店に行く前に、どこに、どんな形状の防災グッズを使うか具体的にイメージしたり、必要な部品の長さを測っておいたりすると、このような失敗は避けられそうです。

このあと、戸棚のガラス面に飛散防止フィルムを貼りました。
…が、結構貼るのが難しいんです。洗剤を混ぜた水溶液を粘着面に吹きかけて貼るのですが、しわがあちこちに。貼ってははがしを繰り返してしまいました。
仕掛け人だった小西アナもアドバイスしてくれましたが…。

小西アナ

水しぶきが…。

井田アナ

すみません。

 

水溶液が下に飛び散ってしまいました。

防災の専門家・慶應義塾大学の大木聖子准教授に見ていただきました。

大木准教授

飛散防止のフィルムは、とてもよかったと思います。
一方で、扉をロックする器具は、悪くないのですが、日頃の生活の中で開けたりロックしたりするのが面倒になって、開けっ放しになってしまうこともあります。
見栄えの点を考えても、ビルトインのタイプのもの(揺れたら自動的にロックがかかるもの)を取り付けるというのも選択肢です。
最近の住宅にはすでに備え付けられていることが多いですが、後から自分で取り付けることもできます。

しまった!(2)「ジェルシールをつけたらガタガタに…」

次に目をつけたのが、棚に置かれた炊飯器・電子レンジ・電気ポットです。
こちらはジェルシールを底面に貼って固定することにしたのですが…。
炊飯器の底面中央に貼ったところ、四隅が浮いてしまって触るとガタガタに。電子レンジもいざ貼り付けようと底面を見てみると、なんと4本足でした。
真っ平らだと思っていたので、当初予定していた枚数は3枚。
今回はシールを多めに買っていたので間に合ったものの、ちゃんと見ておくべきだったと反省しました。

そして、キッチン出ていた包丁やはさみはしまいました。

 

一番気になったのは炊飯器や電子レンジがグラグラしていること。ストレスではないでしょうか。また、実は電子レンジには専用の粘着の足というのがあって、ホームセンターなどにもあるのでそれを活用いただければいいと思います。
日々の防災のために、日々の暮らしやすさを犠牲にする必要はありません。電気ポッドや炊飯器は、動かす機会も多いと思うので、摩擦が強くなるゴム製のマットを下に敷くと便利です。
ジェルシールは日の当たる場所だとだんだん劣化するので「難燃性」のものを選ぶと安心です。
はさみや包丁をしまっていただいたのはすごくよかったです。

冷蔵庫は下と上の合わせ技一本で固定!

最後に取り掛かったのが、大物、冷蔵庫。

冷蔵庫の下に転倒を防止するため、下が斜めになるマットを差し込もうと試みたのですが、これが重くて一人ではとても無理。
仕掛け人の小西アナに手伝ってもらい、やっと少し持ち上がった隙間にササっとシートを差し込んで
どうにか完了です。

 

冷蔵庫は下が斜めになるようなマットを敷いていただきましたが、これだと固定の中では一番弱い状態です。
突っ張り棒を合わせ技にすることで一番強度が高くなります。今回のように、天井まで高さがある場合は、壁に固定する、L字型の耐震金具を使うと便利です。

このほか大木さんが強調していたのは、コンロなどで火を使っているときに地震がきたら、まずはその場を離れてほしいということです。
震度5や6の揺れ時に火を消そうとしても揺れの影響でうまく消せないことも多く、ケガにつながりかねないため、まずはその場から離れて、落ち着いてから消すのが鉄則とのこと。都市ガスは一般に震度5以上の揺れを感知すると消えるので、身を守ることを優先してほしいということでした。

体験を通して・・・

今回特に印象的だったのが、「防災のために日々の暮らしやすさを犠牲にしすぎる必要はありません。うまく日常と防災を両立できるよう考えてください」という大木さんの言葉でした。まさにそうですよね。日々の手間が増えてしまうと面倒になって、結局、防災器具を取り外してしまう、といったことにつながるかもしれません。
日常生活を考えながら、”もしも”の時に役に立つ対策をとることが大事だと思いました。小さなことからでもぜひ、実践していただければ嬉しいです。

ページトップに戻る