1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. はしか(麻疹)感染相次ぎワクチンの状況は?不安の場合はどうする?“子どもの予防接種を優先に”

はしか(麻疹)感染相次ぎワクチンの状況は?不安の場合はどうする?“子どもの予防接種を優先に”

  • 2024年3月22日

東京や大阪をはじめ全国で相次いで、はしかの感染者が確認されています。

こうした中、東京都内のクリニックにはワクチンの接種を希望する人からの問い合わせが相次いでいます。

専門家は「子どもが確実に接種できるようワクチンの供給が安定するまで、大人はまずは抗体検査などで自分の免疫を確認して必要性を判断してほしい」と呼びかけています。

感染相次ぐ「はしか(麻疹)」

2月以降、各地ではしかの感染者の報告が相次いでいて、奈良県では海外から入国した男性が感染していたことがわかり、この男性と接触のあった別の男性も感染が確認されました。

また、3月1日にはアラブ首長国連邦から帰国した大阪府の男性がはしかに感染していることがわかり、これまでにこの男性を含め、同じ飛行機に乗っていたなどの男女あわせて10人で感染が確認されています。

このほか、3月18日に東京都で東南アジアから帰国した男性の感染が確認されていて、厚生労働省によりますと、3月20日時点で全国で少なくとも15人の感染が確認されているということです。

国立感染症研究所のまとめでは、国内でのはしかの感染者は新型コロナウイルスの感染が広がった2020年以降は年間数人から数十人程度にとどまっていますが、その前の2019年には世界的に流行し、国内でも700人を超える感染者が報告されています。

国立感染研究所は世界で感染が拡大していることや、渡航制限が解除され、移動が活発になっていることが拡大の要因ではないかと分析しています。

ワクチン接種の希望者から問い合わせ相次ぐ

東京・杉並区の小児科や内科のクリニックでは、3月上旬ごろから子どもだけではなく大人も含めて、はしかのワクチン接種を希望する人がふだんは問い合わせがないにも関わらず、1日10件から20件ほど寄せられているといいます。

▼ワクチンの接種が任意だった現在50代以上の人や▼定期接種が1回のみだった20代半ば以上の妊娠を希望する女性、それに▼妊婦の家族などからの問い合わせが多いといいます。
 

しかし、これまで大人など定期接種の対象外の人にも希望があれば全員に自己負担でワクチンを接種していましたが、ことし(2024年)1月ごろから業者から仕入れられるワクチンの量に上限が設けられ、いまは原則、「定期接種」の子どもなどに限定して対応しています。

6歳の男の子の定期接種に訪れた30代の母親
「はしかは感染すると大変だと聞いていたので、接種できて安心しました。自分自身の接種歴ははっきりと分からないので、この機会に夫婦で確認したいと思いました」

クリニックでは、ワクチンの供給が安定するまで、不安な人には自己負担での抗体検査を薦めているということです。
 

たむら医院 田村剛院長
「いつワクチンが通常通り入荷できるかわかれば、在庫量を調整して、任意接種の希望者にも対応できるかもしれないので、国にはワクチンの入荷見込みを明確に示してほしい」

子どもの定期接種“確実に実施へ”

全国ではしかの感染が確認され、ワクチンの需要が高まっていることを受けて、厚生労働省は、子どもの定期接種が確実に実施できるよう、定期接種を実施している小児科などに優先してワクチンを供給することなどを自治体を通じて卸売販売業者などに求める通知を出しました。

はしかは、感染力が非常に強く免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、脳炎を引き起こすなどの重症化する場合もあるウイルス性の感染症で、2月以降各地で感染事例が確認されています。

特効薬がないため、ワクチンで感染を防ぐことが重要で、国内では「定期接種」として就学前の子どもが公費で接種できますが年代によっては受けていない場合もあります。

ワクチンは、前の年と同じ程度の量が製造販売業者などから継続的に供給されていますが、厚生労働省は、国内での感染の報告で需要が高まっているとして、自治体を通じて卸売販売業者や医療機関などにワクチンの安定供給を求める通知を出しました。

この中では卸売販売業者に対し、「定期接種」を実施している小児科などの医療機関を優先し、在庫を確認した上で必要な量を供給することなどを求めています。

また、医療機関に対して必要以上に多い量の予約や注文をしないよう求めています。

厚生労働省は熱や咳のほか目の充血や発疹など、はしかを疑う症状がある場合は、公共交通機関の利用を控え、医療機関に事前に相談して指示に従ってほしいとしています。

専門家“大人は自分の免疫確認を”

日本小児科医会公衆衛生委員会の副委員長の時田章史医師は「はしか」については、ワクチンが唯一の感染予防手段だとした上で、次のように呼びかけています。

日本小児科医会公衆衛生委員会の副委員長 時田章史 医師
「子どもが確実に接種できるようワクチンの供給が安定するまで、大人はまずは抗体検査などで自分の免疫を確認して必要性を判断してほしい」

時田医師は、はしかについて、「ウイルスの感染力が非常に強く、後遺症が残る可能性が高い感染症だ。はしかを治す薬は開発されておらず、感染しないためにはワクチン接種が唯一の手段だ」としています。

はしかのワクチンは、2000年4月2日以降、1歳から2歳未満、5歳から7歳未満でかつ小学校就学前の1年間の年長の2回が「定期接種」と呼ばれる公費での接種の対象になっています。

一方、大人については、時田医師によりますと、国内では、かつて感染が広がっていたことや、大半の人がワクチンを1回は接種していることなどからはしかの抗体を持っている人が多いとしています。

こうしたことから、国内でワクチンの限定出荷が解除される見通しが立っていない中では、優先順位をつけて接種を進める必要があるとして次のように話していました。

時田 医師
「子どもの間で感染が広がると大きな流行につながるため、定期接種の対象である1歳や年長の年齢の子どもが確実に打てるようにすべきだ」

その上で、持病があったり、妊婦が家族にいるなど感染の広がりに不安を覚える人については、次のように呼びかけていました。

時田 医師
「ワクチンを接種する前にまずは抗体検査で免疫を確認してほしい。その上で、自分が住んでいるエリアで流行が広がるなど、差し迫った状況になった時に接種を検討してほしい」

ページトップに戻る