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人口(2023)東京都はコロナ前の一極集中の動きに 茨城県は「転出超過」に転じる

  • 2024年2月1日

東京都の去年の人口は、転入が転出を上回る「転入超過」が、おととし(2022年)よりも3万人余り増えて6万8000人余りとなりました。調査をまとめた総務省は「コロナ前の東京一極集中の動きに戻りつつあるのではないか」としています。

一方、おととしの「転入超過」から「転出超過」に転じたのが茨城県でした。
東京都と茨城県の状況や専門家の見解をまとめています。

コロナ前の東京一極集中に戻りつつある

総務省が住民基本台帳に基づいてまとめた外国人を含む東京都全体の人口の動きは、去年1年間で転入が45万4133人、転出が38万5848人で、転入が転出を6万8285人上回る「転入超過」となりました。

「転入超過」の人数は、おととしより3万人余り、率にしておよそ80%増えました。
「転入超過」の人数は、コロナ禍だった2021年は5400人余りと、統計を取り始めてから最も少なくなっていましたが、おととし、去年と2年連続で拡大していて、総務省は「特に若い世代が就職や進学で転入していると見られ、コロナ前の東京一極集中の動きに戻りつつあるのではないか」としています。

このほか「転入超過」となったのは、神奈川県、埼玉県、大阪府、千葉県、福岡県、滋賀県です。

このうち神奈川、大阪も、おととしより超過の人数が拡大しています。

そのほかの40道府県は「転出超過」で、超過の人数が最も多かったのは、広島県の1万1409人で、次いで愛知県が7408人、兵庫県が7397人、福島県が6579人などとなっています。

長野県、茨城県、宮城県、山梨県の4県は、おととしの「転入超過」から「転出超過」に転じました。

「転入超過」から「転出超過」に転じた茨城県

去年1年間に茨城県からほかの都道府県などに転出した人の数は、転入した人の数を1800人余り上回り、3年ぶりに「転出超過」となりました。

茨城県は、転出した人の数が10万4988人、転入した人の数が10万3125人で、転出が転入を1863人上回る転出超過となりました。「転出超過」となったのは、2020年以来、3年ぶりです。

一方、県内では、県南を中心に16の市町村で転入超過となりました。

このうち、最も「転入超過」の数が多かったのがつくば市で、2094人と全国の市町村のなかでも14番目の多さでした。

また、つくば市の0歳から14歳までの若い世代の転入超過の数は535人と、全国の市町村別で、さいたま市や東京・町田市、神奈川県茅ヶ崎市に次いで全国4番目に多くなっています。

つくば市は「TX沿線が居住地として選ばれていることが増加の要因なのではと考えている。引き続き、選ばれるまちになれるよう施策を展開していきたい」と話しています。

このほか、県内の市町村を「転入超過」の多い順で見ると、土浦市で894人、阿見町で536人、つくばみらい市で419人などとなっています。

一方で、県北地域や県央地域を中心とする28の市町村で「転出超過」となりました。

茨城県計画推進課
「ことしは全国的に東京回帰の傾向が強く出ていて東京圏への人口の流入が増えたことが大きく影響したと感じている。いま進めているさまざまな人口減少対策をさらに推進していきたい」

「転出超過」となった要因は?

都市計画やまちづくりに詳しい筑波大学の大澤義明教授は、茨城県が「転出超過」となった要因について、「2つあると考えている。1つ目は東京での人手不足で茨城から東京への人口流出が起きているということと、2つ目は若者や女性が活躍できる環境作りが遅れているからだと考えられる」と分析しました。

また、「医療や教育など子育て環境に優れたTX沿線で人口流入が起きている一方、人口減少が進んでいるところはより加速化している」と指摘しました。

そのうえで、次のように指摘しました。

筑波大学 大澤義明教授
「今後、地域間格差はより拡大していくと考えている。市場メカニズムの働いている世界なので人口移動は必然的に起き、それを前提としたそれぞれの地域性を生かしたまちづくりが大事だ。また、茨城県は山や海など自然環境に恵まれている温暖な気候で、東京への近接性もあり、こういう特徴を生かしながら県全体でアピールしていくことが大事だと思う」

“デジタルも活用しつつ、地方への人の流れを”

松本総務大臣は閣議のあとの記者会見で「もし地方が衰退すると、東京も含めて日本全体の力に関わることになると認識していて、地方をしっかりと支えて、活力を取り戻すことは重要な課題だ。デジタルも活用しつつ、地方への人の流れを作り、地方を元気にするよう総務省として役割を果たしていきたい」と述べました。

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