JR東日本は利用が特に少ない62区間の2022年度の収支を公表しました。100円の運輸収入を得るためにいくらの費用がかかるかを示す「営業係数」は、千葉県の久留里線の久留里駅と上総亀山駅の区間が最も採算が悪くなりました。赤字路線の状況をまとめました。
千葉県の房総半島を走るJR久留里線は赤字が続いていてJR東日本や千葉県、それに地元の君津市や住民の代表は、特に利用者の少ない久留里駅から上総亀山駅の区間の今後のあり方についてことし5月から協議を行っています。
こうしたなか、JR東日本は、災害や工事などの影響を受けている区間を除き、1日平均で何人運んだかを示す「輸送密度」が2000人未満の34路線62区間の2022年度の収支を公表しました。
このうち、100円の運輸収入を得るためにいくらの費用がかかるかを示す「営業係数」は、JR久留里線の久留里駅と上総亀山駅の区間で1万6821円と最も採算が悪くなりました。100円の収入のために168倍の費用がかかっている計算です。
また、収支を公表した対象の34路線62区間は、すべて赤字で赤字の総額は前の年度とほぼ同じ648億円となりました。沿線の人口減少を背景に、厳しい経営状況が続いています。
区間別で赤字額が最も多かったのは、羽越本線の新潟県の村上駅と山形県の鶴岡駅の区間で、49億4600万円の赤字でした。
赤字が続く地方鉄道をめぐっては、自治体や鉄道事業者からの要請でバスへの転換など交通手段の再構築について国が協議会を設置できることを盛り込んだ改正法が、10月に施行されました。
JR東日本は、現時点で協議会の設置を国に要請する考えはないとしていて、今後も沿線の自治体などと地域の公共交通手段のあり方を議論する方針です。