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小湊鐵道“経営状況厳しい”支援要請

  • 2023年04月28日

千葉県市原市などを走る小湊鐵道。郷愁を誘うローカル線として鉄道ファンらの人気を集めています。その小湊鐵道から今月、市原市に対して支援を要請する文書が提出されました。

2023年9月の記録的大雨による被害と、その復旧に向けた動きについて👇
小湊鐵道 大雨で一部路線が不通 全線復旧は 赤字で市原市に支援要請も 千葉

小湊鐵道は市原市の五井駅と大多喜町の上総中野駅の39.1キロを結ぶ、鉄道ファンや観光客らの人気が高い私鉄ローカル線です。

小湊鐵道の沿線風景

四季折々の美しい風景の中をトコトコ走る昔ながらの列車の姿は、どこか懐かしく、郷愁を誘われずにはいられません。

鉄道ファンや観光客らからの人気も高く、市原市では自動車の「市原ナンバー」の図柄として菜の花畑の中を走る小湊鐵道の観光列車の絵を採用するなど、地域を代表する観光資源でもあります。

小湊鐵道や市原市によりますと、今月20日、小湊鐵道の石川晋平社長が市原市を訪れ、小出譲治市長に対して、支援についての要請書を手渡したということです。

それによりますと、近年、台風や豪雨による被害、それにコロナ禍などで鉄道事業は赤字となっていて、線路やトンネルなどの設備、それに車両の維持や補修にかかる安全運行のための費用に今後10年間でおよそ60億円が必要だとしています。

要請文では「今後の沿線人口減の傾向等もふまえると、鉄道事業部門の経営状況が今後も厳しいことが予想され、特に乗降人口が少ない上総牛久駅以南については、こうした安全投資を考えると、 廃線も含めた検討が必要と考えています」とし、一部区間の廃線の検討について言及しているのです。

要請文ではその上で、「同区間の地域観光面での意義もふまえ、安全投資にかかわる継続的な支援の検討をお願い申し上げます」と結んでいます。

この要請文にある「上総牛久駅以南」とは、上総牛久駅から上総中野駅までの22.7キロの区間のことで、39.1キロの全区間のうち、6割近くを占めています。

都市部に近く、利用客が多い五井駅から上総牛久駅までの区間と比べると、上総牛久駅より南の区間は便数も利用客も減り、鉄道ファンや観光客の姿が目立つようになります。

実はこの区間を含む市原市の南部は、市の中でも人口減少が大きな地域です。市ではこれまでも小湊鐵道の利用客の増加と南部地域の活性化を目指してさまざまなイベントなどを行ってきました。

しかし市の幹部によると、イベントなどで観光客が増え、一時的に列車の利用者も増えたとしても、日常的な利用客の増加には結びつかず、市の施策としてジレンマがあったといいます。

また、鉄道事業の厳しい状況を聞いていただけに、要請文については「来るべきものが来た」と
受け止めたということです。とはいえ、地域の大事な公共交通であり、観光資源でもある小湊鐵道の苦境を見過ごすことは出来ません。

要請を受けて市原市は、支援の可否を検討するため、廃線となった場合の影響や安全運行のために必要な費用などについて、補正予算としておよそ2700万円の調査費を28日に開かれた臨時市議会に提案し、即日、可決されました。

今後、調査会社などを通じて今年度中をメドに詳しく調査し、支援の可否や方向性などについて
検討していくことにしています。

市原市
「小湊鐵道は大切な公共交通機関で地域の重要な観光資源だが、沿線人口の減少で厳しい経営状況であることも承知している。まずは調査を行って今後の方向性を考えたい」

小湊鐵道
「すぐさま廃線を検討するわけではないが、安全運行の費用としてそれだけかかることを知ってもらい、少しでも支援を増やしてほしい」

  • 大岡靖幸

    千葉放送局 記者

    大岡靖幸

    遊軍や市原市政、千葉市政、経済などを担当。

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