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仲邑菫女流棋聖 韓国棋院へ移籍 日本棋院理事長の反応やこれまでの歩み

  • 2023年10月30日

東京の日本棋院東京本院に所属する仲邑菫女流棋聖。
囲碁のプロ棋士で女流タイトル獲得の最年少記録を持つ現在14歳、中学3年生です。

来年(2024年)韓国棋院への移籍が決まったことを受けて、東京の日本棋院で会見を開き、移籍の理由について「より高いレベルの環境で勉強することが、今の私には必要だと思った」と語りました。

“より高いレベルの環境で勉強することが私には必要”

女流タイトル獲得の最年少記録を持つ仲邑菫女流棋聖は、10月26日に開かれた韓国棋院の理事会で、プロ試験を経ずに所属できる「客員棋士」としての受け入れが承認されたため、来年3月から韓国で対局することになり、日本の公式戦などには原則、出場できなくなります。

これを受けて、きょう仲邑女流棋聖が会見を開き、はじめに花束の贈呈が行われました。

仲邑さんは韓国棋院への移籍についてことしの6月ごろから考え始めたことを明かし、移籍の理由について次のように語りました。

仲邑さん
「より高いレベルの環境で勉強することが、今の私には必要だと思い、決断に至りました。韓国は国際戦を重視していて、強い棋士も対局数も多くて常に緊張感があるので、強くなることにつながると思いました」

また、当時、史上最年少となる10歳0か月でプロ棋士になってから活躍したこの4年間について次のように振り返りました。

「いろいろなことを経験させて頂き、内容が濃かったです。成長出来たし、大切な時間だったかなと思います」

韓国棋院に移籍したあと、どんな棋士になりたいかと尋ねられると、「強くなって尊敬される棋士になりたいです」と語り、トップ棋士が集う韓国囲碁リーグに出場することを目標に掲げていました。

そして、日本の囲碁ファンに向けて、「これからも変わらずに応援して頂けたらうれしいです」と呼びかけていました。

仲邑さんは、来年2月までは日本棋院で出場資格のある公式戦には出場し、自身が持つ「女流棋聖」のタイトルの防衛戦に臨んだあと、3月から韓国棋院に所属するということです。

仲邑菫女流棋聖 これまでの歩み

仲邑菫女流棋聖は、プロ棋士で父親の仲邑信也九段の指導のもと、3歳から囲碁を始めました。
 

小学4年の仲邑菫さん

7歳から強豪国・韓国をたびたび訪れ、現地の囲碁道場で同年代の棋士と対局したり、現地のプロ棋士から指導を受けたりして実力を磨き、一時は家族で現地に引っ越して韓国棋院でのプロ入りも視野に活動していました。

同年代の女児と対局する仲邑菫さん (ソウル・撮影2019年1月22日)

その後、日本に帰国し、2019年に、日本棋院が中国や韓国に対抗できるトップ棋士を育成するため新たに設けた推薦枠に選ばれたことから、当時としては、史上最年少となる10歳0か月でプロ棋士になりました。

プロ入り後も公式戦で順調に勝ち星を重ね、おととし3月には、12歳0か月で「二段」に昇段して、二段昇段の最年少記録を53年ぶりに更新したほか、去年は「女流名人戦」のリーグ戦を勝ち上がり、史上最年少の13歳1か月で女流タイトルの挑戦者になりました。

そして、ことし2月には、女流タイトル戦のひとつ、「女流棋聖戦」を制して史上最年少でのタイトル獲得を果たすなど、数々の最年少記録を塗り替えてきました。

プロ入りのときから掲げていた、中学生のうちにタイトルを獲得するという目標も達成し、今後の活躍が注目されていました。
 

二段昇段を決めて笑顔の仲邑菫さん

日本棋院理事長“夢を見ていいのではと思い 送り出すことに”

仲邑女流棋聖の移籍について、日本棋院の小林覚理事長が報道陣の取材に応じ、「日本で活躍している棋士が海外に出るのはファンもさみしがるが、仲邑さんはそれに値する努力と実績がある。もっと夢を見ていいのではと思い、送り出すことにしました」と語りました。

そのうえで、今後、日本棋院所属の棋士が海外へ移籍を希望した場合の対応について問われると、「現状、しっかりしたルールはないので、今後作っていかなければいけないし、海外から棋士を受け入れることも考えないといけない」という認識を示しました。

そして、当時としては史上最年少のプロ棋士として採用した仲邑女流棋聖のこれまでの活躍について、「本人が努力して勝手に強くなったと思う。期待を裏切らずに頑張って頂き、感謝しています」と述べ労っていました。      

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