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辞意表明 江東区 木村弥生区長 公選法違反の疑い受け 選挙中にYouTube有料広告の経緯は

  • 2023年10月26日

ことし4月に行われた江東区の区長選挙で初当選した木村弥生区長は、選挙期間中、陣営がYouTubeに本人の姿や「木村やよいに投票してください」という文字を組み合わせた有料広告を出していたことが明らかになりました。東京地検特捜部が24日、公職選挙法違反の疑いで区長室などを捜索していて、木村区長は辞意を表明しました。

江東区長選挙の日程は

江東区によりますと、木村区長の辞職届は、26日夕方、副区長が代理で区議会議長に提出し、辞職は
11月15日付けになるということです。
区の選挙管理委員会によりますと、区長選挙は、選挙管理委員会が辞職の通知を受けた日から50日以内に行われるということで、年内に行われる見通しです。

区議会議長「全容解明を望む」

江東区議会の山本香代子議長は木村区長の辞職届を受理したあと、報道陣の取材に応じ、
「これからまさに来年度予算を作っていこうという時期に、戸惑っています。全容解明を望んでいますし、二度とこのようなことがないようにしてほしいです。議会としても今後しっかり取り組まないといけないと改めて感じています」と述べました。

江東区民からは

木村区長が辞意を表明したことについて、区民からは驚きや残念がる声が聞かれました。

女性

赤ちゃんポストの施策がいいと思って区長選挙は木村さんに投票しました。辞めるのは残念で、周りのスタッフが違反にならないようしっかりすべきだったと思います。また区長選挙をやることでたくさん税金がかかるのも残念に思います。

女性

先日のニュースだとスタッフが違反をしたという話だったので、区長が辞めるというのは驚きました。辞職をみずから表明したのは自分が違反をしたと認めたようなものだと思います。違反していないなら辞めなくてよかったのではと思います。

男性

辞めるのは当然だと思います。悪いことをしたと思うなら辞めていただきたい。新しい区長に期待することは特にありません。

選挙の有料広告 なぜ禁止

選挙期間中のネットの活用については、平成25年に公職選挙法が改正され、候補者や政党などはホームページやSNS、動画投稿サイトなどで選挙運動をすることができます。
ただ、インターネット上の選挙運動のための「有料広告」については、候補者名や政党名などを表示することが禁じられていて、総務省はその理由について、利用が過熱すれば金のかかる選挙につながるおそれがあるとしています。

公職選挙法違反の疑いは「捜査中なので差し控える」会見で

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木村区長は、26日午後、臨時の会見を開き、辞職する意向を明らかにしました。

「このあとも事情聴取など捜査が進む中で、新年度予算の編成など重要な区政をこれ以上、混乱・停滞させてはならないと考えた」

また、就任からおよそ半年で辞職することについては、次のように述べ、陳謝しました。

「投票した方、区民のみなさまに、多大な迷惑をおかけしました。多くの期待をしてもらいながら辞職することになり誠に申し訳ございません」

一方、公職選挙法違反の疑いについては、こう述べるにとどまり、詳しい説明はしませんでした。

「捜査中なので差し控える。捜査への協力を第一に考えている」


ことし4月の江東区長選挙 構図や結果は

ことし4月に行われた江東区長選挙の結果、木村弥生氏は7万5906票、得票率38.5%を得て初当選を果たしました。

〇経歴は
東京・江東区の木村区長は、江東区出身の58歳。父親は、地元選出の自民党の元衆議院議員、木村勉氏で、みずからも看護師などを経て、平成26年の衆議院選挙の比例代表・北関東ブロックで自民党公認で初当選し、衆議院議員を2期務めました。
おととしの衆議院選挙で落選し、ことし1月、4月の江東区長選挙に立候補する意向を表明しました。

〇江東区長選の構図は
選挙の直前、江東区長を4期16年務め、東京23区の区長でつくる特別区長会の会長も務めていた山崎孝明氏が亡くなり、長男で元都議会議員の山崎一輝氏が立候補を表明し、新人4人で争う構図となりました。

自民党は山崎氏を推薦し、いずれも地元に大きな影響力を持つ政治家の子どもである木村氏と山崎氏が、いわゆる“保守分裂”の激しい選挙戦を繰り広げ、選挙戦で、木村氏は、出産や子育て支援策、教育施策の拡充や、クリーンで開かれた区政などを訴えていました。

選挙期間中に有料広告の経緯 8月の記者会見によると

ことし8月、木村区長は弁護士と記者会見を開きました。それによりますと、ことし4月の区長選挙の選挙期間中、YouTubeに、5日間にわたって木村氏の姿や『木村やよいに投票してください』という文字を組み合わせた6秒間の動画の有料広告を出していたということです。

公職選挙法
選挙期間中にインターネット上の有料広告で候補者名などを表示して選挙活動を行うことを禁じています。

会見での説明では、ホームページなどを管理していた陣営のボランティアスタッフが、ネットでの選挙運動が効果的と考えて提案し、木村氏が「ちゃんとやってね」と承諾したとしています。動画はホームページやSNSなどのためにそれまでに撮影していたもので、木村氏は法律にのっとった選挙活動になると認識していたとしています。

選挙後に、このスタッフが区長選に関する手引きを見返す中で、公職選挙法に抵触したのではないかと気づき、調査にあたった弁護士も抵触の可能性があると指摘したとしています。動画の再生回数は37万9000回あまり、費用はおよそ14万円で木村氏のクレジットカードから支払われていたということです。

木村区長(当時)
「確認やコミュニケーションが不足し監督不行き届きで申し訳なく思っている。より一層の法令順守に努めたい」

木村区長 辞任の意向

東京地検特捜部は24日、公職選挙法違反の疑いで江東区役所の区長室などを捜索し、木村区長本人も任意で事情聴取を受けていました。
関係者によりますと、木村区長は辞任する意向を周囲に伝えていて、26日午後3時に会見を開き、説明を行う予定だということです。

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