日本とアメリカの製薬会社が共同で開発したアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」について、アメリカのFDA=食品医薬品局は、「患者への有効性が確認できた」として、治療薬として承認したことを発表しました。新薬の仕組みのほか、認知症の当事者や家族でつくる団体の反応などをまとめました。
アルツハイマー病になった患者の脳では「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまっていて、これによって神経細胞が壊れると考えられています。
日本の製薬大手「エーザイ」とアメリカの「バイオジェン」が共同で開発を進めてきた「レカネマブ」は、「アミロイドβ」が固まる前の段階で人工的に作った抗体を結合させて取り除こうというもので、神経細胞が壊れるのを防ぎ、病気の進行そのものを抑える効果が期待されています。
「レカネマブ」について、アメリカのFDA=食品医薬品局は、治療薬として承認したことを発表しました。
6月に行われたFDAの外部の専門家でつくる委員会は、「レカネマブ」の最終的な臨床試験のデータを元に「患者への効果が確認できた」としてFDAに対し薬の承認を推奨していました。
FDAは今回、承認した理由について臨床試験のデータによって「患者への安全性と有効性が確認できた」と説明しています。
FDAはことし1月、深刻な病気の患者に対し、より早く治療を提供する「迅速承認」という仕組みでいったんこの薬を承認していて、今回の判断により、完全に承認されたことになります。
レカネマブは、日本やヨーロッパ、それに中国などでも承認に向けた申請が行われています。
アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」がアメリカで正式に承認されたことについて認知症の当事者や家族などでつくる団体「認知症の人と家族の会」がコメントを公表しました。
「認知症の人と家族の会」コメント
治療への道が大きく開かれ、明るい兆しが見えたと大変喜んでいます。治療薬を待ち望んできた私たちにとって、アメリカでの迅速承認から半年での正式承認は、大変な朗報です。日本においても一日も早くこの新薬が承認され、対象となる人達が、身近な医療機関で適切な価格で安全に使える薬となることを望みます。
認知症になっても安心して自分らしく暮らせる社会の実現は、治療薬開発の進展とともに当事者にとって重要です。認知症施策・支援制度や医療・介護サービスなど、総合的な取り組みがすすむことを期待します。