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生成AIで学校の部活動の練習メニューなどを作成 その効果は?

  • 2023年7月6日

文章や画像を自動的に作り出すことができる「生成AI」。その生成AIの学校での取り扱いについて国は、グループ学習や英会話での活用が考えられるなどとする暫定的なガイドラインを公表しました。

こうした中、部活動に生成AIから提案された練習メニューなどを取り入れている学校があります。

それが東京都にある品川翔英中学校・高等学校の野球部です。どのように活用し、どんな効果が出ているのでしょうか。

生成AI 部活動で導入も練習メニューなどで活用

東京・品川区にある私立の品川翔英中学校・高等学校では、高校の野球部がことし4月から生成AIを活用し練習メニューなどの一部に取り入れています。

4階からボールを落としてキャッチする練習

高校は、現在、グラウンド整備中のため、十分な練習スペースがありません。
フライをキャッチする練習は4階からボールを落とします。
情報科の教諭で野球部の監督、石田寛さんが効果的な練習などを目指して導入しました。

生成AI どうやって活用しているの?

生成AIをどのように活用しているのか、石田監督に話を聞きました。
この部活で使用しているのは生成AIの「チャットGPT」。
どのように練習メニューが作られるのか再現してもらいました。
部員の人数や学校施設の状況など、生成AIには基本的な情報を打ち込んでいきます。
すると、練習環境などを入力するとウォーミングアップから基礎練習、実践練習などさまざまなメニューが提案されます。

どのような練習を日々行うか検討したり、作成したりする負担を大きく軽減できているということです。

品川翔英高校 野球部 石田寛 監督
「質問がより重要と言われています。より細かな情報を入れれば、より具体的な回答が出てきますので、新しい練習というのは特には出てきていないんですけど、ちょっと入れただけでも全部文字で整理してくれるので、その辺は助かっています」

また、選手の打率や出塁率などを入力すると打順も提案されます。
客観的なデータに基づいて出される案は最終的に監督がメンバーを決定する際に後押しになると話します。

石田監督
「自分の案と基本的には似ているところがあって自分の仮説があっていたなと自信にもつながりますし、自分の考えにあう、あわないでオーダーを組みがちですが、データを入れることによって客観的に見てオーダーが組める。選手にとってもいいかなと思います」

生成AI導入した効果は?

生成AIを導入して以降、練習試合で3連勝をするなど効果を感じ始めているといいます。

8日から始まる夏の大会で公式戦初勝利を目指します。

野球部の生徒
「もともとの練習メニューと大きな変わりはありませんが、細かい指示や練習のちょっとした工夫は変わりました。実戦にいきてくるかなと思います」

野球部の生徒
「公式戦では、まだ1回も勝てていないので、この夏1勝をあげて、石田監督に1勝をプレゼントできたらなと思っています」

石田監督
「生成AIで知識とかアイデアをいただきながら最後は自分の経験をもとに変えていって、情熱とか愛はチャットGPTではできないところだと思うので、うまくAIと人間が共存して、いい部活動を作っていきたいです」

生成AIを部活に導入する学校は?

生成AIを学校の部活動で利用する取り組みはほかにもあります。
静岡県の御殿場西高校では、運動部を中心にチームの弱点を克服する練習メニューを作るときなど、生成AIを活用しているそうです。

校長の勝間田貴宏さん
「大きな可能性を感じているが、あくまでアシスタントで、解答ではない。定期的に効果を検証しています」

人工知能が専門の、慶應義塾大学の栗原聡教授は次のように述べています。

栗原教授
「生成AIはあくまで道具にすぎない。最終的に自分で責任を持って考えて決めることが求められる。部活動で活用する場合はスポーツ医学の専門家の意見を参考にするなど、生徒の心身の負担にならないか十分に検討する必要がある」

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