シュトボー
  1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. シュトボー
  4. 雷からどう身を守る? 専門家にQ&A

雷からどう身を守る? 専門家にQ&A

  • 2023年7月4日

大気が不安定なときに心配なのが雷。専門家に私たちが雷から身を守るためにできることを聞きました。

落雷のシーズンはこれから

 話をうかがったのは、落雷のメカニズムに詳しい防衛大学校の小林文明教授です。

Q.落雷の多いシーズンはあるのですか。

落雷が多いのは、梅雨が明ける時期から8月にかけての時期です。
夏の夕立をイメージするとわかりやすいと思います。積乱雲が発生しやすい内陸部で多く発生します。ただ、7月3日の落雷は、上空に寒気が流れ込み、大気が不安定になっていることで起きた落雷だと思われます。
梅雨明けの時期やお盆が過ぎたころに発生し、広範囲にわたり、昼夜問わず発生するのが特徴の1つです。

Q.雷の被害には種類はあるのですか。

ひとつは、樹木などに落ちた雷が、そばにいた人間に飛び移り被害を与える「側撃雷」です。
木の下で雨宿りをするのは非常に危険なので、近くに木があるときは4メートル以上は、離れるようにしてください。
このほかにも、地面を伝わって人を感電させる「地電流」、 グラウンドなど周囲が開けた場所で起きる「直撃雷」があります。

身を守るためにできることは

Q.雷の音が聞こえたらどのような行動をとればよいでしょうか。

雷雲は大きいものでは数十キロあり、雷の音が聞こえた時には自分は雲の下にいることを覚えておいてください。

まずは、頑丈な建物や車内は基本的に安全なので、避難するのが第一です。窓は閉めるようにしてください。軒下や休憩所のような屋根だけがある場所は危険です。

Q.特に落雷しやすい場所やシチュエーションはありますか。

グラウンドやゴルフ場、海岸やキャンプ場など、開けた場所では人に落雷しやすいのでその場からすぐに離れてください。
雷は高いところに落ちます。ゴルフクラブやバット、釣りざおなどを持ち、振り上げたりすると非常に危険なので長いものは手放すようにしてください。
また、海面にも雷は伝わります。海の上で帆を立てるウインドサーフィンも危険度が高いです。

Q.夏のレジャーシーズンを前に意識を高める必要がありますね。

花火大会や野外フェスなど比較的、開けた場所で行われる催し物の会場も注意が必要です。
人が多く、雷が鳴っていても避難の動きがとれないこともあります。主催者はもちろんですが、訪れる人も事前に気象情報を確認して予定を変更することも検討してください。

Q.屋外にいて逃げる場所がないときはどのようにしたらいいでしょうか。

最終の手段として、「雷しゃがみ」をしてください。

「雷しゃがみ」4つのポイント
1)姿勢をなるべく低くする
2)電流が流れないように足をそろえる
3)落雷の音で 鼓膜が破れないように耳をふさぐ
4)地面との接する面積を少なくするため、つま先立ちをする

電線の真下は雷が落ちにくいので、そこで待機するのもひとつの手です。いずれにしても傘はささないようにしてください。

Q.自宅のなかにいて気をつけるべきことはありますか。

「雷サージ」という現象には注意が必要です。
落雷した際に電柱の電源線や通信ケーブルなどを伝わって屋内に流れ込んで電化製品を故障させることがあります。人が触ると感電することもあるので、電化製品からは1メートル以上離れて安全を確保してください。

Q.雷が離れたように感じたとき、いつまで安全を確保していたらいいのでしょうか。

「30分ルール」を呼びかけています。少しでも雷の音がすればまだ雷雲のなかにいる可能性があるので、屋外に出るのはやめましょう。あくまでも目安ですが、最後に雷の音が聞こえてから30分間、次の音が聞こえなければ行動を再開してもいいと思います。

Q.雷が鳴っているときに金属のアクセサリーなどを身につけないほうがいいのかという声やレインコートや長靴など身につけるものがゴム製の場合は、雷に有効なのかという声も聞かれました。

金属のものを身につけているかどうかは落雷には関係がありません。あえて外す必要はないです。また、ゴム製品については家庭用の電気くらいであれば絶縁効果はあるとされていますが、雷の場合は、流れる電流の量やパワーが桁違いなので効果はありません。

Q.最後に小林教授から注意喚起があればお願いします。

いまは、気象庁の「雷ナウキャスト」というもので雷を予測できるようになっています。これからのシーズン海や山など含めレジャーに行く人も多いかと思います。ただ、周囲が開けた場所は雷が落ちやすい危険な場所でもあります。こうした気象情報をチェックして避難できる場所を確保したり場合によっては予定を変更するなどして適切に対応してほしいです。

ページトップに戻る