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梅雨型熱中症 湿度高いとリスクが 兆候や有効な対策 専門家に聞いた

  • 2023年6月28日

「梅雨型熱中症」に注意が必要です。梅雨の時期には、気温がさほど高くなくても、湿度が高いと熱中症のリスクが高まります。東京消防庁のまとめでは、去年1年間の熱中症による救急搬送者数を月ごとに見てみると、8月よりも6月や7月が多くなっています。注意点などをまとめました。

「梅雨型熱中症」とは

「梅雨型熱中症」
暑さに慣れていない時期に、日常生活の中で自分で気がつかないうちに脱水症状と体温の上昇が進んでしまうのが特徴で、梅雨の時期に重なることからこう呼ばれています。
(熱中症対策に詳しい済生会横浜市東部病院 谷口英喜医師による)

人間は、暑いと汗をかいて体の熱を逃がそうとしますが、湿度が高いと汗が蒸発せず、熱が体にこもって体温を下げにくくなり、熱中症のリスクが高まるということです。

熱中症搬送 梅雨の時期は?

東京消防庁のまとめでは、2022年1年間の熱中症による救急搬送者数を月ごとに見てみると、7月が2434人、次いで6月が1870人と、8月の1483人より多く、気温が高くならなくても湿度が高い時期に熱中症が増える傾向がわかります。

日差しが強く、気温がぐんぐん上がっている日だけでなく、ジメジメしている日も注意が必要です。

豊島区 高齢者を訪問し注意呼びかけ

東京・豊島区では、熱中症対策として1人暮らしの高齢者の自宅を訪問して、エアコンの適切な利用を呼びかけるなどの取り組みを行っています。

取材 6月26日

民生委員が「梅雨の時期は湿度が高いので、家の中でも熱中症に気をつけてください」などと呼びかけるとともに、エアコンを適切に使うことや、こまめに水分をとることなど対策をまとめたチラシや、ぬらすと冷えて首などに巻けるタオルを配っていました。

1人で暮らす96歳

電気代は気になりますが、クーラーをつけて気をつけます。

民生委員
田中治さん

1人暮らしで水分をとるのを忘れているかもしれないので、しっかり顔を見て呼びかけをしています

 

豊島区は、1人暮らしの75歳以上の高齢者世帯の割合が全国平均のおよそ1.8倍と高く民生委員などが5月から8月にかけてこうした高齢者およそ5700世帯を訪問して、熱中症対策を呼びかけています。

「梅雨型熱中症」兆候や有効な対策

「梅雨型熱中症」の兆候や有効な対策などについて、熱中症対策に詳しい済生会横浜市東部病院の谷口英喜医師に聞きました。

〇梅雨型熱中症の兆候
最初に気がつくサインは脱水症状です。ただ、のどの渇きを感じにくい高齢者には、疲労や、ひざなどの痛みが増すといったサインが出ることもあります。人によって異なりますが、湿度が60%を超えると、じとじとした汗をかいて、蒸発しにくくなります。いつもより汗が乾きにくいな、と思ったら注意して下さい。

〇エアコンの効果的な使い方
室温については、「冷房の設定温度を28度に」という呼びかけがありますが、これは1つの目安です。人それぞれ室温の感じ方は違うので、快適に過ごせる温度、寝る前であれば、寝付きやすい温度が目安です。湿度を下げるためには、窓を開けて部屋を換気することが有効です。扇風機やサーキュレーターを使うとより効果的です。風が体にあたると、じとじとした汗の蒸発を促すことにもつながります。

〇エアコン以外の対策
(1)規則正しい生活をして、体に負担をかけないことです。体温のコントロールを行う自律神経を整えるためには、よく休むことが重要です。
(2)しっかり水分補給をすることです。湿度が高いと、つばが乾きにくくなり、のどの渇きにも鈍感になります。意識して水分をとってほしいです。

〇熱中症に備えを
熱中症になってしまうと、回復には数日かかり、年齢が高くなればなるほど長引きます。今のうちから、体も生活習慣も、熱中症に備えておくことが大切です。熱中症の患者に聞くと、「自分だけは熱中症にならないと思っていた」という人が結構います。熱中症は、誰もがどこでもなるリスクがある一方、予防もできるものです。しっかり対策してほしいと思います。

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