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  4. 水害から命を守るために

大雨で堤防が決壊するなどの水害を防ぐため、全国の河川で新たなカメラの設置が進められています。導入が進むカメラで住民たちの命を守ろうとする地域を取材しました。

川の異変を住民に 危険にさらされた命

大きな被害が出た去年の台風19号。各地で河川の氾濫や堤防の決壊が相次ぎました。埼玉県東松山市に住む高橋佳男さん、台風19号で命の危険にさらされた1人です。
10月12日午後5時ごろ、高橋さんは自宅のある早俣地区を流れる都幾川の様子が心配になり、堤防に向かいました。そこで見たのは、堤防からあふれ出そうになっている川でした。

高橋佳男さん
「こっちの堤防がオーバーフローして。幅にして30メートルくらいでしょうか、崩れ始めて」

降り続く大雨の中、高橋さんは川の異変を住民たちに知らせようと、電話をかけ続けました。その情報を受けた人が県に助けを求める声が残されています。

「いま早俣の神社の辺がオーバーフローしたってことで、高橋さんから電話が入ったんだけど、なんとか県の方からあそこの土手 直すように」

およそ30分後、高橋さんの目の前で、堤防が突然決壊。高橋さんはすぐに避難しました。流れ込んだ水によって、地区の全戸が浸水するという大きな被害が出ました。

高橋佳男さん
「早かったです。パニックになってなかなか思うように動けなかったですね。命からがらで助かったってことですね」

危険を避けながら河川の状態を把握するために

水害の発生が懸念される際に、河川の状況を確認しようと全国3900か所で “簡易型河川監視カメラ” の設置が進められています。

このカメラの特徴は、ズームなどの機能を省くことで低コスト化を実現。太陽光発電で電力をまかなうため、電源ケーブルにつなぐ必要がなくなり、簡単に設置することができます。
さらにカメラの映像はスマートフォンなどの端末で確認することが可能です。

高橋佳男さん
「土手まで行かなくても見えますから、私みたいに危ない思いしなくてもなんとか助かりますね」

最新技術をすべての人に 住民を守る取り組み

こうした最新技術を誰でも使うことができるように、早俣地区の自治会では独自の取り組みを始めました。地区の住民を対象にLINEのグループを作り、カメラの映像を共有することにしたのです。

さらに行政でも、増えたカメラの映像情報を活用し、避難に関するより細かな情報を出すことにつなげようとしています。

早俣地区自治会長 千代田喜夫さん
「この地区は 低い土地のため水害を避けられない地域だと思っています。ですから、とにかく早く避難する。防災無線、それにLINEも使って、情報を共有するということに尽きると思っています」

住民たちの命を守るカメラ。最新の技術を使った水害への備えが進められています。

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