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破傷風に注意!浸水した自宅の後片づけの服装は?熱中症対策も

  • 2023年6月6日

3日までの記録的な大雨で被害が大きかった地域では、復旧に向けた活動が続けられていますが、住宅に流れ込んだ泥やがれきなどの後片づけをする際に注意したいのが「破傷風」です。

感染症に詳しい日本環境感染学会の櫻井滋医師は、浸水した自宅の後片づけをするときにはけがをしないよう丈夫な手袋や安全靴を着用するほか、これからの時期は熱中症に注意するよう呼びかけています。

破傷風とは?

破傷風は、泥や土のなかにいる破傷風菌が傷口から体の中に入ってかかる感染症で、発症すると口が開けにくくなったり、首筋が張ったりしたあと、体のしびれや痛みが出ます。
しびれや痛みは、悪化すると全身に広がって呼吸困難になり、最悪の場合、死に至るおそれもあります。

東日本大震災の被災地でも破傷風を発症したケースがあり、自宅の後片づけを行う際は、注意が必要だということです。

東日本大震災や熊本地震などの被災地で感染症予防にあたった日本環境感染学会の櫻井滋医師は、破傷風の危険性について次のように指摘します。

櫻井医師
「破傷風の菌は土壌の中に潜んでいて、すり傷や小さな刺し傷から体内に入るおそれがあり、これまでにがれきの中の木材のとげが刺さって破傷風を発症したケースも報告されています。私も漁具のロープを引っ張って、すり傷を負い、その後、破傷風を発症し、亡くなった患者を診た経験があります。だから小さな傷でも放っておいてはいけません」

後片づけの注意点は?

では、住宅に流れ込んだ泥やがれきなどの後片づけをする際、どのような点に注意すべきなのか?
櫻井医師は、次のことに気をつけるよう呼びかけています。

作業時の服装
◯手には丈夫な手袋を着用する。
◯足下はくぎを踏みつけても貫通しない安全靴を履くこと。
◯肌の露出を防ぐために長袖、長ズボンで作業を行うこと。

その上で、これからの時期は湿度も気温も高いので熱中症には十分注意が必要です。
小まめな水分補給や涼しい場所で休憩をとり、なによりも作業は慎重に行うことが重要だといいます。

万が一けがをした場合は?

では、万が一けがをしてしまった場合は、どうすればいいのか?
櫻井医師は、どんな些細なけがでも、すぐに病院に行ってほしいと話します。

櫻井医師
「破傷風の一番怖いところは潜伏期間が比較的長いところです。私が診た患者さんは発症までに1週間程度かかっていました。その間に微熱やけん怠感など、風邪のような症状があらわれ、その後、口がしびれて思うように話せないなどの症状が出ていました。患者さんに症状があらわれる前に、どんな行動をとっていたのか尋ねても、些細なけがだと忘れてしまうんですよね」

「破傷風は、治療が遅れると発症した人の3割ほどが亡くなるという報告もあり、本当にこわい病気です。だから泥やがれきの除去作業を行っている最中にけがをした場合は、すぐに病院に行くことが大切なんです」

破傷風以外にも注意が必要!

水に浸かった自宅の後片づけの際、破傷風以外にも注意すべき感染症があります。

それがノロウイルスや大腸菌などです。
自宅に流れ込んできた水には汚水も含まれていて、こうしたウイルスや細菌が潜んでいることから作業の合間にとる休憩や食事の際には、細心の注意が必要だと言います。

櫻井医師
「水害が発生した後の後片づけをする際は、手や衣服にさまざまな細菌が付着しているおそれがあります。特にノロウイルスや大腸菌は、休憩時の水分補給や食事の際に口から体内に入るおそれがあり、予防するためには休憩時や食事の際の手洗いが重要です。手袋を着用しているから手は清潔だと思わないで欲しい。手袋を取る際に手にウイルスなどが付着する可能性もあるのでしっかりと手洗い・手指消毒を徹底し、食事などを取って欲しいです」

また、土ほこりが目に入って結膜炎になったり、口から入ってのどや肺に炎症を起こすこともあることから、ゴーグルやマスクを着用して目や口を保護することも重要です。

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