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内水氾濫の前兆とは 埼玉 茨城など浸水被害の記録的大雨で都内は

  • 2023年6月6日

埼玉県や茨城県で浸水被害が出るなど各地で記録的な雨量を観測した6月2日から3日にかけて都心など東京23区でも6月として記録的な大雨となりました。排水が追いつかずに浸水が起きる「内水氾濫」の前兆が見られたという指摘もあります。都内の浸水状況について専門家が行ったシミュレーション結果や、必要な備えについてまとめました。

観測史上最多の雨 埼玉県越谷市では

6月2日から3日の大雨では、埼玉県越谷市は24時間雨量で観測史上最多となる260.5ミリを観測し、床上浸水が500件、床下浸水が2400件にのぼるとみられています。

越谷市では、都市化が進んだり、気象状況の変化などで大雨が降り排水が追いつかなくなる「内水氾濫」が過去にも発生しています。

平成に入ってから、台風の時を中心に少なくとも10回浸水した記録があり、越谷市によりますと市内の過去の浸水被害では、総雨量200ミリ、または1時間あたりの最大雨量が50ミリを超えると内水氾濫が発生しているということです。

都内 神田川や目黒川、善福寺川など 氾濫危険水位超

東京都心など23区でも、6月としては記録的な大雨になり、一時はたたきつけるような雨になったところもありました。神田川や目黒川、善福寺川などで氾濫危険水位を超え、各地で避難指示が出されました。

“内水氾濫の前兆” マンホールから噴き出す水

こうした大雨で発生した現象の1つが、道路上のマンホールから、水が噴き出す現象です。
都内の浸水対策を研究している早稲田大学理工学術院の関根正人教授は、排水が追いつかずに浸水が起きる「内水氾濫」の前兆だと指摘します。

早稲田大学理工学術院 関根正人教授
「非常に短時間のうちに下水管が満杯になると管のなかに残っていた空気が圧縮されて、マンホールのふたについた穴から噴き出す、水柱が上がる、その地点の下水道がほぼ満杯になりましたよという証です。浸水はそのあと深刻になってきます」

標高の低いところに水が集中

関根正人教授は、雨が強くなり始めた3日の午前0時ごろの中野区や新宿区の周辺の浸水の状況を、気象レーダーの解析に加え道路や下水道のデータから分析しました。

その結果、広い範囲で道路の水位が水色で示す1センチから10センチとなっていました。道路を詳しく見ると青梅街道など幹線道路を中心に水が集まっています。

標高の低いところに水が集中したためで、関根教授は、このうち駅の高架下のアンダーパスなど低いところでは道路が冠水していた可能性があるとしています。

1時間33ミリ “排水機能ある程度維持”

一方、この時間帯、10センチより深い浸水が発生していない理由について、関根教授は今回の東京の雨の降り方が関係すると指摘します。
東京の都心では24時間の雨量が218ミリと6月としては観測史上最も多くなりましたが、1時間の雨量が最も多かったのは午後5時半ごろまでの33ミリでした。

関根教授は、東京周辺の下水道は1時間に最大50ミリ程度の雨を処理できるとされることから今回の大雨では排水機能がある程度維持されたと分析しています。

短時間で雨が強まるケースでは

その上で今後、短時間で雨が強まるような大雨となった場合は、東京23区でもさらに大きな被害が出るおそれがあるといいます。
関根教授は、今回の浸水の状況についてもさらに詳しく調べることにしています。

関根教授
「今回、浸水の規模はそれほどではなかったが、浸水リスクが高いところに住んでいる人やそういう場所に行く人は、東京でも浸水被害が十分ありえるので注意しないといけない。今回浸水した場所は次の大雨でも浸水するしこれ以上の雨ならもっと深刻になるので、そうした場所は避けるように動いてほしい」

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