鳥インフルエンザの感染拡大で供給不足となっている卵の価格高騰が続いています。
東京都中央卸売市場によりますと、ことし2月の平均の卸売価格は1キロあたり407円と去年の同じ時期の1.7倍を超えています。
外食チェーンでは卵を使ったメニューを休止するなどの動きが一段と広がり、東京都内の教育現場でも対応を迫られるところが出ています。押尾駿吾アナウンサーが取材しました。
供給不足が続いている卵、高くて買えないと家庭で悩む人も多いと思いますが、実は、いま教育現場にも影響がでています。
日本料理や中国料理など、食のプロを養成している東京・渋谷区にある調理師の専門学校です。
卵の価格高騰は、特に菓子職人、パティシエの養成コースに影響を及ぼしています。
卵は、必要な数量を、仕入れ先の業者の協力で、これまでなんとか調達できていますが、この日届いた800個の価格は、去年の同じ時期を大幅に上回っていました。
その価格は、なんと去年のいまごろより1.5倍~1.6倍に上がっているんです。
3月、卵にかかった費用は、去年より2万円近く増えたといいます。
このため、学校ではカリキュラムの質を落とさない範囲で、内容の一部を変更しているということです。
服部栄養専門学校 製菓製パン飲料 主席教授 瀧澤 努さん
「卵は、毎日使う製菓の主材料なので、卵がないとお菓子ができません。だから私たちお菓子屋さんはとても困ります」
さらには、ココア味のクッキーなど、卵の味が比較的出にくい菓子の実習には、仕入れ値が割安な卵を使って、経費を抑えているということです。
「学生ファーストで、学生のために日々考えながらやっています。早くこの現状からの回復を切に願っています」
鳥インフルエンザの感染拡大で卵の供給が不足していることから、外食チェーンの間では、卵を使ったメニューの休止や変更の動きが一段と広がっています。
このうち、ファミリーレストランの「ガスト」が4月13日からオムライスの販売を休止したほか、全国で喫茶店を展開する「コメダ珈琲店」は4月10日、エッグサンドなど卵を使った一部の商品を提供できない場合があると発表しました。
また、ハンバーグレストランの「びっくりドンキー」は、首都圏など1都7県の60店舗で、朝の時間帯に提供している目玉焼きとトーストなどのセットや卵かけご飯など、一部のメニューの販売を3月30日から休止し、トーストセットのゆで卵をポテトサラダに変更しました。
さらに、牛丼チェーン大手の吉野家は期間限定で親子丼の販売を検討していましたが、卵の供給が少ないことを理由に販売を見送り、卵を使わない別のメニューとして4月17日から焼き鳥丼を販売します。
民間の信用調査会社、帝国データバンクによりますと、上場している外食大手100社のうち、卵を使ったメニューを休止した企業は、4月5日時点で少なくとも28社にのぼり、1か月前より10社増えて、全体のおよそ3割に拡大しています。
鳥インフルエンザの感染拡大による卵の供給不足の影響が一段と広がっています。
この卵不足、価格の高騰はいつまで続きそうなのか。
農林水産省に聞いたところ養鶏場の防疫やニワトリの調達に一定の時間が必要なため「わからない」ということなんです。
殺処分が過去最多となる中、国は「打撃を受けた養鶏場が卵の生産を再開できるよう、防疫の相談に応じるなどして後押ししたい」としています。