「地震に強い水道管」って、どんな水道管?

突然ですが、みなさんはこのような看板を見たことがありますか?

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工事現場で見かけたことがある、という人も多いのではないでしょうか。
ということで、今回のみやぎUP-DATEでは看板を見た人から寄せられたこちらの疑問におこたえします!

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さっそく安藤さんが調査に向かいました!


実物を見に行こう!

やってきたのは、大崎市の水道管工事の現場。
大崎市上下水道部の川村 一樹さんにお話を伺いました。

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安藤さん
「今、どういった工事が行われているのでしょうか?」
川村さん
「(水道管を)耐震型の管路に更新している工事です。」


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安藤さん
「こちらが地震に強い水道管なんですか?」
川村さん
「はい、こちらが『耐震型ダクタイル鉄管』となります。」
安藤さん
「耐震型ダクタイル鉄管?」
川村さん
「地震や地盤の変動に対応できる構造となっております。」

こちらがその「耐震型ダクタイル鉄管」です!…が、どんな特徴があるのか、見ただけでは分かりませんね…

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どんなところが「地震に強い」の?

実は「地震に強い水道管」には種類があり、よく曲がるポリエチレン管や、強度が高いスチール管などが設置場所によって使い分けられています。

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耐震型ダクタイル鉄管は、主に各地域へ水を分配するために使われます。
柔軟性に優れていて、宮城県内の「地震に強い水道管」の半数以上をしめているそう。

その特徴は柔軟性だけでなく、接続部にもありました。
従来の水道管は、地震の揺れで接続部が抜けてしまうことがあったといいます。

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一方、耐震型ダクタイル鉄管は接続部に“遊び”があり、地震の揺れを吸収する仕組みになっています。

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さらに、「ロックリング」という部品がストッパーの役割を果たし、管が抜けてしまうのを防いでいます。

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こちらは、接続部の強度を確認するためのデモ映像です。
これだけ持ち上げても、折れたり抜けたりしません。

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注目されるようになったきっかけ

耐震型ダクタイル鉄管が注目されるようになったのは、およそ30年前でした。

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桂島さん
「耐震型ダクタイル鉄管に関しましては、阪神淡路大震災で被害がなかったということで、そこから大きく広まってきたということでございます。」

その後の東日本大震災の時には、水道管が破損する被害が出ましたが、多くは耐震性能のない古いものでした。
耐震型ダクタイル鉄管は津波にも耐え、正しく施工されたものには被害はなかったといいます。

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今日もどこかで、古い水道管が「地震に強い水道管」へ置き換えられています。


こんな取り組みも!

さらに、仙台市では震災を教訓に「災害時給水栓」を設置する取り組みが始まりました。
市内の学校など、169か所に設置されています。

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仙台市水道局の千葉 敏昭さんにお話を聞きました。

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千葉さん
「震災をうけて、応急給水活動がうまくいかなかったものですから、新たに災害時給水栓というものを今、設置しております。」


災害時給水栓は直接、水道管につながっており、災害時には学校などに集まってきた地域住民が自分たちの力で水を得ることができます。

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どうやって使うのか、実際に組み立ててもらいました。
まず、災害時給水栓と蛇口にホースをつなぎます。

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次に元栓を開けて、

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専用のハンドルを回せば水が出ます。

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災害時給水栓につなぐホースや蛇口は、設置されている施設で保管されています。
これならいざというとき、自分たちで簡単に組み立てられそうですね。


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千葉さん
「災害時給水栓は水道管に直接つながってますから、地震に強い水道管に入れ替えることによって、(災害時の)断水事故が少なくなるようにしてますから、使えるところが増えてくると考えています。」

仙台市水道局では、令和7年度中に災害時給水栓を195か所に増やすことを目指しているそうです。
現在、宮城県では全体のおよそ22%が地震に強い水道管に替わっていて、全国平均を若干上回っています。

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安藤のひとこと。

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安藤さん
「普段は見えない地面の下ですが、災害対策が着実に進んでいることが分かりました。
災害が起こってしまった時にインフラをどう維持していくのか、震災後そのような取り組み、そして工夫がいろんな形で進化しているんだなと感じました。」





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