地域と歩む「バッハホール」

音楽の父「バッハ」の名前がついた音楽ホールが、加美町にあるのをご存じですか?
開館から40年余、地域住民が音楽に親しむ拠点となってきた「中新田バッハホール」です。本場のプロが指導する音楽教室も人気で、海外で活躍するバイオリニストも輩出。その音楽ホールの取り組みを、仙台放送局の太田直希カメラマンが取材しました。

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6月下旬、バッハホールではコンサートに向けたリハーサルが行われていました。その1人に、美里町出身のバイオリニスト、千葉さくらさんがいました。千葉さんはドイツのミュンヘン交響楽団に所属し、ヨーロッパを舞台に活動しています。千葉さんがプロを志すきっかけになったのが、このバッハホールが主宰している音楽教室、「バッハホール音楽院」です。

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千葉さくらさん
「(教室では)基礎的なことをたたき込んでもらいました。無意識のうちに蓄積されたこともたくさんあり、いまドイツで活動していることに生きていると思います」

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1981年に開館したバッハホールで加美町は住民に気軽に楽器に親しんでもらおうと、音楽教室を続けてきました。現在は、バイオリンやチェロ、パイプオルガンなど4つの教室があり、子どもから大人まで50人が通っています。

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この日、チェロのレッスンを受けていたのは、町内に住む70代の女性です。結婚50年の節目に家族の前で演奏しようと、練習に励んでいます。この女性は70歳になってからレッスンを受け始めたそうです。それほど身近に楽器を学べる環境があるのは驚きです。

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「午前中に畑の草取りをしてから、チェロの練習に来ました。チェロの音色が好きで、1度はやってみたいと思っていました。仙台まで行くのは大変なので、近くの教室で教えてもらえるのはうれしいです」


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指導するのはプロの音楽家ですが、レッスン料は月1万円程度とリーズナブルなため、肩肘張らずに楽器を始められます。

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チェロの講師
「こういう町に弦楽器の教室があるのは非常にまれです。大人になってチェロを弾きたいという人は結構いるので、その人の夢のために教室があるのは良いことだと思います」


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千葉さんも小学3年生のころから6年間、この教室に通い、プロのバイオリニストから指導を受けました。今回、4年ぶりに思い出深いバッハホールのステージで演奏することになり、練習にも熱が入っていました。

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千葉さくらさん
「ここで学んで成長しプロとして活動させてもらっているので、小さいときから見守って下さった方々に感謝の気持ちを表現できたらいいなと思っています」


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バッハホール 本田幸夫館長
「ホールを巣立った千葉さんのようなプロが戻ってきてくれることは、とても感慨深いです」


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中新田地区を取材し、子どもから大人まで音楽を身近に感じている人が多い地域だという印象を持ちました。音楽を活かした町づくりがより一層盛り上がってくれればと思いました。


仙台放送局 太田直希カメラマン
2022年入局。仙台市出身。楽器は弾けませんが、音楽を聴くのは好きです。

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