"類が友を呼ぶ商店街" 人気の秘密とは?

シャッター通りとなっている地方の商店街が多い中、移住者やUターンする人が中心となって出店が相次いでいる商店街が栗原市にあります。その商店街がさらににぎわいを生み出そうと、ことしから仙台の人と交流を深めるイベントを始めました。


【六日町通り商店街の仲間たちが仙台で乾杯!】

01230403.jpg

3月末、仙台市中心部の複合ビルで、栗原市の「六日町通り商店街」の店主や、商店街に興味のある仙台の人が集まってある交流会が開かれました。
その名も「センロク」。仙台の「セン」と六日町通り商店街の「ロク」を足し合わせたイベントです。
交流会には40人が集まり、地域を盛り上げるのには何が必要かなどについて話し合いました。


02230403.jpg

交流会では商店街を盛り上げてきた中心メンバーの1人、杉浦風ノ介さん(45)がゲストスピーカーとして登場し、次のように語りました。

「いろんな変な人が、徒歩圏内に100人くらいいればいいなという感じでやっています」

03230403.jpg

「六日町通り商店街」は栗原市の栗駒岩ケ崎にあります。地方の商店街の多くが苦境にあえぐなか、2015年からの8年間で18の店舗が出店する元気な商店街として、全国から注目を集めています。

04230403.jpg

杉浦さんも8年前に京都から移住し、カフェをオープンしました。

05230403.jpg

かつて薬屋だったという築100年の建物をリノベーションし、
誰もが気軽に立ち寄れる場所にと始めました。

杉浦さん
「コミュニケーションが取れる場所を作りたかった。コミュニティのハブとなるような場所が商店街に必要かと思って」

06230403.jpg

杉浦さんは大学を卒業後、僧侶として修行したり、栗原市で芸術祭を運営したりしてきました。
まちづくりの経験はありませんでしたが、長年、地元で商店を営んできた住民から「何でも好きなようにやっていい」と言われ、「まちづくり会社」を立ち上げました。

07230403.jpg

出店を希望する人と空き店舗のマッチングに取り組んだり、空き店舗を改修する際には、知り合いの元大工などの力を借りて費用を抑えたりするなど、店を開業する人たちをサポートしていきました。
さらに毎月、商店街と地域の人たちが集う交流会を開催、年に3回開かれる「夜市」には地元以外の人も積極的に誘い、関係人口を増やしてきました。

08230403.jpg

(左上)山が好きでアウトドア用品店を始めた男性
(中上)ユニークな本や古本などを集めた書店を営む女性
(右上)100年近く続く金物店は5代目がUターン
(右下)ネコが大好きな女性が営む雑貨店
(中下)「若い人が好きなようにやればいい」と商店会長
(左下)地元栗原でつくるジーンズの専門店の2人

いわば「よそ者」が「よそ者」を呼び込み、地元に帰ってくる人もいて、商店街に少しずつ活気が生まれていったのです。

杉浦さん
「売っている物がいいという理由もあるが、商店の店主を目的に客は来ている。人が人に引きつけられている部分もあります。類は友を呼ぶじゃないですが、面白いことやってそうだなと思って、それに吸い寄せられるような感じです」

09230403.jpg

杉浦さんはさらに人の輪を広げようと、ことしから仙台で交流会を開催することにしました。

10230403.jpg

交流会「センロク」には地元にUターンした地域おこし協力隊の三浦大樹さんも欠かせません。
三浦さんは仙台でプライベートで数多くの異業種交流会を手がけた経験があり、豊富な人脈を強みに、今回も大勢の参加者を集めました。

三浦さん
「いま協力隊の仲間とクラフトビールをつくる計画を進めています。自分も商店街に工場をつくり販売店を出店し、地域の盛り上げに一役買いたい」

商店街のメンバーのパワフルさに仙台の参加者もワクワクするといいます。
ある参加者は「自分たちが商店街から飛び出して、いろいろなところに行って活動する元気の良さはすごいと思います」、
また別の参加者は「これは何かが動き出すには、とてもいいきっかけになるという感じがします」と話していました。

11230403.jpg

参加者の中には栗原への移住を考えている人もいました。杉浦さんに空き物件の場所などを尋ねていました。

男性
「自然がきれいで、人柄が優しく、住んでいる人を紹介してもらえるので安心感がある」
女性
「会う人みんないい人ばかり。行くたびに新しいお店ができて活気がすごい」

12230403.jpg

杉浦さん
「人は突然移住はしてこないので、何らかの関係や交流が必要だと思っています。自分が 自分でいられる場所、自分の個性をいかんなく発揮してもらえたらと思っていますし、そういう場所を商店街で作っていければいいかなと思っています」

杉浦さんは「空き店舗があるということは、そこに店を出せるチャンスがあるということ。将来的には100店舗まで増えていければいいな」と話していました。

「センロク」は今後も毎月、仙台市内で開かれるそうです。

【取材:内山太介記者】


uchiyama230403.jpg
仙台放送局 記者 内山太介
1996年入局
静岡局、名古屋局、福井局、新潟局、科学・文化部を経験
2022年8月から8年ぶりに仙台放送局
六日町商店街がすっかり気に入り“関係人口”の1人に

 

※「○○地域に注目!」県北地域のページはこちら
※※栗原市の六日町通り商店街についてはこちらの記事もご覧ください!